あるときレッスンを受講された方の中に、大ベテランのアマチュアホルン吹きがいらっしゃいました。
….その方、たぶん耳が良いんだと思うんですが、すごく音が良かったんです。40年もののアレキの楽器も良い。
演奏も上手だった。
だから思ったまんま、何度か
「すっごい良い音ですね」
「バッチリな演奏ですね」
などと口に出していたら、ずいぶん驚かれました。
『そんなこと、言われたことがない』
と。
でも、変な話だな、と思いました。明らかに音が良くて、演奏のセンスもあるのに、誰もそこを言わないの??と。
よくよく話を聞いてみると、その方はあるとき、出演していた楽団の指揮者(ホルン吹きらしい)に、ボロカス言われていたとのこと。
その方のご友人たちもその場にいたので水を向けたら、「その指揮者はそういう人ですよねー」とのこと。
嫉妬深いのか、性格破綻者なのか、何にも聴こえていないのかよくわかりませんが、そういうひとからの歪んだフィードバックによって傷ついていて、たぶん他のひとから肯定的な言葉があっても、それが心に届かなくなっていたのかもしれません。
それがその日、レッスンという文脈でぼくが繰り返し「良さ」に言及するもんだし、実際レッスンでさらに上達のポイントも掴めたのもあったのかもしれませんが、事実としての「良さ」が認知のフィールドまで届いたのかな。
《褒める、良さに言及する、肯定的なことを伝える》
これを甘さやおだてとだけ解釈する向きもありますが、良かったことを良かったと伝えるのも事実をフィードバックするということですから、現状把握と前進のためにはやっぱり大事だなと思った次第でありました。