観察して情報を得る

変化や成長が起こるプロセスには、情報を集める段階が含まれています。

情報とは、自らの現状、現在地、いま起きている事を知らせてくれるものです。

ホルンの演奏の向上を望む場合、次のような事に関する情報が必要になります

1:望み・情熱は何か

前の稿で書いた事と重なりますが、まずはこれです。

自分が何をすることにエネルギーを秘めているか。

なぜ、そうなのか。

どういう変化を望んでいるのか。

比喩的に言うと、フライトに必要な燃料の確認です。

2:いまどういう状況なのか

聴覚ーいまの自分は、どういう音を奏でていますか。批判せず,評価もせず、ただただ実際に鳴っている音に意識を向けてみて下さい。一つの音の中に、多彩な動きや表情、質感があることに気が付くかもしれません。

視覚ー鏡を使って、自分を観察してみて下さい。ホルンを吹いているとき。ただホルンを持っているだけのとき。ホルンを持たずに、「ホルンを吹く事を考えている」ときと、「別のことを考えているとき」の自分全身を鏡で観察するのも面白いかもしれまsんよ。ここで要注意ーアンブシュアや姿勢にばかり気をとられないように。姿勢ではなく全身の動きを観察して下さい。そして、考えていることと全身の動きの質に何か関連があるでしょうか?
また、鏡がなくても視覚から分かることがあります。「自分がどのような見方をしているか」です。練習中、何を見ていますか?目の前の譜面だけ?部屋全体を見回してみるとどうなりますか?焦点を合わせているものの他に、周辺視野で色々なものが見えていることに気が付いていますか?

嗅覚・味覚ーこれはさほど重点的に使う情報源ではないでしょうが、含めて下さい。切り離さないで。ホルンの金属の匂いは感じますか?緊張しているときに、ふと部屋の中の花の香りに気が付く事が、大きな助けになるかもしれません。本番前に、お弁当を本当に味わってますか?ゆっくり食べていますか?全ての感覚が「いま・ここ」を知らせてくれています。

触覚ーホルンにどのように触れていますか?ホルンの温度を感じていますか?表面が滑らかで気持ち良いですよね。マウスピースの形や温度、材質、厚みも唇の触感を通して分かります。
衣服と身体の接触からは、自分の身体の輪郭や、動いた時の情報が伝わってきます。脇の下に空間があること、腕と胴体にスペースがあること。背中が長く広く大きくて丸みを帯びていること。この全身に普段気が付いていますか?
足からは床が自分を支えていることに気が付く事もできます。

筋感覚ーこれが、自分の右足がそこにあることや、左手親指が動いた事を分からせてくれる感覚です。からだの各部位の位置情報や、動きの度合い・方向・速さなどが計測されています。これをもっともっと使いましょう。いま、ホルンを持ち上げたとき、身体の腕のどこをどのようにどのくらいの力を使って動かしましたか?その間、右足や左足はどこで何をしていましたか?こうやって、気付きを全身に広げて行きます

これらの感覚は別々のバラバラのものではありません。常に全てが機能し、常に脳に情報を送っています。

つまり、情報いついかなるときも、自分にやってきています。常に存在しています。ただそれに意識的になっていないだけなのです。

情報を集めるーこれはいま・ここ」の自分自身に意識的になることだとも言えるでしょう。

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観察して情報を得る」への2件のフィードバック

  1. 得られた情報から洞察・分析・アイデアを得る

    このシリーズの前の稿では、「観察して情報を集める」という事を見ていきました。 http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11 次に、この稿で見ていきたいのは、得られた情報から洞察や分析・アイデアを得るということです。 前稿で説明したような観察を通して、自らのホルン演奏の状況に関して情報が集まってきます。 十分に情報が集まってくると、自然と関連性が見えてきたり感じられたりしてきます。 たとえば、なぜか特別難しくはないのに吹きづらかったり吹けないフレーズがあったとします。 「そのフレーズを吹くときの自分」「フレーズと自分との関係」を観察するにつれて、 何か気付くことがあるでしょうか? 重要なのは気付きや洞察は、浮かび上がってくるものだという事です。 言い換えると、気が付くことに努力のしようがないという事です。 なぜなら、気付きや洞察は、知覚・感覚を通じて入ってきた情報が、脳の中で整理され結びつきが形成されるという事に他ならないからです。 さらに言い換えると、唯一「する」ことは観察する事を繰り返し選択するという事「だけ」なのです。 気付きや洞察は、入ってくる情報が、これまで使われていなかった他の情報と脳の中で関連づけられ、それまで認識できなかったことが認識されることで得られます。 多くの人が思っているより、かなり受動的な経験だとも言えるかもしれません。 十分に情報が得られていないと、そしてそれが必要な時間の分だけ脳の中で処理されない限りは、「新たな気付き」や「洞察」は浮かび上がって来れません。まだ出来上がっていないのですから。 逆に、ものすごく速く気付きを得ている事もあります。 逆説的ですが、観察を始めると、小さな事にはしょっちゅう気が付き始めます。 それも重要で必要な気付きです。 このような、毎秒ごとにでも得られる気付きをどうするか。 それに対して能動的に何かする必要はおそらくありません このような細かな気付きの連続の中で、突然あるいはぼんやりとアイデアが出てくるかもしれません。 アイデアとは、 「こうしてみると良さそうだ」 「これをやらないようにしてみると、どうなるだろうか」 「このまま継続すると、何か起きそうだ」 そういう予感のようなものでもあるかもしれません。 それが次のステップにつながってきます。 このアイデアを使って、 実…

  2. 変化・変容のためのプロセスー目次

    ①はじめにー変化の為の9つの要素 http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07 ②情熱・意欲・望み http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09 ③観察して情報を得る http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11 ④得られた情報から洞察・分析・アイデアを得る http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17 ⑤サポート?第2のエネルギー? http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-21 ⑥探求・試行錯誤・実験 http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-26 ⑦解決策・新しいプラン http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-05-27 ⑧信頼?第3のエネルギー? http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-06-01 ⑨結果(新しい経験)=第5段階 と 新しい目的・目標・領域=第6段階 http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-06-12 意見・コメント・質問・苦情は basil@bodychance.jp Basil Kritzer ホルン&金管トレーナー。 ThinkingBody 認定コーチ→ThinkingBodyについて 京都華頂女子高等学校音楽科ホルン科講師。 香港生まれ、京都育ち。ドイツ・エッセンフォルクヴァング芸大ホルン専攻卒業。 現在、BODY CHANCE にてアレクサンダー・テクニーク教師養成課程履修中。通訳兼務。 2012年 アレクサンダー・テクニーク講師資格取得予定 にほんブログ村 にほんブログ村

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