さあ、きのう受けて来たキャシー・マデン先生とのレッスンを振り返ろう。
相変わらず、素晴らしくかつ想像を越えた指摘だった。
Cathy「見ていると、上唇の技術が発達しているのに対して、下唇はただ支えて踏ん張っているだけに思える。下唇をもっと技巧に参加させてあげてみたら?
‥…なるほど!確かに。
やってみると、音がもっと Brassy に輝かしさを増した。
Cathy「そうそう!いま見ていると、トランペット奏者のマルサリスの唇の使い方を思い出したわ」
‥‥嬉しいお言葉!
ホルン界では過去数十年、「下唇は支える。コントロールは上唇で」という言い方がされている。下唇はあまり使うべきでないというニュアンスで。
わたしはそれにあまり納得して来なかったにも関わらず、「それが正しいということになってるから、そうしておこうかな」「下唇が使われちゃいけないんだ」と考えてしまっていた、潜在意識的に。それで下唇を「下等な存在」に押し込めていた
下唇をもっと上手な存在にしてあげてよい、スキルやコントロールに積極的に関わらせてよい、その発想を持って吹いただけで、下唇の中央部をいかに無視し蔑んでいたか分かった。下唇全体の感覚が意識に登った。そして下唇やその周りにほのかな疲れ、張りを感じた。
そうだ。唇ってつまり口輪筋だ。口輪筋って輪だから上とか下とかない。つまりこれからは、『全唇がやってくれる』って思えばいいんだ!
これは新しい!ワクワク。
動けるとこ、動かせるとこをどんどん使おうよ!という発想。機械論を身体に当てはめ動きを禁じる 20世紀的な「奏法論」より、アレクサンダーテクニークが上達にはるかに役立ちやすいのはきっとそのへん。
続いて、頬骨や目のあたりの骨や空間の共鳴について。下唇を音の生成やコントロールに参加させないでいた代わりに、このへんを固めて骨と空間に響き止めしていたみたい。
頬骨や目周辺の骨と空間を共鳴させてあげるという発想で吹いたら、
Cathy「音を出して演奏する行為が、もっと唇周辺に集約されて specific / 具体的特定的になったわね!」
というフィードバック。なるほど!
そういえばペダル音域と中音域を行ったり来たりすると、どこが頭で口で顎かよく分からなくなる、と言ったら、
Cathy「それは頭部の骨や空間のあらゆるところが鳴っているからよ!素晴らしいことよ!」と。
なるほど。漠然と避けようとしていたが、歓迎したいことなんだ。
こんにちは。
今フリーでトロンボーンを吹いてます。
最近アレクサンダーテクニークに興味があり、ブログ・メルマガ拝見させていただいてます。
昨日、唇ってすごく繊細な部分、その振動を今まではバズィングしてるかな程度だったのを楽器を吹きながらもっと感じてみる。
そして口輪筋。下唇も参加させてみよう。
するといままでよりも音の鳴りが楽。
顔が共鳴してるのをすごく感じました。
その後ホールに練習しに行って試したのですが、やはり楽に音が出るし、楽にホール全体が響きわたりました。
他の団員さんびっくりしてました(笑)
ありがとうございます(*^^*)
佐喜さま
おはようございます。
記事がこのように大きく役立ったこと、非常に嬉しく思います。
顔が共鳴しているのを感じる、と書いておられるのをみて、私自身が自分の書いた内容・アイデアにもっと信頼が持てるようになり、自分の練習でもっと積極的にそのアイデアを取り入れられるようになりました。
このコメント、記事で紹介してもよろしいでしょうか?
おはようございます。
コメント紹介されても大丈夫です。
今週末に一つ本番がありますが
、こんなにワクワクしながら本番をむかえれるのは初めてです。
佐藤さん
ありがとうございます。
本番の成功を祈ります!
こんばんは。
自分は大学の部活動でホルンを吹いている丸本というものです。
最近、このブログで読みはしても実行に移してこなかったことを積極的に行うようになりました。
すると練習がスムーズになり、疲労が少なく、自分の体への気づきが増え、何より日々の練習が楽しくてたまらないものになりました。
そして自分の心にも敏感になりました。
今までは気付かなかった、自分の心がどんなことを考えているかということにも気づけるようになりました。その中の一つに極端に言うと「自分の一番汚い音が自分の実力である」というものがあります。もう少しソフトに言えば「不調の時が自分の実力」ということになるでしょうか。
そんな中バジル先生のtwiiterを眺めていたときあるツイートが目にとまりました。5月12日の楽に演奏できた時はまぐれなどではなく実力だという旨のツイートです。
この考えがすんなり自分に入ってくればもっと練習が楽しいものになりそうな予感がしています。ですが自分だけではこの考えを取り込めそうにありません。
もしよろしければそのお手伝いをしていただければ幸いです。そうでなくても何かお返事を頂けただけでもう感無量です。
よろしくお願いいたします。
丸本さま
おはようございます。コメントありがとうございます。
この考え方を「したい」けれども、「させてくれない」思考があるわけですね。
そんな思考、ノイズが頭に浮かんできますか?
こんにちは。
バジル先生、回答していただきありがとうございます。
ノイズとして思い浮かぶのは「どんなにいい音が鳴ったとしてもそれはマグレで、自分の能力の範疇を超えたものである」というもの、「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」というもの、一つ目の思考と関連して「『マグレ』を自分の実力と『勘違い』したら周りに調子に乗っていると思われてしまう」の3つが、いま思いつく限りでは、あるのではないかと思います。
なるほど。
「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」
これが根幹ですね。
では尋ねます。
「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」
これは本当ですか?
本心、感情の答えを言って下さい。Yesでもかまいません。
アレクサンダーテクニークに接するようになってからいくらか自分に肯定的に接するようになれたので、YESと言い切ることはないですがNOといいきることもできません。
もし仮に「自己を肯定さえしていれば上達できるか?」という問いがあったとしたら、100%自分はNOと答えます。
上達するために大なり小なり自己否定のエネルギーは必要不可欠ではないかと感じます。
正直な返答をありがとうございます。
では問いかけてみます。
「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」
これは 絶対・100%・揺るぎなく 真実だと思いますか?
ピンバック: 音の鳴りが楽。 顔が共鳴してるのをすごく感じました。 | バジル・クリッツァーのブログ
100%真実ということはないと思います。
現に自分を肯定するようになってからできるようになったことが増えた気がしますから。
ただ自分の長所に注目して練習していると、ふと「これでいいのか」と何か大事な忘れ物をしてしまったんじゃないかと不安なときのような感覚に襲われることがあります。
自己否定は上達に必要不可欠ということをそう考えたくないのにもかかわらず頭のどこかで考えていることもまた事実です。
もしかしたら本当は考えたくないことを考えてしまっているということにも問題があるのかもしれません。
OK, では目を閉じて、
「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」
と考えてみてください。
そのとき
・身体はどうなりますか?
・身体はどんな感じがしますか?
・どんな気分になりますか?
・どんな感情が湧きますか?
それらの状態のとき、
・自分はどんな振る舞いをしますか?
・自分はどんな行動をとることが多いですか?
・人付き合いはどうなっていますか?
・他者との関係はどうなっていますか?
返信が遅くなってしまい申し訳ございません。
いつの間にか眉間にしわが寄っていました。顔がこわばる感じがします。
心臓を誰かに軽く握られているかのような感覚になります。
目をつぶっているのも相まってか孤独感を強く感じます。終わりの見えない課題に追われているような途方もなさも感じます。
うまく表現できないので簡潔に言うと義務感と恐怖を感じます。
それらの状態の時、
何事にも関心がないような振る舞いをすると思います。
何もしたくなくなってただ時間が過ぎるのを待つようになると思います。
自分の殻に閉じこもろうとしてしまうので人付き合いをしたくなくなると思います。
自分は周りの人にとって価値の薄い人間と思うようになると思います。
すばらしい。ここまで「自分の状態」に考察を深められたのは、非常に意義深い事です。
では、この状態は、好きですか?
もし好きでなければ、目を閉じて想像して下さい。
練習、あるいは本番の前に楽器を手にしている自分を想像します。
これから練習に向かおうというときに、もし仮に「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」という思考が、なぜだかチラリともよぎらなかったとすれば、どんな感じがするでしょうか?
その思考を消す、ということは不可能ですから、ただ想像するだけでよいのです。
もし仮に「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」という思考が、なぜだかチラリともよぎらなかったとすれば、どんな感じがするでしょうか?
そのとき
・身体はどうなりますか?
・身体はどんな感じがしますか?
・どんな気分になりますか?
・どんな感情が湧きますか?
それらの状態のとき、
・自分はどんな振る舞いをしますか?
・自分はどんな行動をとることが多いですか?
・人付き合いはどうなっていますか?
・他者との関係はどうなっていますか?
楽器が軽いだろうと思います。
自然体でいられるような気がします。
変な言い方ですがこの環境の中で自分がここにいるということがはっきりとするような感じがします。周りの色々なものが見えるような、視界が開けた感じがします。
ホルンを使っていろんなことがしたくなるような気がします。
そんな時、
練習もしくは本番の中で笑顔が出ることがあるかもしれません。
好奇心が旺盛になっていろいろ見たり聞いたり触ったりしたくなると思います。
ゆとりのあるというか、心が開けた感じになると思います。
自分も相手も尊重できるような感じ?がします。
すばらしいですね。
これが「自己否定を続けていないと上達には結びつかない」という「絶対真実ではない」思考が、存在しなかったとしたら、あるいは信じ込んでいいなかったとしたら見えてくる、自分本来の自然な状態です。
では、
「(自分は)自己否定を続けていないと(自分は)上達には結びつかない」
という文章をいろいろと変えていきます。
①文中に2カ所ある否定形の、最初を肯定形にして書いてみてください。
→・その思考(文章)はどんな感じがしますか?
・その思考(文章)が本当である可能性はありますか?
・可能性があれば、3つ例を考えてみてください。
②文中に2カ所ある否定形の、うしろを肯定形にして書いてみてください。
→・その思考(文章)はどんな感じがしますか?
・その思考(文章)が本当である可能性はありますか?
・可能性があれば、3つ例を考えてみてください。
③文中に2カ所ある否定形の、両方を肯定形にして書いてみてください。
→・その思考(文章)はどんな感じがしますか?
・その思考(文章)が本当である可能性はありますか?
・可能性があれば、3つ例を考えてみてください。
④文中に2カ所ある(自分は)を、(ひとは)にして書いてみてください。
→・その思考(文章)はどんな感じがしますか?
・その思考(文章)が本当である可能性はありますか?
・可能性があれば、3つ例を考えてみてください。
続けて申し訳ございません。
もしかすると「上達には自己否定が不可欠」という思考は自分が上達するために必要だった思考の技術=癖なのかもしれません。
もしそうならばその癖に直接向き合うのでなく、また別の思考の技術が必要になるのでしょうか。
「自己否定を続けていると上達に結びつかない」
ここに打ち込むと、なにか核心をついている文章のような感じがします。
可能性があると思います。
自己否定を続けていった果てにはきっとボロボロになってしまうから。
自己否定をしていても上達した実感があまりわかないから。
自己否定による萎縮や緊張は楽器を自分らしくふけるときの自由さを妨げるから。
「自己否定を続けていないと上達に結びつく」
そんな方法もあるのか、といった感じです。
可能性もあると思います。
自分が小さいころ、自転車に乗る練習をしていたとき「1メートル進めたけど結局転んでしまった。それはまだハンドルの握り方がダメだからだ」なんてことは考えていなかったから。それでも自転車には乗れるようになったから。
自己否定をしなくても上達のアイデアが見つかるという実体験があるから。
自己否定をしなかったらきっとありのままの、自然体の吹き方ができるから。
「自己否定を続けていると上達に結びつく」
まずそうな薬をあなたのためだから飲みなさいと言われている感じです。
可能性はあると思います。
実際ホルンを始めて自己否定を続けてきて、始めた頃よりは上達しているのがわかるから。
上達には反省も必要だと感じるから。
自己否定を続けて上達してきたのだろうという、楽器のうまい先輩や友人がいるから。
「人は自己否定を続けていないと人は上達に結びつかない」
そこまで言い切れるかなーといった感じです。
可能性がないと言ってしまってもいいと思います。
すばらしい。
丸本さんにとって「自己否定を続けていると上達に結びつかない」というのが、新たな真実として深く響いているようですね。
これからは、どんなことを意識的に「思う」ようにしながら練習すると良い気がしますか?
あれこれと考えた結果今の自分に一番フィットしそうなのは「上達のためには自己否定だけではなく、様々なアプローチがある」という考え方です。
積極的に自分を肯定してあげるもよし、ホルンに息を入れると音が鳴るということをただただ楽しむもよし、今回バジル先生にアドバイスを求めたように誰かの助けを借りるもよし。
多様なアプローチをいろいろと試してみたいと思います。
あと上達のハードルをもう少し下げてみようと思います。
丸本さん
このやり取り、ブログ記事として紹介してよいでしょうか?
バジル先生。
紹介していただいてもかまいません。
それから、まだバジル先生にお聞きしたいことがありますし、もっと言えば先生のレッスンも受けてみたいです。
これからもよろしくお願いいたします。
丸本さん ありがとうございます。お会いできるのを楽しみにしております (^^)
一番大事なことを申し上げるのを忘れていました。
先生、自分の思考の整理に付き合っていただきありがとうございました。おかげで、たくさんの実のある発見がありました。
感謝しております。
いえいえ、わたしの方こそ、推移を見ていて非常に勉強になっています。
バジル先生、はじめまして!
今、ある専門学校でトロンボーンを学んでいます、りなりな(あだ名)といいます!
約半年前に友人からアレクサンダー・テクニークを聞き
その後、ブログを拝見させてもらってます!
今回、トロンボーンの事で悩みがあり
自分ではどうしたらいいかわからないと思い、
ここに書かせていただきました。
私はトロンボーンを7年間吹き続けていて
今年の5月入る前にやっと、自分の楽器を
もつことができました!(今までは学校で楽器を借りて吹いていました。)
それから約4ヶ月半くらい経った今、
校内の実技試験(演奏です)や11月の定期演奏会、その定期演奏会に向けての強化合宿がどんどんせまってきています。
そんな中、いつものように基礎練して曲の練習していると、いつも出せたはずの音が突然出しにくくなっていました。8月下旬からずっと、でにくくなってます。
実音で、F辺りからチューニングBより高いGまでが
口全体が狭くなってる感じと、顎のした辺りの喉付近がギューッとしまってきているような感じがします。
口全体と喉がしまってくるのを、どうにかして直す、もしくは軽くしたいのですが
何か方法はありますか?
コツでもなんでも構わないので、
返信いただけるとありがたいです。
よろしくお願いします。
その8月下旬から、
・タンギングの仕方
・シラブルのこと
・口の中のこと
やそれに近いことで新しく意識しはじめたことや気を付けよるようになったことは何かありますか?
返信ありがとうございます!
関係や似た事かどうか分からないのですが、
タンギング(今は8分音符と16分音符だけですが…)を基礎練に加えて練習しています。
それ以外は特にありません…。
数日間、タンギングのメニューぬきにしてみて下さい。
基礎練も曲も、あまりタンギングに意識がいかないで済むものを選んでやってみてるうちに、数日間経ったら調子が回復するかいったん様子見して、また経過報告お願いします。
バジル先生こんにちは!
数日間ですが、
タンギングを意識しないで済む練習してみました。
F〜チューニングB♭まで
ほんのちょっとだけですが、楽になった気がします。(気持ちだけかもしれないのですが…。)
ただ、それより上の音で上がっていくほど喉付近が絞まって苦しくなるのはまだとれませんでした。
口や喉付近に力が入っているからなのでしょうか…?
口を閉めないように
口を力まないように
口を広く
もしかしたらそんな意識していますか?していれば、それが仇となっていますね。
思い切って口をエイッと使ってみると、そして息もエイッ吐くとどうなりますか?
口を閉めないように
口を力まないように
口を広く
もしかしたらそんな意識していますか?していれば、それが仇となっていますね。
思い切って口をエイッと使ってみると、そして息もエイッ吐くとどうなりますか?