頭と脊椎

ホルンを吹いているとき、身体のどういう部分に気が行っていますか?
どういう動きを考えていますか?

おそらく、呼吸・アンブシュア・お腹・指・舌 あたりが代表的なところじゃないでしょうか。





ですが、これらを全部含んでその状態を間接的にかつ根本的に決定している動きがあります。

それが頭と脊椎の初源的調整作用(プライマリー・コントロール)です。

人間を含む脊椎動物は、脊椎の一番先に中枢的な脳を持ちます。

その脳や、脳に外界の重要な情報(視覚・聴覚・嗅覚・味覚)を受け取って送っている器官(目・耳・鼻・舌)が頭に集中しています。

その頭と、胴体の軸である脊椎の動的な関係性は、自分自身がどのように動きどのような状況にあり、どのような行動をとるのかという生存に究極的にダイレクトに影響します。




人間を含む脊椎動物の身体の動きは、脊椎に沿って調整されており、手足の動きも結局は脊椎の動きを基盤とています。

また、呼吸は胸郭と骨盤において主な動きが起きますが、胸郭を形成する肋骨は脊椎と関節になっていますし、骨盤も脊椎の下部の仙骨と密接に関連しており、脊椎の一部と言えます。

ということは、脊椎の動き方や状態により、呼吸の質が決まるのです。

そして、動きが全般に脊椎に沿って組織されている(それが脊椎動物です)以上、全ての動きは脊椎の動きによってその質が決まってきます。



で、その脊椎の動きというのは、頭との関係で決まるのです。

頭は、人間の場合,7〜8キログラムあり、脊椎の一番上でバランスをとっています。このバランスが損なわれ、脊椎に対して圧迫を加えていると、脊椎の動きの自由が損なわれます。

すると、身体の動き全般に影響が出てくるわけです。



顔面の筋肉もそうだし、顎関節は頭が脊椎の上でバランスをとっている場所のすぐ近くなのもあって、密接に関連します。ですので、アンブシュアの機能も非常にこの頭のバランスと関わっているわけです。

呼吸は先ほど述べた様に、脊椎の動きそのものです。

腕構造は、腕を動かす筋肉が頭や肋骨・脊椎につながっているので、楽器を持ち上げる事やフィンガリングも脊椎の動きの質、つまり頭と脊椎の関係性によって深く影響されています。



ホルン演奏の際して、一見バラバラ別々に見える事柄(アンブシュア・呼吸・手足)は実はこの頭と脊椎の関係性によって統合されています。

ですので、もし今まで色々な問題に悩み、一方をが変わればもう一方が悪くなる、そんなことを繰り返し経験してきたのだとすれば、もしかしたら頭と脊椎の関係に着目することがポイントになるかもしれません。

この事を意識するのは、変な感じがするかもしれません。でも、それは頭と脊椎の関係性を観察したり考えてみたりする事に慣れていないからに過ぎません。

普通のひとは、ホルン吹きのように細かく呼吸や唇・舌のことを感じたり考えたりしたことはまずないでしょう。

ですので、息やアンブシュアを観察してきたように、頭と脊椎がどういうふうにバランスをとっているのか、どういう動きがあるのか、ただ意識して観察してみれば良いのです。


参考
頭と身体全体の関係


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以下はバジルが8年在籍したアレクサンダーテクニークのスクール「BodyChance」で書いていたメルマガです。




頭と脊椎” への7件のコメント

  1. 最近、AT関連の記事が多くて、とても役立っておりますm(_ _)m
    今回の「頭と脊椎」は、青本の最初に書かれていて、僕が最初に取り組んだことです。
    バランスをとることを意識しただけなんですが、劇的にホルンが吹きやすくなり、驚きました。
    それ以来、音を出す前に、必ず、意識しています。

    また、息を吸うと脊椎が縮むというのも、ショッキングでした。
    無理に背筋を張るのをやめ、その縮みを意識すると、息が吸いやすくなりました。

    ATは本当に面白いです!

  2. massyさん

    実は今,F.M.アレクサンダー自身が導き出した7つの原理を順番に取り上げて、「ホルン演奏ではどういう意味を持つだろう?」と考えてみて実験的に書いています。

    それにしても、massyさんの体験は初っ端から核心に入ってますね?!

    maasyさんの書いている通り、本当に「意識するだけ」なんですよね。

    息を吸うと脊椎がにまとまって椎骨同士が近づくんですよね。
    だから、maasyさんの言う通り、息を吸うときに胴体を伸ばそうとしなくていいんですよね。

    逆に、息を吐きながら、少し脊椎が伸びていく事を考えてみるのもアリですね!

  3. 『後頭下筋』 ー管楽器奏者のためのBodyThinking 1ー

    管楽器奏者のためのBodyThinkingパイロット版。 稿ごとに、身体のさまざまな部位や骨、構造、筋肉、仕組みを一つ例にとって、演奏に役立つ考え方を紹介していきます。 第一回は「後頭下筋」。 分かりやすい図と解説を、http://www42.tok2.com/home/hininn/kinniku/40/41/post_58/default.htmより引用。 星で示されているのは、「後頭下筋」のなかの「大後頭直筋」です。 作用: 後部の後頭下筋群の一つです。ここの筋肉は、様々な姿勢をした時に、目線を水平に保つために、調整をする部分です。頚椎の1、2番は、その意味でも大切な部位です。また、この部位は、椎骨動脈や頚動脈といった、脳への血液循環を左右する複雑な部位でもあります。それゆえに、これらの後頭下筋群の働きは重要です。 簡潔ですが、非常に重要な説明を的確にしてくれています。 これは、F.M.アレクサンダーの発見した原理の中でも中心的なものである、 『頭の動きが脊椎の協調作用を支配し、そして腕・脚などの付属骨格の動きの質を決定する』 (参照:「頭と脊椎」→http://basil-horn.blog.so-net.ne.jp/2010-04-12) という原理と深く関わる筋肉群です。 解説にあるように、目線の調整をすべく頭を動かします。 目の筋肉は、「光」に対応する人体の中で最も感度の高い繊細なものです。 これに対応できる水準の繊細さを感度と繊細を持つのが「後頭下筋群」だと考えてよいでしょう。 まず、指先を、一番指の遠くにある関節からだけ動かしてみてください。 非常に注意深くなりますよね?わずかな動きですから。 この指先よりも遥かに小さく精密な調整を行えるのが「後頭下筋群」でもあります。 人間の身体は、頭という重いものが、背骨のいーちばんてっぺんに乗ってバランスを取っていますね。 その頭に目も耳も鼻も口も付いていて、外界からの情報を絶えず集めています。 ちょっとした物音の方向、光の変化などの正確な感知には、もちろん頭の動きやバランスの状態が計算に含まれています。 そういう意味でも、「後頭下筋群」は重要な役割りを担っています。 身体の動きのみならず、外界と自分との関わりを正確に把握するうえで、深く関わるのですから。 ここの動きが不十分になっていたり、硬くなっていたら、どうなるでしょうか。…

  4. 『斜角筋』ー管楽器奏者のためのBodyThinking ー

    管楽器奏者のためのBodyThinkingパイロット版。 稿ごとに、身体のさまざまな部位や骨、構造、筋肉、仕組みを一つ例にとって、演奏に役立つ考え方を紹介していきます。 第三回は『斜角筋』。 図はこちら。 こんな筋肉です。 斜角筋には三種類あって、前斜角筋/中斜角筋/後斜角筋です。 詳しい働きは筋肉図鑑をご参照下さい。 この斜角筋三種の主な働きは、 A) 首を前に傾ける事 B) 肋骨を引き上げ、吸気(息を吸う事)を補助する。とくに激しい呼吸のとき。 です。 きっと、管楽器奏者のみなさんの中には、首の辺りが呼吸に直に関わっているなんて想像もした事がない人も多いでしょう。 しかし、実際は、肋骨は首と筋肉でつながっていることが、図で見て一目瞭然ですね。 管楽器の世界では、「正しい呼吸=お腹を膨らませる」ということが絶対的ルールであるかのように(かなり押し付けがましく)指導されることが多いですが、その結果、 呼吸は胴体のとても上の方までつながって関係している全身の動きであることが忘れられがちです。 息を吸ったときお腹が膨らむのは自然です。 ほっといてもそうなるし、一見そうなってないように見える事があっても、筋力を使って「膨らませよう」とする必要はありません。むしろそれはマイナスに働く「力み」になるでしょう。 大事なポイントは、 「呼吸を意識しているときに、自分は身体のどこをどのように『意識』しているのか」ということです。 今回取り上げた斜角筋の図をよく見て下さい。 首のかなり上部から長い距離を、肋骨の一番上(これは鎖骨よりもさらに上です)をつないでいますよね。これは「吸う」ための筋肉です。 「お腹」ばかり意識して、1メートル近く上にあるこのエリアを無視していませんか? まずは、観察です。 楽器を演奏するとき、このあたりをどのように動かしていますか? 詰めちゃったり、力ませたりしていませんか? 「お腹」を意識するのも悪くないですが、「吸う」ことの働きの空間的に一番上は図の斜角筋エリアなのですから、「首」より「お腹」の方が絶対大事という合理的な理由はなさそうです。 本当の答えは、「全身」です。 人間はもともと「全身」ですから、「お腹」にばかり意識を固定させるのはよくないですね。 この「斜角筋」の図を見て、意識を首にも、そして背中や胸の上部にも向けてみましょう。 そういう意識を、楽器を…

  5. 『舌骨筋群』ー管楽器奏者のためのBodyThinking4ー

    管楽器奏者のためのBodyThinkingパイロット版。 稿ごとに、身体のさまざまな部位や骨、構造、筋肉、仕組みを一つ例にとって、演奏に役立つ考え方を紹介していきます。 第五回は『舌骨筋群』。 図はこちら。 このように舌骨から各部につながる筋肉たちです。 新・動きの解剖学より このように舌骨から頭、顎、舌、さらには肩甲骨とも筋肉のつながりがあります。 この図を見て、演奏に活かせるアイデアは何でしょう。 ①タンギングやブレスコントロールに、しかもアンブシュアにも頭や腕は無視できない! 舌骨は、字の通り舌が根付く筋肉です。 ということは、この舌骨の位置や動きが、舌に直接関係していて影響を与えているのは、想像に難くないと思います。 管楽器奏者は、舌のことは、かなり気付くと気付かざると意識しているものです。 タンギングについて悩んだり考えたり取り組んだ経験のあるひと。 ブレスコントロールと舌の関係を考えたことがある人。 あるいは、舌は空気の通り道を形づくってもいますから、「喉を開ける」ことを意識していると、多くの場合は実は舌の感覚が「喉を開ける」感覚としてとらえられているケースもあります。 (参照:拙ブログ「ベロの力み」) その意識されまくっている「舌」の根元である舌骨は、なんと頭や顎先とつながっているのが図を見ると分かりますね! そしてさらにびっくりなのは、舌骨はずっと後ろにある肩甲骨ともつながっているんです! 僕はこれに気がついたとき、衝撃を受けましたよ?。 はじめて、「身体全体を考えておく意義」を感じました。 タンギングという管楽器演奏上、重要なテクニックにおいてすら、頭や腕との関係が無視できないことが分かります。それが現実なのです! 肩甲骨は、腕の後ろのベースです。 頭は7?8キロの重さがあり、身体全体の動きの質とバランスに決定的な役割を持ちます。 (参照:拙ブログ『頭と脊椎』アレクサンダー・テクニーク7つの原理より) 頭ー舌骨ー肩甲骨でつながっているうえに、 舌骨ー顎先もつながっています。これは舌骨や舌もアンブシュアの形成や働きと大いに関係しているということです。 さらに、舌骨ー胸骨もつながっているのが分かります。 胸骨は全ての肋骨の係留地点のようなもので、呼吸と直接関係しています。 これで 「頭ー舌骨ー顎ー舌骨ー肩甲骨ー舌骨ー胸骨」という放射的な相互のつながりが見えてきま…

  6. 楽器が身体の一部になる

    忙しくてなかなか更新できていませんが、きょうは少し時間の余裕があるのを利用して、ちょこっと更新。 昨日から、グレッグ・ホールダウェイというアレクサンダー・テクニーク教師が大阪BODYCHANCE教師養成プロコース(見学随時OK!)に教えにオーストラリアから来ています。 初日の昨日、夜のクラスを通訳していて印象に残ったことがありました。 ホールダウェイ氏は大学で解剖学講師をしていて、最近バイオメカニクス(運動生理学系生体力学)の学士号を取得した、身体運動を専門的に研究しています。 そのホールダウェイ氏が 「楽器が身体の一部になる」 という現象について解説しました。 まず、内感覚/固有感覚(Proprioception)という重要な感覚を人間は持っています。 これは主に筋肉と関節の運動感覚で、自分の身体が空間の中でどこにどのようにあるかを感知します。 手を身体の後ろ側に持っていって、指を複雑な形にすると、見えてなくても自分の手がどこでどのようになっているか、分りますよね?これは固有感覚のおかげです。 固有感覚が機能しないと、歩くことも到底不可能です。 脚が見えていなくて、脚の状況を把握し動きを把握するのは固有感覚ですからね。 また、もう一つ固有感覚は、環境と自己の関係を把握するにも重要な感覚です。 椅子を自分の後ろに置いたあと、椅子を見なくても椅子を倒さずに座れるのはこの固有感覚が椅子と自分の距離感を身体感覚的にマップしてくれているからです。 つまり固有感覚は、接触したり関係を持つ物/対象も自分の一部としてマップするのです。 お箸を操れるのは、固有感覚が指先からお箸の先端までを「自分」としてマップしてくれるからなのです。脳の中では、お箸を「身体の一部」と認識しているのです。 車を運転していて、慣れるとスレスレの道をこすらずに通れるのも同じ現象です。 なんと、車をまるごと「自分の一部/延長」として固有感覚は取り込んでいきます。 楽器もまったく同じです! 楽器を手に取って操るとき、脳は楽器全体を「自分」としてマップしています。 楽器は身体の一部になっているのです。 しかし、現実には楽器と自分が一体に感じることは少ないですよね。 調子の良いときだけだったり。 それは、「身体のマップ」と「固有感覚」が鈍くなり不正確になっているから。 つまり、自分の身体イメージが不正確だったり、理…

  7. 『腕と呼吸の関係』ー管楽器奏者のためのBodyThinking 7ー

    管楽器奏者のためのBodyThinkingパイロット版。 稿ごとに、身体のさまざまな部位や骨、構造、筋肉、仕組みを一つ例にとって、演奏に役立つ考え方を紹介していきます。 第七回は『腕と呼吸の関係』。 管楽器をやっている人はきっと、「呼吸」についてはかなり意識してきたことと思います。 実際、管楽器奏者の呼吸運動は一般のひとより繊細にそして強くトレーニングされています。 では「呼吸を意識する」とき、どこを意識していますか? 大抵かえってくる答えが、「お腹」です。 たしかに、音を生み出す呼気(吐く息)の力は腹部の運動で生み出されます。 その点でお腹を意識するのは自然です。演奏の主な動力がそこだとも言えますから。 (ただし、実は「吸う」ときにお腹を意識するパターンの方が多く、そちらは多少疑問です。その話はまたの機会に。) しかし、呼吸の実際の出入りがあるのは口/気管/肺です。 それは頭ー首ー胸にあります。 (頭と首に関してはこちら→『頭と脊椎』) そしてこの頭ー首ー胸ーに腕が密接につながっています。 まず腕の全体像です。 HUMANBODY-SKELETON より そう、これが腕です。 鎖骨も肩甲骨も腕です! そしてこの腕が胴体とつながっている場所、 つまり腕の付け根は… この胸鎖関節です。 コラム「からだの意識を変えてみよう!」より 肩鎖関節でも肩甲上腕関節でもなく、 胸鎖関節なんです。 読んで字の如く、鎖骨と胸骨のつながっている場所です。 胸骨は、呼吸の起きている場所のど真ん中にあります。 これで、腕全体と呼吸が直に関わっているのが分かります。 さらに筋肉でもつながりがあります。 まず胸筋。 大胸筋 カイロプラクターの一分より 小胸筋 Bodywork Associates より これら胸筋は見ての通り、腕と前部肋骨や胸骨とつながっています。 つまり、 1:腕を動かす筋肉     & 2:肋骨を動かす=呼吸(この場合「吸う」)を助ける筋肉 なのです。 続けます。 前鋸筋 Prevent Diseases より これは腕の「土台」である肩甲骨から肋骨の側面を前後につなげる筋肉です。 これもやはり、 1:肩甲骨を動かす筋肉      & 2:肋骨を動かす=呼吸(「吸う」)の筋肉 です。 次は 菱形筋 Real bodywork より これは肩甲骨…

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