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【Q3:腹式呼吸ってなに?】
吹奏楽部に入ると、まず最初に言われるのが「腹式呼吸」ですね。
・・・でも、正直よく分からないなあ、と感じているひとのほうが圧倒的に多いんじゃないでしょうか。
そりゃそうです、だってお腹に空気を入れるなんて、絶対できないんだもの。
わたしも中学生のとき、おかしいなあ、といつも思っていました。
腹式呼吸を理解して、しかも楽器演奏がうまくいくように取り入れるには、いったん次のことは忘れましょう。
◎お腹に息を入れる
◎肩を上げちゃいけない
◎重心を下げる。
・・・どれも、文字通りに受け取ってしまうと、「まちがい」なのです。だから、うまくいかなかったり逆効果になっていたりすることが多いのです。
【自然な腹式呼吸】
まず、ゆっくりと、身も心もリラックスした状態で鼻から息を吸ってみましょう。
立っていても、床にあおむけになっていても、オーケーです。
呼吸がしやすい方でやって下さい。
なんどか、ほんとにゆっくり、ラクに、ながく息を吸って、
そして気持ちよく息を吐いてください。
そのうち、息を吸うとなんとなく体が膨らんだり持ち上がったりして、
息を吐くと体がしぼんだり落ちてくる感じがしたりするのがわかると思います。
これが、呼吸の動きです。
息を吸う=体がふくらむ。
息を吐く=体がしぼむ。
これが感じられたら、あるいは鏡で見てそうなっているのが分かったら、
もうその時点で「腹式呼吸」の基本はできています。
そう、腹式呼吸はごく自然な呼吸で、誰でも意識せずにできているものなのです。
息を吸うと、胸もお腹も膨らみます。
胸が動いたり膨らんだり上がったらいけない、というのはまちがいです。
腹式呼吸は、息を吸うと膨らむ「胸」と「お腹」の、お腹の部分に着目することを意味します。胸も膨らんだり動いたりしていて正しいのです。
さっきの、ゆっくり・ラクな・長い呼吸をリラックスしてしばらくやってみましょう。そしてそのあいだに、少しづつお腹の膨らむ感じや様子に気持ちを向けてみましょう。
それが自然な腹式呼吸です。
あまり膨らむ感じがなくても、おへその上でも下でも脇腹でも、どこか少しだけでも膨らむのがわかれば十分です。
【腹式呼吸を練習しよう】
腹式呼吸は、だれでももうできている自然な呼吸ですが、もっと練習するのは楽器演奏にとても役立つでしょう。
↓
①おへそ、おへその上か下、脇腹、どこでもよいので息を吸ったらふくらむのがわかりやすい場所に手を置きます。
②ゆっくりとラクに息を吸い続けます。すると、お腹が動くのが手を通して感じられるでしょう。
③だんだん、息を吸う長さを伸ばして、お腹が膨らむ動きの時間も伸ばすようにしてみましょう。
この時点では、あまり頑張らなくてオーケーです。無理せずに、でもわざとちょっとずつお腹が膨らむ長さを伸ばしてみましょう。
そのエクササイズで、とてもよい腹式呼吸の練習になります。
エクササイズで感じる感覚を、楽器で音を出すにすこし思い出して音を出してみると、音や吹きごこちはどうなりますか?
【パワフル腹式呼吸】
ここまでで、腹式呼吸が気に入ったら、もう1段階本格的な腹式呼吸をしてみます。
↓
①膨らむのがわかりやすい場所に手を当てて、息をゆっくり鼻から、ながーく吸います。
②手で、膨らんでいる場所を押して、凹ませようとしてください。
③でも、膨らんでいる感覚を、グッとキープしようとしてみてください。手とお腹で押し合いへし合いするようなイメージです。
けっこう、大変な感じがしてもオーケーです。
この、「息を吸うことでお腹をふくらませる、そしてそれにパワーを使う」感覚が、息の支え、あるいはお腹の支えと呼ばれるものです。
この感覚で音を出してみましょう。
どんな音や吹きごこちなるでしょうか。
結果や感触が気に入ったら、
長いフレーズ
大きな音
高い音
など、力が必要な感じがするときに特に活用してみてください。
Basil Kritzer