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前回の記事では、サラ・バーカー先生とのレッスンで「骨盤」を演奏の動きの意図の中に含める事で私の高音域への取り組みが軌道に乗り始めた過程をお話しました。
そのレッスンの翌年、サラ先生が再来日されたとき、また骨盤に関係する大事なことを学びました。
このときは、座奏時の演奏のようすを見てもらいました。
当時、座奏と立奏とでかなり吹き心地がちがって、座奏時に特に硬さを感じていました。
それを相談したのです。
レッスンでは、実際に座奏しているのを見てもらいました。
すると先生は、
・わたしが骨盤の存在を忘れていて
・骨盤を起こそう・立てようするような動きをと頑張り過ぎている
ということをを見抜きました。
そこでサラ先生は、軽く私の背中の下部や腰の外側に触れながらそこに動きを促しました。
きっとそのあたりから身体を硬くしていたのですね。
すると、自分の感覚としては骨盤を寝かせ過ぎているような感じではあるがふっと緩むような感じがありました。
そうなると何故か息も通り易い。こっちの方がラクなのは間違いありませんでした。
身体へのストレスが軽減されていました。
これで演奏の質がすぐに大きく変わったわけではありませんでしたが、もっと長い目で見て確実に役立ちそうだなという感覚がありました。
そう思っていたところ、この学びがなんとさっそく翌日にありました。
木管5重奏の本番があったのです。
フリーランス活動実質まだ1年目。お金をもらって演奏するのもせいぜいまだ10回にもなっていないような時期で、気持ちはかなりそわそわしていました。
しかも、慣れない曲ばかり、リハーサルは1回のみ、というシチュエーション。
冷や汗だらだら、ハラハラドキドキで、本番の私の出来も、お世辞にも「うまくいった」とは言えない内容でした。
しかししかし!
前日サラ先生に教えてもらった「骨盤」のことは繰り返し本番中も注意を向けていたのですが、するとですね、いつもは出来不出来に関わらず本番後はかならず背中が痛くなっていたのが、このときは痛みが全くなかったのです!
かなりストレスを感じて、メンタル的にも緊張し口は乾き手は震え、アンブシュアのコントロールにも苦心したような状況だったのに、背中に無理をかけずに痛むこと無く高ストレスの本番を終えられた。
それは私にとって新しく、手応えのある経験でした。
以来、演奏に伴って腰や、肩、背中が痛くなるようなことは1度も無くなりました。
Basil Kritzer