– – –
夏の吹奏楽コンクールに向けた練習。これは、もうしんどい、大変なものです。
この記事では
・吹奏楽部の部活が時間や日数的に、体力や精神力上ハードに感じている中高生
・部活での練習に全力で取り組みながらも、生徒の健康や個々の音楽性・演奏能力の向上を長い目で見て助けてあげることを大事に感じている指導者・先生方
が読めば場合に役立ち、サポートすることを目的としています。
それを念頭にお読み頂ければ幸いです。
– – –
【ハードすぎる時期をどう乗り越えるか…わたしの苦しい経験】
もう全国大会も終わったので季節外れではありますが、調子を悪くして個人的な演奏能力の成長にブレーキをかけず、音楽を愛し味わう心の感受性を新鮮にしたまま夏の吹奏楽コンクールの時期のハードな練習をどう健康に乗り越えていくか。
日本の管楽器文化の土壌はなんといっても学校吹奏楽部にありますから、わたしの願いとしてはそこで中高生の音楽性や演奏能力(やりたいことができる力)がすくすく育って欲しいのです。ですので、それに役立つことを願って、アイデアを提供できれば思います。
わたしも中学生のとき、そして高校生のとき、毎年夏は吹奏楽コンクールの練習にずっと明け暮れていました。幸いにも毎年支部大会へと進むことができましたから、夏休みは毎年8月の最後の数日だけで、あとはずっと練習、練習、練習、でした。(全国大会に進む学校となれば、それが秋も続くわけですから、もっと大変ですね。)
コンクールの練習となると、顧問の先生も自分たちも相当に気合いが入ります。みんな自らすすんで「毎日ずっと全力」で吹いていました。わたしもそうでした。部活のモットーが「一音入魂」でしたから、何時間も続く合奏中、奏でる一音一音を全て全力で演奏しようとしていました。
しかしその結果、楽器の演奏能力や音楽を深く感じ取る感性が磨かれ成長していたかといえばそうではなく、コンクールの曲だけはなぜか吹けるけれど、自分なりに取り組んでいた音階やアルペジオなどの基礎練習のパターンは音が外れたり、かすれたり、身体が痛くてとてもじゃないけれど個人練習をする余裕がなくなってしまったりすることが何度もありました。
皮肉なことですが、合奏練習において、「ひとりのプレイヤー」としては真面目に、本気でやりすぎていたのが原因です。そのせいで、音楽を構成する一部として提供できる音色や技能は劣化していました。
当時を振り返ると、いち個人としてラクに、手応えを感じながら個人練習に取り組むだけの体力や気力の余裕を残しておけるぐらいの合奏への取り組み方にとどめておいたほうがよかったな….と、思わされます。
コンクールの時期の部活の過剰で異常なまでの、「全てを捧げるべき」という雰囲気や流れの中に身を置いていると、「自分のことを考えてあげる」「自分の調子や状態をなるべく優先し、健康にする」という態度を選択することは非常に難しいのは確かです。
わたしも、それが比較的できていた年はハードな夏でもあまり不調に陥らずに上達できた一方で、努力・根性・自己犠牲の方に流れた年は上達が止まったことを分かっていながらも、ついついそちらに流れてしまっていましたから。
しかしそれは承知であえて提案をしてみたいと思います。わたしの提案に触れたことがきっかけでコンクールや部活をより健康に、幸福に、個人的成長をたしかに成し遂げることができた、そんな結果を得る事になるひともきっと現れると思うからです。
あるいは、当時のわたしが触れることができたとしたら、あれほど身体的に苦しんだり、精神的に追いつめられたりせずに済んだであろう、そんなアイデアや考え方を共有したい、といった方が正しいのかもしれません。
【固定やロックをこまめに解除する】
コンクールの時期は概してオーバーワークが続いている状態で本番を迎えることになりますし、オーバーワークで体調や演奏の調子・コンディションが悪い状態で何時間も練習する日々が続いています。
身を置いている状況そのものが悪いため、奏法自体も本当の意味で「最善」のもので臨むことは不可能なことが多いのです。
これは何を意味するかというと、理想的または「良いコンディション」「良い環境」でこそ想定可能で成立可能な奏法でやっていこうとしない方がよい、ということです(奏法はここでは、吹き方、構え方、姿勢を主に指しています)。
「ベストの奏法」を本気でやり続けるには、部活の夏のコンクールの練習は多すぎる・長過ぎることが多いのです。
これは気持ちとか気合いとか根性でどうこうできるものではなく、人間、とくに中学生や高校生の心や身体は良い意味でもっとデリケートなのです。
しかし、じゃあコンクールなんてやめろ、そんな無茶な部活はやめろ、といってもあまり現実的ではなく、そんなことを言われても困るだけですから、そのハードすぎる状況を、どうしたらなるべくラクに健康に乗り切りながら自分個人として音楽性や演奏能力を伸ばして行けるかを考え、役に立つアイデアを提供したいと思います。
その要となるのが、ハードな時期は
『ベスト/理想の奏法より、意識的に力を抜いた吹き方をするよう心がける』
というアイデアです。
楽器演奏というのは、身体の力をとてもたくさん使います。
力を抜こうとするとうまくいかなくなることが多いのは、本当に演奏したいように演奏しようとするには、力が要るからです。
ですから、ベストの演奏を心がけるということは、それなりに力を使うことを意味します。
1日に2〜3時間の練習や合奏だけであれば、それを日々続けて行くことは可能です。しかし炎天の時期に、それを上回る練習が、それも毎日続いていると、「ベストの奏法のために必要なそれなりの力」を使う体力が摩耗してしまって残っていなくなってしまうのです。
そこを気持ちで押し切るなんてことはできません。楽器演奏はそんなに粗雑なものではありません。
だから、ハードな練習が続く時期には、吹き方そのものに使う力を意識的に少なめにし、そしてそれによる奏法は「ベスト」とはちょっと異なるものであることをよく自覚しておいて、体力の持続と心身の健康の維持を最優先にして日々の練習に臨む必要があると思います。
そうすれば、コンクールの大変な時期のなかでも、音楽性や演奏能力の個人的な成長や向上ができるでしょう。なんといっても、それだけ真剣に毎日長時間にわたって音楽をしているのですから。
ベストの吹き方とはちょっと異なっている、ということに自覚的でさえあれば悪い癖になるようなことでは無いのでその心配はありません。コンクールが終わって比較的ラクになれば、また使いたいだけ力を使ってほんとうに吹きたいように吹くようにしましょう。
あまりにハードな時期だからこそ、計画的に吹き方を調整しながら日々を過ごすことが大切なのです。
さてそれでは、どこの力をどう抜くことを意識してコンクールに向けた日々の練習を乗り切ればいいかということを、何点か具体的に挙げていきます。
【A】肋骨の力を抜く
真剣さや全力投球といった態度を強く要求される場面が多い夏のコンクールに向けた練習の時期において、その雰囲気や精神性から、過度な力みや頑張りにより硬く固定されてしまいやすいのが肋骨/胸郭です。
直接的には
・たくさん息を吸わなきゃいけない」
・胸を張らなきゃ/開けなきゃいけない
・猫背はダメ
・姿勢が崩れてはいけない
といった発想や思考から引き起こされがちです。
しかし、どれも実際的には確たる根拠は無く、演奏を良くする方向に作用することは稀です。むしろ自分と自分の身体に負荷をかけ、いじめるような方向に努力が注がれてしまいやすい発想です。
ですので、コンクールに向けたハードな練習が続く時期だからこそ、肋骨や胸の力を抜き、リラックスするようにしましょう。
それがうまくいかないとしたら、どこかで上述した意識が残ってしまっているのでしょう。それを続けなくても大丈夫であることはほぼ確かなので、これらの「〜しなきゃ/〜であるべき」系の思考を自分から取り去ってあげましょう。
肋骨や胸のリラックスを体感できる簡単なエクササイズを紹介します。
〈肋骨リラックスエクササイズ>
①自分の手や指で肋骨をたどっていきましょう。前側はみぞおちより上にあります。横は脇腹より上にあります。後ろは、背中の上半分にあります。
②肋骨や胸骨(胸の真ん中にある骨。首元まであります)をげんこつで軽くトントンと叩いてあげましょう。肋骨が実感しやすくなります。
③これで肋骨が身体のどのエリアに広がっているかイメージがしやすくなりました。
④そのエリア全体に対し、「きみたちみーんな動いていいからね〜緩んでいいからね〜ラクしていいからね〜」と言って(心の中で)あげながら息を鼻からゆっくり吸い込みます。
⑤肋骨たちに向かって「好きなように動いていいからね〜いくらでも動いていいからね〜内側に戻ってきてくれていいからね〜身体の中心の方に入り込んできていいからね〜」と言ってあげながら口からフーッと息を吐きます。
⑥ 4と5を五回ほど繰り返します。
⑦息を吸うたびにさっきより肋骨が動き、自然に胸や背中の上の方が拡がってくるでしょう。横側も拡がるように動き始めます(*注意*無理やり「そういう状態」にしようとしないように。動いてくれるまで待ちましょう)
⑧息を吐くたびに、さっきより肋骨が動き、身体の内側に向かって肋骨が動いてくれるようになり、気持ちよく「しぼむ」「戻ってくる」ようになります。最初よりもっと内側に動いてくれるでしょう。
このエクササイズで得たリラックスの感覚や、胸を固定せずに優しく自分の身体に接してあげる感覚が、ハードな部活な時期はとても役に立ちます。
合奏中も、こっそりやっていてもバレないでしょう。音の響きを柔かく増してくれます。
【B】腰を緩める
部活でも家庭でも、
「姿勢を良くしなければならない」
ということを強く教え込まれることがありますが、これが実際に演奏を助けるのかどうかという健全な問い/疑問を持つ事はあまり受け入れられていません。
残念ながら多くの場合本当の意味で良い姿勢であり、演奏を助け、健康的な状態とはほど遠い「無理な姿勢」が良しとされており、強制されがちです。
具体的には、腰をグッと入れ、上半身を下から押し上げるような体勢が「良い姿勢」というつもりなってやってしまっていることがわたしたちにはあります。
この体勢は、背中と頭が一直線になっていて確かに「まっすぐ」ではありますが、それは演奏を助ける健康な姿勢では全くありません。
息を吸うのも吐くのも大変で、腰や腹部に大きな負担をかけています。かなり不健康です。楽器を支えるのも、難しくなる場合があります。腰痛や背中の痛みを抱える危険が高いです。かなり問題がある状態です。
ですので、腰をグッと入れて無理やり身体を「まっすぐ」にするような頑張りはぜひやめちゃいましょう。
この状態から卒業しつつ、より健康かつ演奏を助けてくれる姿勢で演奏をすることの手始めとなるエクササイズを紹介します。
<腰のリラックスエクササイズ>
①まずは脱力し、思いっきりだらしなく姿勢を崩してください。うつむくような感じです。背中もたわんで、丸くならせてあげて下さい。
②そのラクな体勢のまま、身体をゆっくりと前に倒していきます。
③肘を膝に付け、体重を預けます。頭もうなだれるようにして、数秒〜数十秒休みます。
④十分に休まり、背中や背骨が緩んり伸びたように思えたら、ゆっくりと身体を起こします。腰をグッと入れたり、背中を反るような動きを途中でしないように気を付けてください
⑤1〜4を何度か繰り返します。
⑥すると、何度目かにはほとんどムリせず、力を使わずに、身体を起こして前を見れるようになるでしょう。
⑦このとき、もし猫背な感じや前のめりな感じがしても、それはむしろうまく行っている証拠です。その体勢で楽器を演奏すると、とてもラクで演奏しやすいでしょう。音もよく響きます。演奏の質は、この方が良いのです。
この、姿勢が十分にまっすぐでない感じがするにも関わらず実際の演奏には+に働いている状態がとても良いのです。
それで吹くことをひとりのときに練習してみてください。そうするとやがて合奏や難しいパッセージの中でも以前より身体に負担をかけずに演奏できるようになってくると思います。
【C】お腹を緩める
お腹を縮めて、グッと踏ん張った姿勢で演奏しているひともまた多いです。
このとき、
・背中の丸まり
・頭の後傾
・顎の突き出し
・肘が上がって脇が開くような楽器やバチ、弓の持ち方<
がセットで見受けられる場合が多いです。
これを引き起こしていることがあるのが
「お腹に息を入れる」
「重心を下げる」
「地に足を着ける」
「踏ん張って支える」
といった発想やイメージです。
まず、「お腹に息を入れる」ということを本気でやろうとしていると、呼吸にも演奏にもほとんどの場合、マイナスの結果になってしまいます。
「お腹に息を入れる」というのは、呼吸がほんとうにうまく機能したときに起きる十分な内臓の移動がたまたま感じられたときの感覚を言葉で比喩的に表現したものだと考えられますが、実際に起きることではないし、結果的に感じる感覚なのでそれを直接生み出そうとしてもまずうまくいきません。
「お腹に息を入れよう」とすればするほど、呼吸の動きはむしろ制限され、身体が硬くなってしまいがちです。その際、とくに息を吸う前や吸いながら腹筋を縮めているということが起きがちです。
呼吸に関しては、高等な比喩的イメージから身につけようとする前に、まずは実際に起きていることを確認し、それにイメージを合わせることでとてもやりやすくなることが多いです。ぜひこちらをご参照ください(『呼吸の誤解を大掃除〜これできょうからもっと吹きやすくなる〜』)
「重心を下げる」「地に足を着ける」「踏ん張って支える」
この三つもまた、おそらく、精神的な調和があり、集中力が高まり、怖れを手放して身体を演奏に預けることができたときに結果的に感じることだと思われます。
結果的に感じることは、実際に起きていることとはちがいます。ですので、残念ながら結果的に感じる感覚が言葉で表現されたものを直接的に「やろう」としたときに、表現されているものの本質や価値と全く違ってしまい、演奏の助けにならず、むしろ演奏を阻害するようなことをやってしまいがちなのです。
この三つの場合、いずれも目線より下にある部位や場所に向かって力をかけるべきなのだ、という理解でわたしたちは感じとってしまいます。それが残念ながら、身体を下方向にぐっと圧迫して腹筋を硬直させ、呼吸を窮屈にし、動きを阻害する結果につながっていることが多いのです。
地面や椅子との接触を意識することは役立つ場合があります。しかし、地面や椅子からの支えは、物理的には「上方向」に働きます。
また、背骨も身体を起こしておくべく「上方向」に支えています。
支えは下方向ではなく、上方向に働くのです。それもあって、支えや安定を下方向にグッと押したり踏ん張ったりすることであるといつの間にか思っていると、それはわたしたちの演奏の邪魔になりやすいのです。
ちょっと冷静に考えてみましょう。
足は絶対、地に着いています(空中浮遊なんてできない!)。また、踏ん張って支えるということは、立ち方や座り方のアンバランスを促進してしまうのではないでしょうか。なぜなら、うまくバランスしていれば踏ん張らなくてすむからです。
なのになぜこんなに「下方向」の話が出てくるのでしょう?
いずれも、「重力」という地球の仕事を自分で肩代わりしようとしているように思えます。
重力がわたしたちに作用し、直立にも歩行にも姿勢維持にも深く関わっているのは確かです。しかし、その重力は地球のものであり、わたしたちの身体のものではありません。
そうだとすると、地球の重力の代わりを担当しようとして自分の自分の身体にかけている力は、無駄な労力になっているのではないでしょうか。
先ほども述べたように、わたしたちはむしろ、重力に対して上方向に立つ(座る)ということをやっています。ですから、たとえ地に足が着かない「感じ」や、重心が安定しない「感じ」がしたとしても、それは効果的な脱力ができつつある「うまくいっている証拠」の可能性だってあるのです。
さらに、管楽器の演奏の場合、肺から口に向かって「息を上方向に流す」という大事な仕事があります。
お腹を硬直させず、かつ演奏をより機能させ、よりラクに演奏をするためには
「息を上方向(口の天井の硬い部分)に当て続ける/流し続ける」
ことを意識することをお勧めします。
<お腹を緩めてくれる「上方向/上エリア」の意識>
①必ず地球がわたしを地面につなげてくれるから、地に足を着けようとする努力から自分を解放しよう!
②立っていても座っていても、身体は自分を「上方向」に起こしてくれている。
③口の天井の硬い部分に向かって、息を流し続けよう!
④息は肺にはいってくる!
そう意識しながら演奏するように心がけていくうちに、お腹の硬直は減り、息を吸う能力も吐く能力もブレーキが外れて、やりやすくなってくるでしょう。
うまくいけば、自然と姿勢が伸びてくることもあるでしょう。
【D】肩を緩める
管楽器の世界で、演奏の妨げている誤解の代表が
「肩は上がってはいけない」という誤解
です。
たいていは、息を吸う動きが十全に機能し、肋骨が拡がってたっぷりと息が入ってきているときに、肋骨のすぐ上にある鎖骨、肩甲骨、上腕骨が受動的に動くその動きを「肩が上がっている」と誤認してしまっています。
悲劇的なことに、息がうまく吸えている証拠として肩が上方向に動いているのに、「肩は上がっちゃいけない。肩は下げねばならない」と意識してしまい、呼吸の動きに上から重しをのせるようにブロックしていることがとても多いのです。
もうひとつは、実際には首がすくんでい状態を、肩が上がっていると誤認していることもあります。
首がすくむ原因としては
・恐怖や精神的緊張
・楽器を構えるときに腕をうまく使えていない
ことがまずは考えられます。
恐怖や精神的緊張からくる首のすくみに対して「肩を下げなきゃ!」と思うと、ただでさえ緊張している身体にもうひとつ緊張を付け加える結果になります。余計に具合が悪いです。
楽器を構えるときの腕の動きが不十分であるために首がすくんでいるときに「肩を下げなきゃ!」と思ってしまうと、鎖骨や肩甲骨をロックしてしまい、腕の動きがさらに制限されて、余計に首がすくむ=肩が上がっているように見える、という困った悪循環になってしまいます。
「肩を下げなきゃ!」という意識は、ほとんどの場合、わたしたちを苦しめるだけで役に立たないのです。
そこで、この意識から自分を解放して演奏ができるとよいでしょう。
それに役立つエクササイズを紹介します。
<肩のラクな(でもいつもより高い)位置>
①椅子に座り、両手を膝に置きます。
②指先からリードするつもりで、両手を上げていきます。その際、肘や手首を突っ張ったままにする必要はありません。曲がってかまわないのです。
③ムリの無い範囲まで両手を上げます。
④肘から下ろしてきて、手は上がって状態で肘を胴体の脇まで下ろします。
⑤そのまま、腕を伸ばす=肘関節を開いて、両手を膝に触れます。
⑥そこでストップです。
⑦指示通りにやっていて、途中で付け加えをやっていなければ、肩がいつもより高いところにある感じがします。
⑧しかし実はそこがラクで自然なのです。その状態で楽器を構えたり音を出したりしてみましょう。息が吸いやすく、吐きやすく、音がよく響くでしょう。楽器も軽く感じるかもしれません。
【E】動く=とてもイイコト!
動くこと、動きがあること、固定的でないこと。
それが「悪いこと」「罪であること」かのように思われがちなのもまた、演奏を身体的にキツく、窮屈で場合によっては痛みや不快感なものにしています。
・動けるということ
・動きが起きるとうこと
・動いているように見えること
これらはいずれも良い事なのです。
わたしたちが安定しているのは、絶えず動いているからです。ですから、動かないようにすると、それはむしろ硬さ、窮屈さ、不効率、有害な不安定さを生み出します。
・音域によって口や顔が動くのは、ほとんどの場合自然で正しいことです。(参照:『音域によってマウスピースの密着面は移動する』)
・音量や音域によって、腕や胴体が動いたり、動かした方が演奏しやすいという現実があるなら、それは良いことです。
・演奏していて、音楽に没頭するにつれ身体が動くのもよいことです。音楽の基本は踊りにあります。本当の意味で集中し、余計なことを考えていない証拠です。
どんどん動きましょう。
いくらでも、自分を動かしてあげましょう。
身体のあらゆる部分に対して「いくらでも、好きなだけ、好きな要に動いていいからね」と心の中でメッセージを送りながら音出しや練習をしてみてください。
そこでラクな感じや良い感じ、自然な感じや自分らしい感覚があれば、ぜひそれを大事にして合奏にも持ち込んでいくようにしましょう。
– – – – –
以上です。
この記事が多くの悩める中高生や指導者の方々に役に立つことを願っています。