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〜緊張にも、良い緊張がある。怖い感じがしても!〜
昨日、演奏をしようとするとなんだか苦しい気持ちに襲われる、
そしてその気持ちの正体は「みんなに嫌われるんじゃないか」という想いであったという音大生とのレッスンについて、お話ししました。
そのお話しはこちらでお読み頂けます
「演奏の恐怖を、しっかり見据える」
そのレッスンで、その学生さんは恐怖感から解放されて良い演奏ができたのですが
それでも、「音を出す直前になんだかうわ〜〜〜!!となる」と言っていました。
そこからレッスンの続きを追っていきましょう。
学生
『….それでも、音を出す直前に、なんだか「うわ〜〜〜!!」となります』
バジル
『ちょっともう一回、演奏しようとしてください』
学生
『(演奏の準備をする)……(そして、演奏直前にちょっと表情が変わる)….』
バジル
『いまも、なった?』
学生
『なりました』
バジル
『見ていると、身体の動きとしては緊張して悪い方に行っているようには見えないから、たぶん悪いことじゃないんだけれど….「うわ〜」の中身は言葉にできる?』
学生
『….とにかく「うわ〜」です』
バジル
『たぶん、演奏を始めるにあたっての高揚感、興奮だと思う。良いことだと思う。じゃあ、こうしてみよう。演奏をしようとする→「うわ〜」となる→そのとき声に出して「めっちゃ好き」と言う。演奏をいざ始めると楽しんでいるわけだから、好きなことを始めるサインだということにしてみよう。』
学生
『(演奏をしようとして)…..「めっちゃ好き」』
バジル
『そうそう。それを3回繰り返してみよう』
学生
『(演奏をしようとして)…..「めっちゃ好き」
(演奏をしようとして)…..「めっちゃ好き」
(演奏をしようとして)…..「めっちゃ好き」』
バジル
『じゃあ、最後は心の中で同じことをつぶやいて、実際に演奏してください』
学生
『(演奏する)』
バジル
『実に活き活きした演奏ですね。どうでした?』
学生
『演奏しやすくて、いい感じでした!』
バジル
『たぶんぼくら演奏するひとって、プロだろうがアマだろうが、ある意味変態なんです(笑)。というのは、人前に出て演奏するというのは、自分の魂を曝け出すということ。露出狂なんだよね。』
学生たち
『(笑)』
バジル
『ドキドキするし強烈な感覚はあるけれど、それが好きなんだね。』
学生
『楽しかったです!』
バジル
『これで、「うわ〜!」を良い方向に使う練習の仕方もわかったし、緊張感・高揚感を怖れなくて済むようになってきそうだね!』
・・・このように、なんだか怖い感覚や強烈な感覚が演奏するときにあっても、実は悪いものではないことがあるのです。
これを読んでいるあなたもぜひ、よく考えると演奏に悪い影響をおよぼさなかった感覚だけれど怖く思った感覚の体験がなかったか、ぜひ振り返ってみてください。
それに気付くと、演奏することの心理的負担が減らせるかもしれません。
Basil Kritzer