唇と息の助け合い〜ダブルパラメーター・エクササイズ〜

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この記事では、「息と唇のバランスの見つけ方」をお伝えいたします。

金管楽器奏者の、



・唇のバテの解消
・クレッシェンドとデクレッシェンドをラクにすること
・音程のコントロールを容易にする
・高音を太くする

ことにつながる重要なポイントです。



【唇も息も常に変化している】

アンブシュアのことを考えるとき、いちばん大切なのは、

「唇・アンブシュアの状態は息と一緒に変化し続ける」

ということだと思います。


というのも、管楽器奏者は、理想的で完璧なアンブシュアや唇の状態を「止まった形」「固定された形」で作り出そうと頑張り、結果的に吹きづらくなっていることがとても多いからです。


アンブシュアや唇でやることは、息の変化に合わせて動き続け変わり続けます。

身に付ける必要があるのは、固定的なフォームというよりは、

息と唇を「調整する能力」「動かす能力」

です。

フォームの安定や必要な固定も、この「調整する能力」や「動かす能力」のひとつと捉えることができます。


きょうは、そのなかでも唇のアパチュアと息の関係性のところに絞って、わかりやすくて役立つエクササイズをお届けします。


このエクササイズの原型は、アレクサンダー・テクニーク教師でスイス在住のホルン奏者であるウルフリード・トゥーレさん(元・ハンブルク交響楽団)に教えてもらいました。

わたしがドイツで勉強していた21歳も頃です。

わたしはこのエクササイズがきっかけで、高音をフォルテッシモで吹いたり、高音をクレッシェンドしたりできるようになっていきました。

高音の音量、太さ、響きを豊かにしていくのに非常に効果的です。



【息と唇をどっちも意識できる】

「息だけ」のことを考えても、
「唇だけ」のことを考えても、

どちらもうまくいかないことがあります。実際には両者が関わり合って音が生み出されているからです。

どちらかだけを考えて固定しようとするかわりに、息と唇という2つのもの関係性を探ることそれ自体で、驚くほど「音の出し方」の実感が掴めてきます。


2つのパラメーターで考える、「ダブルパラメーター」で考えていきましょう。



【ダブルパラメーターエクササイズ】

では、その具体的な方法を紹介します。

このエクササイズは、マウスピースだけでやるより、楽器も付けて行うことをオススメします。


<<第一段階:息を変える>>

1.チューニング Bb より上の Eb ~ F あたりの音をで出しやすい音をひとつ選びます。

2. マウスピース(楽器)を口に向かって十分にくっ付けてあげます。

3. 選んだ音を発音し、ロングトーンします。ひとまずいつもどおりに。

4.同じようにまた、ロングトーンします。

5.唇や口を一切変えずに、息の量だけを増やします。

さて、音はどうなりましたか?
→音が大きくなり、音程が高くなり、次に高い倍音へと音がひっくり返ったかもしれません。


6.同じようにまた、ロングトーンします。

7.唇や口を一切変えずに、息の量を減らします。

さて、音はどうなりましたか?
→音が小さくなり、音程が低くなり、下の音へ落ちるか、音が消えてしまったかもしれません。


<<第二段階:唇(口)を変える>>

1.チューニング Bb より上の Eb ~ F あたりの音をで出しやすい音をひとつ選びます。

2.マウスピース(楽器)を口に向かって十分にくっ付けてあげます

3.選んだ音を発音しロングトーンします。

4.息を一切変えずに、途中から口だけを閉じていきます。

さて、音はどうなりましたか?
→音が小さくなり、音程が高くなり、次に高い倍音へと音がひっくり返ったり、音が消えたりしたかもしれません。

5.同じようにまた、ロングトーンします。

6.息を一切変えずに、途中から口を緩めます。

さて、音はどうなりましたか?
→音が少し大きくなり、音程が低くなり、下の音へ落ちたかもしれません。


<<第三段階:息と唇(口)を調和させる>>

1.チューニング Bb より上の Eb ~ F あたりの音をで出しやすい音をひとつ選びます。

2.マウスピース(楽器)を口に向かって十分にくっ付けてあげます。

3.選んだ音を発音し、ロングトーンします。

4.息を増やしながら、途中から口を緩めます。

さて、音はどうなりましたか?
→ いい感じの豊かなクレッシェンドになるのが分かりますか?

5.同じようにまた、ロングトーンします。

6. 息を減らしながら、途中から口をより閉じます。

さて、音はどうなりましたか?
→よくコントロールされた美しいデクレッシェンドになるのが分かりますか?

7. 同じようにまた、ロングトーンします。

8. 息を増やしながら口を緩めることで、豊かなクレッシェンをし、息を減らしながら、口を閉じていくことで美しいデクレッシェンドをします。


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このエクササイズを通じてあなたは

・演奏したい音量に合わせた繊細で気持ちよい唇(口)のコントロール能力
・音の響きの「ツボ」を掴んだ、遠鳴りのする効率の良い音の鳴らし方

を実感していけるようになるでしょう。


ぜひ、お試しアレ!


Basil Kritzer




6 thoughts on “唇と息の助け合い〜ダブルパラメーター・エクササイズ〜

  1. Pingback: ピッコロトランペットやC管のトランペットになると、苦しくて疲れやすい….どうしたらいいの? | バジル・クリッツァーのブログ

  2. クラリネット吹きですが、私もアンブシュアはいかなる時も変えてはいけないのだと思っていました。クラリネットは(ほかの楽器も同じかもしれませんが)発音時に音程が上がってその後下がりやすいです。また、大きな音では音程が下がりやすく、小さな音では音程が上がりやすくなります。そういうのは全部アンブシュアが変わるからだと思って、常に同じアンブシュアで吹くように練習してきました(たまに気がついた時だけですが)。でも、普通の音と同じアンブシュアでPPを吹くと、息の圧力が下がる(空気の柱がスカスカになったような気がしました)んだよな~と思ってました。
     先日、クラリネット最大のPPP試練「運命3の終わりのララララ」で、バジルさんや先日講義を受けた大阪の先生のおっしゃるとおり、「とりあえず小さな音を出す為の力と息の量だけを考え」て、音程のことは口ではなく周りの音を聴いてイメージするだけにしてやってみました。結果は録音を聴かないとわかりませんが、わりとうまくいったと思います。そして口は結果的に大きな音のときに比べてすぼまっていました。今までは大きな音と同じくらいに口が開いているために下がった圧力を補おうとする→なぜか首や胸に力がかかっていました。
     口の形は場面ごとに違っていてもいいのだという考えはとてもしっくりいきます!発音してからの時間や音量によって音程が上下するのは、他に原因があるのかもしれません。「おなかの力が足りてるかどうか←→余計なところに力がかかっているか」「まわりを聴けているか←→音程をイメージできているかどうか」といったところかなと思いますがどうでしょうか?ほかにもあるかもしれませんが。

  3. yukaさん

    いまごろの返信になってすみません。コメントを見逃してました。

    発音してから音程が上下するのは、

    ・何かが原因で望まぬことが起きている
    ・自然なことが起きているが、それに「対応する動き」が起きていないが

    のどちらかが考えられますね。

    前者は、「意図せずリードに対するアンブシュアの圧力が下がっている」とか。その原因は何かは、もっと観察してみないとわかりませんね。

    後者は、息の圧力が下がってきているとき(それ自体は問題でない場合)、対応してアンブシュアが動いてくれていないから音程が下がる、といったようなケースですね。これは動かす必要がある場所を何らかの理由でキープしてしまっている/動かなくなっていることが考えられます。

  4. Pingback: 高音が出ないのは唇や歯の形のせい….?Q&A | バジル・クリッツァーのブログ

  5. 楽器を吹いててロングトーンやリップスラーをしてても肩がいたくなります
    自分では力を入れてるつもりはないんですが、入ってるのでしょうか?
    また、楽器を吹いてて鼻から息が出てきてる感じがして、周りからも音が聞こえると言われるんですが、どうすればなおりますか?

    • ・このブログを「鼻から息」は検索してみた?
      ・肩が痛くなっているということは、何かは起きているけれど、それが力みなのかどうかは、分からないですね。あなたはどう思う?

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