変化・変容に共通してみられるプロセスがあります。
それをホルンの演奏や向上に当てはめて見たらどうなるかを、このシリーズでは順を追ってみていきました。
それの完結編が今回の稿です。
このシリーズの前の投稿では変化変容のプロセスの動力源の一つである「信頼」のエネルギーをテーマに見て行きました。
このエネルギーを経てはじめて、変化・変容が実際に経験されます。
そうしてついに、変化を実際に経験して新しい経験をします。
これはホルンで言えば、例えば
腹式呼吸と思い込んでやっていた、無理で不合理で非効率な呼吸のやり方をやめ、より自然で楽な呼吸に基づいてホルンを演奏し、結果的にこれまでよりはるかに気持ちよくかつ良い音で演奏できた。
そんな経験を指します。変化の結果そのものです
こういった新しい経験=変化の結果を経験すると、
目の前に異なる世界が見えてきます。
それまで、痛みやしんどさを伴っていたホルン演奏が、一度でもラクで喜びに満ち、軽々としたものになれば、避けがたく目指すべき方向がはっきりとします。
経験から影響を受けるのです。
その影響のもとに、新たな探求すべき領域が見えて来たり、新たな望みを見いだしたりすることもあるでしょう。
これが、新しい目的・目標・領域です。
たとえば、これまでホルン演奏において痛みや問題に苦しんでいた人が、その痛みから解放され自らの本来の能力により近づく経験をすると、今度はプロホルン奏者になることを本気で考え始めるかもしれません。その可能性を目の当たりにするからです。
あるいは、深く楽な呼吸を経験することで、呼吸法の世界をもっと深く学びたいという欲求が生まれるかもしれません。
そういった新たな目標や目的が、情熱・意欲・望みのエネルギーとなり、再び変化・変容を経験するための車輪を回し始めるのです。
これは、変化・変容は止まらないもの、次々つながっていくものだということを意味します。
人間の意識も身体も、絶えず動き、変化しつづけています。
ですので、変化は常に起きているのです。
この変化を、いかに成長に向けて方向付けて行くか。
それが肝要になるとも思います。