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小野れいさん(トランペット、吹奏楽部顧問、教員)
【自分を追い込むだけで、上達のつながらなかった時期】
学生時代からアマチュア奏者として演奏活動を続けているものの、最近ではあまり上達も感じられず、演奏会の曲をこなすことがやっとで、楽しかったはずの音楽が「自分を追い込むもの」になってしまっていました。
また、吹奏楽部の顧問として生徒たちを指導するにあたって、音楽を専門的に学んできたわけでもないので、何となく自信が持てないまま指導をしているような気がして、生徒たちに申し訳ないという思いが募っていました。
そのような時に、バジル・クリッツァー先生の著書『吹奏楽指導者が心がけたい9つのこと』『吹奏楽部員のためのココロとカラダの相談室』に出会い、読んでいるうちに「アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けたら、何か変われるかもしれない」と、思い切って体験レッスンに行ってみたのがベーシックコースに通うようになったきっかけです。
だんだんと気持ちが前向きになり、演奏することがとても楽しく
まず最初のレッスンで、それまでいかに自分が「下半身でしっかり支えて吹かなくては」と思って体中を固めて楽器を吹いていたのかを実感しました。先生が下半身の固定を外すようにうながして下さった後にもう一度吹いてみたら、初めより楽に高音を鳴らすことができるようになり、音もそれまでより伸びていくような感覚がありました。
一緒にレッスンを受けていた方々からも「すごい!いい音ですね!」と声をかけていただき、少し自信を持てるようになりました。
また、レッスンを重ねるうちに、「~してはいけない」「~しなくてはいけない」という思考が、自分自身のことをとても苦しめていたのだということに気づきました。
それをひとつひとつ紐解いていく中で、だんだんと気持ちが前向きになり、演奏することがとても楽しくなりました。いろいろな団体に声をかけて頂いたり、しばらく中断していたトランペットのレッスンも再開して、音楽活動の幅も広がりました。
本番でも「外さない」「間違わない」ということにとらわれずに「せっかくだから思い切り楽しんでしまおう」という思考に変わり、結果として一つひとつの本番が充実したものになっていきました。
このような自分の変化は、生徒たちと向き合うときの姿勢にも影響するようになり、それまでとは指導の仕方もだいぶ変わったように思います。今では音楽をすることも、指導をすることも心から楽しいと思っています。
【腰痛や股関節痛が緩和】
レッスンに何度か通ううちに、楽器を吹く時だけでなく、普段の生活から重心を下に下げすぎていることに気づきました。そして普段から体の使い方を意識するようになり、歩き方や座り方も少しずつ変わっていったことで、それまでずっと悩まされてきた腰痛や股関節痛などの症状が緩和されてきました。
また、授業中に板書をするとき、一日授業をしていると最後の方は肩を上げるのも苦痛だったのですが、そういったこともレッスンで見て頂き、今ではたくさん板書をすることがあっても大丈夫なようになりました。
意識をするだけでこんなにも自分の体を大切に使うことができるようになるのかと驚きました。
そして何より大きかったのが、何事に対しても前向きに考えられるようになったことです。以前よりも何かをしようという意欲も生まれ、いろいろなことを挑戦してみようと思うことが増えました。体の使い方も心の使い方もプラスに変えることで、生き方自体も変わっていくのかもしれないと実感しているところです。
毎回レッスンに行くと、たくさんのエネルギーをもらうことができ、また仕事も音楽も頑張ろうという気持ちになることができます。