トランペットをされている B さんより質問を頂きました。
【質問】
50代のアマチュアトランペット奏者です。私もタンギングが苦手で、特に上の音域(実音DからHi B♭あたりは、リップスラーでは(息の流れを確保する練習の結果)比較的容易に音が移動できるのですが、タンギングが入って舌を動かすとシラブルが崩れて息の流れが乱され、息が失速します。
その結果、タンギングが甘くなったり、タンギングに続く音がぼやけたり、音に当たらない(プスっとなって音が出なかったり、下の倍音が鳴ってしまう)、行き場のなくなった息が頬に回って頬が膨らんだりします。
口の中を狭くして(シラブル)高音の息の流れを維持することと、それを邪魔する舌の動き(タンギング)を両立させるにはどうすればいいのでしょうか?
【回答】
・タンギングをすると、息が唇を押し開ける力が、押し開ける最初の瞬間においてスラー時より強くなります。それゆ音の立ち上がりが鮮明になります。それがタンギングを行う目的です。したがって、スラー時よりタンギングの瞬間はアンブシュアの力を増す必要があります。タンギングして音が出始めたら即座に緩めて大丈夫です。なので、スラー時よりアンブシュアの力を多めに使う事をタンギング時は意識してみてみるとどうなるでしょう。
・シラブルに関しては、口の中の容積を操作しているのではなく、舌を操作する事で息が通る通路の形状を変え、それにより息の流れに変化を生み出しています。したがって、出したい音を出させてくれる口の中の形を作るための「舌の動き」を意識するとよいでしょう。キープするというより、望みの形にするために「動作を続ける」と意識する方がよいかなと思います。
・そう考えていくと、シラブルもタンギングもどちらも舌の動きですから、統合されます。そして「出したい音を出すために必要な舌の動きを行う」と考えれば、シラブルとタンギングとという「2つの仕事」ではなく、「音を出す」という「ひとつの仕事」に集約できます。
ぜひ試してみてください。
【返事】
バジル先生、さっそくの回答、ありがとうございました。
…ただ、「シラブルとタンギングの統合」、舌の動きは「音を出す」という「ひとつの仕事」は、言葉として理解はできますが、奏法としてよくわからなかったので(すいません)、頂いたコメントを参考に、「シラブルとタンギング」がかみ合わず、いつも苦労している「トリプルタンギング」で実験することにしました。
・平日は仕事で、楽器が吹けないため、通勤途上、仕事中(!)等、
①息は腹から背中を通って(腹筋で力む癖があるので)口の中の上顎に吹き上げる、
を意識しながら
②唇はアンブシュアの形で、息だけを吹き出す(バズイングはしない)
③唇の前に手のひらを当てて、息の流れを感じられるようにしたうえで、
低・中・高、いろんな音域で、舌と息だけで、ロングトーンや、アーバンに出てようなフレーズでの(エア)トリプルタンギングを折に触れて1週間やってみました。
・その結果は、
①長時間やってもトリプルタンギングで舌は全然疲れない。
②音域やシラブルが変わっても、手のひらに感じる息の流れは、トリプルタンギングに影響されず、勢いや方向は変わらない
ただし、1週間の楽器なし練習で、非常に疲れたのが
①頬(タンギングの「息の流れに負けない“力を増した”アンブシュア」を長時間リムなしで維持したせいかとも思いましたが…後述)
②首の横や、特に首の後ろから肩甲骨周りの背中-にコリというか、ハリというか。
でした。思わず、「頭を動けるように…」の言葉が頭をよぎり、「頭や首がリラックスできず、緊張しているのかな」と思い、都度首を回したり、頭を振ったり、上半身のストレッチもしましたが、効果なし。
今日は、久しぶりに楽器が吹けたので、楽器で同じように、呼吸を意識しながらトリプルタンギングをやってみると、
③ダブルタンギングの音は改善し、音色のボヤケや音抜けは随分減りました。
その一方で、
④上記①②と同じ場所に大きな疲れ(というより痛み)が出ました(リムのあるマウスピースで吹いても「頬」にも疲れ・痛みが出ました)。ついでに腰痛まで…(この実験と腰痛との因果関係はわかりませんが、なんだかありそうな気がします)
舌の動きを「音を出す」という「ひとつの仕事」に集約、とのアドバイスについて、まずは、③「ダブルタンギングでの音楽が改善した」という成果がありました。ありがとうございました。
ただし、④のような状態になる原因がわからず、対処方法がわかりません。
・先生のアドバイスの取り違え に基づく、体の使い方(練習)の間違いなのか
・取り違えてはいないが、練習のアプローチのどこかが違うのか
・練習のやり過ぎなのか
・今までが練習不足で、今後この方向で体を調整・鍛えて(慣れて)いけばいいのか
・他の何かの要因・問題なのか
と、新たな課題に直面しています。
アドバイスがありましたらお願いします。
長文・駄文になり、大変失礼しました。
【返答】
緻密な実験をされて、すごいですね。
文面を見る限りでは、意識されている内容と
・頬がすごく疲れる
・腰が痛くなる
ことが直接結びつく関係には見えないですね….
考えうる事としては
「息の流れに負けない“力を増した”アンブシュア」
と表現されているところ、
この「負けないように」というイメージが、力みにつながりやすいかもしれない気はします。
『息の流れが強くなる分それに「マッチした」アンブシュアのアクティブな力』
と考えてみるとどうなるでしょうか。
その力は「口を閉じる」ことを普段より積極的にやることでかなり簡単に得られます。
顔や頬をガチガチに固める必要はないはずです。
腰痛に関しては、息を吐くときの吐き方や、股関節を使わずに胴体の途中から背スジを伸ばしたり逆に折り曲げたりしている可能性考えられます。
息の吐き方に関してはこちらをご参照下さい。
記事:『息の圧力の作り方』
動画でも観れます→こちら
股関節に関してはこちらをご参照下さい。
記事:『背スジを伸ばしなさいは禁句』
動画でも観れます→こちら
あと、頂いた文面から察するに、工夫してみると良さそうな箇所は
>>①息は腹から背中を通って(腹筋で力む癖があるので)口の中の上顎に吹き上げる、を意識しながら
と仰っていますが、息は背中を通らず、背骨より前、さらには食道より前を通ります。
息を吸うときも吐くときも、思っているよりも前の方を通っていくことを意識すると、ひょっとしたら首のコリに良い影響があるかもしれません。
>>②首の横や、特に首の後ろから肩甲骨周りの背中-にコリというか、ハリというか。でした。思わず、「頭を動けるように…」の言葉が頭をよぎり、「頭や首がリラックスできず、緊張しているのかな」と思い、都度首を回したり、頭を振ったり、上半身のストレッチもしましたが、効果なし。
「頭を動けるように」は、頭を動かすことを意味しません。
起きている事としては、頭を固定しなくなる、その結果頭を固めるのに使っていた筋肉(首その他含む)が緩みます。そして、そのおかげでそれまで使えていなかった筋肉は活性化します。
ですので、動かそうとも、緩めようともしないほうがいいかもしれません。(動くのはよいことですが)
こちらが参考になるかと思います
→『アレクサンダーテクニークの使い方』
バジル先生、さっそくの回答、ありがとうございました。
…ただ、「シラブルとタンギングの統合」、舌の動きは「音を出す」という「ひとつの仕事」は、言葉として理解はできますが、奏法としてよくわからなかったので(すいません)、頂いたコメントを参考に、「シラブルとタンギング」がかみ合わず、いつも苦労している「トリプルタンギング」で実験することにしました。
・平日は仕事で、楽器が吹けないため、通勤途上、仕事中(!)等、
①息は腹から背中を通って(腹筋で力む癖があるので)口の中の上顎に吹き上げる、
を意識しながら
②唇はアンブシュアの形で、息だけを吹き出す(バズイングはしない)
③唇の前に手のひらを当てて、息の流れを感じられるようにしたうえで、
低・中・高、いろんな音域で、舌と息だけで、ロングトーンや、アーバンに出てようなフレーズでの(エア)トリプルタンギングを折に触れて1週間やってみました。
・その結果は、
①長時間やってもトリプルタンギングで舌は全然疲れない。
②音域やシラブルが変わっても、手のひらに感じる息の流れは、トリプルタンギングに影響されず、勢いや方向は変わらない
◎ただし、1週間の楽器なし練習で、非常に疲れたのが
①頬(タンギングの「息の流れに負けない“力を増した”アンブシュア」を長時間リムなしで維持したせいかとも思いましたが…後述)
②首の横や、特に首の後ろから肩甲骨周りの背中-にコリというか、ハリというか。
でした。思わず、「頭を動けるように…」の言葉が頭をよぎり、「頭や首がリラックスできず、緊張しているのかな」と思い、都度首を回したり、頭を振ったり、上半身のストレッチもしましたが、効果なし。
〇今日は、久しぶりに楽器が吹けたので、楽器で同じように、呼吸を意識しながらトリプルタンギングをやってみると、
③ダブルタンギングの音は改善し、音色のボヤケや音抜けは随分減りました。
その一方で、
④上記①②と同じ場所に大きな疲れ(というより痛み)が出ました(リムのあるマウスピースで吹いても「頬」にも疲れ・痛みが出ました)。ついでに腰痛まで…(この実験と腰痛との因果関係はわかりませんが、なんだかありそうな気がします)
●舌の動きを「音を出す」という「ひとつの仕事」に集約、とのアドバイスについて、
まずは、③「ダブルタンギングでの音楽が改善した」という成果がありました。ありがとうございました。
ただし、④のような状態になる原因がわからず、対処方法がわかりません。
・先生のアドバイスの取り違え に基づく、体の使い方(練習)の間違いなのか
・取り違えてはいないが、練習のアプローチのどこかが違うのか
・練習のやり過ぎなのか
・今までが練習不足で、今後この方向で体を調整・鍛えて(慣れて)いけばいいのか
・他の何かの要因・問題なのか
と、新たな課題に直面しています。
アドバイスがありましたらお願いします。
長文・駄文になり、大変失礼しました。
あつしさん
緻密な実験をされて、すごいですね。
文面を見る限りでは、意識されている内容と
・頬がすごく疲れる
・腰が痛くなる
ことが直接結びつく関係には見えないですね….
考えうる事としては
「息の流れに負けない“力を増した”アンブシュア」
と表現されているところ、
この「負けないように」というイメージが、力みにつながりやすいかもしれない気はします。
『息の流れが強くなる分それに「マッチした」アンブシュアのアクティブな力』
と考えてみるとどうなるでしょうか。
その力は「口を閉じる」ことを普段より積極的にやることでかなり簡単に得られます。
顔や頬をガチガチに固める必要はないはずです。
腰痛に関しては、息を吐くときの吐き方や、股関節を使わずに胴体の途中から背スジを伸ばしたり逆に折り曲げたりしている可能性考えられます。
息の吐き方に関してはこちらをご参照下さい。
記事:http://basilkritzer.jp/archives/995.html
動画;http://www.youtube.com/watch?v=BzR2fWKuyds&feature=share&list=UUjnNbzG_e4K3E7AILcA9fog
股関節に関してはこちらをご参照下さい。
記事:http://basilkritzer.jp/archives/346.html
動画:http://www.youtube.com/watch?v=xrlONSmPoyM
あと、頂いた文面から察するに、工夫してみると良さそうな箇所は
>①息は腹から背中を通って(腹筋で力む癖があるので)口の中の上顎に吹き上げる、を意識しながら
と仰っていますが、息は背中を通らず、背骨より前、さらには食道より前を通ります。
息を吸うときも吐くときも、思っているよりも前の方を通っていくことを意識すると、ひょっとしたら首のコリに良い影響があるかもしれません。
>②首の横や、特に首の後ろから肩甲骨周りの背中-にコリというか、ハリというか。でした。思わず、「頭を動けるように…」の言葉が頭をよぎり、「頭や首がリラックスできず、緊張しているのかな」と思い、都度首を回したり、頭を振ったり、上半身のストレッチもしましたが、効果なし。
「頭を動けるように」は、頭を動かすことを意味しません。
起きている事としては、頭を固定しなくなる、その結果頭を固めるのに使っていた筋肉(首その他含む)が緩みます。そして、そのおかげでそれまで使えていなかった筋肉は活性化します。
ですので、動かそうとも、緩めようともしないほうがいいかもしれません。(動くのはよいことですが)
こちらが参考になるかと思います
→http://basilkritzer.jp/アレクサンダー・テクニークの使い方
こんにちは
ホルンをやっているものです。
ところで、来週行われるアンサンブルコンテストに出させていただくのですが、あと1週間しかないのにテンポ125
の十六分音符が一向に吹けません。
どうしても舌が、硬くなってしまって…。
ダブルタンギングも出来ません…。
自分が足手まといです。
このままでは私のせいで金賞を逃してしまいます。
どれだけ頑張っても出来なくてもうどうすれば良いのか分からなくなってきました。
お忙しいと思いますが、お返事頂けると幸いです。 先生が最後の望みです。
よろしくお願いします。
なつみさん
まずはこれ読んでください。
http://basilkritzer.jp/archives/5829.html
http://basilkritzer.jp/archives/5764.html
「答え」にはならないかもしれないけれど、関連したり役に立ったりするかもしれない記事は他にもたくさんあるので、
「タンギング」
「緊張」
「本番」
などのキーワードでこのブログを検索していろいろ記事を読んでください。
Basil
返信ありがとうございます。
今までずっと悩んでいたこと、こころにいつもあった濃い霧のようなものが少し晴れたような気がします。
私は、一番大切な事を見失っていました。
いくつかの記事を拝見させていただいてもう一度それを思い出すことが出来ました。
わたしは、音楽が好きです。
ホルンが好きです。
先生の言葉の記事を読んでいるうちに、気付いたら泣いていました。
本番まであと5日ですが、今わたしに出来ること、私が創りたいものに少しでも近づけるように努力してみようと思います。
お忙しい中、本当にありがとうございました。
今日も昨日も夜分遅くに失礼しましたm(_ _)m
なつみさん
記事を読んでもらえて、そしてそれが役立って良かった。
その気持ちを、これから先も大切にしてください。
それが一番大事だし、結局は一番上達を助けてくれもします。
何度でも泣いて、心をスッキリさせてその地点に戻ってきましょう。
そうすれば、本番はきっとやってよかったと思って終えられるでしょう。
ではでは。
Basil