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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら
【アーティキュレーション(発音)】
音の立ち上がりの質は、物理的にも聴いた感じにも発音の質によって決まります。
言葉で話す際、発音が悪いと明瞭さと表現の質に損失が生まれます。
ホルンを演奏する際も、発音の質の悪さは同じ結果をもたらし、音楽的な明確さと表現力を損ないます。
発音は、聴いていて気づかない強さから、最も強いアクセントまで幅広さがあります。
それは、音が鳴らされるその瞬間の、舌の後ろに来ている息の圧力、そしてどのように舌が息をリリースするかによって変わります。
強い発音を作るには、舌は上の歯の後ろの空気柱を塞いでおり、舌の後ろ側では強い息の圧力が用いられています。
発音の瞬間に舌がこの圧力をリリースし、その結果起きるアンブシュアの息の急流の通過が明瞭で即時的な音の立ち上がりを生み出します。
舌が歯から離れる動きが、発音を決定付けるのです。
舌の後ろ側で用いられている息圧が少ないほど、そして舌が息の流れを塞いで保つために使っている力が少ないほど、発音はソフトになります。
舌がどのように発音に影響しているかを観察するために、次のようなエクササイズをやってみましょう。
〜声と発音のエクササイズ〜
エクササイズa:
楽器は使わずに、「Da」の子音を声で歌ってみましょう。最初は強く「Da」と、その後はソフトに「Da」と。
エクササイズb:
では、ロングトーンを声で歌います。同じ「Da」の発音を、音を伸ばしながらまずはソフトに繰り返し、その後で強い発音で繰り返します。
エクササイズc:
次に、ロングトーンを声で、こんどは大きな声量で歌います。やはり「Da」をまずはソフトに繰り返し、その後で強い発音で繰り返します。
エクササイズd:
最後に、ロングトーンで声を伸ばしながら、「Da」の発音を、ソフトなものからハードなもの、その中間のあなたに見つけられるだけのあらゆるニュアンスで繰り返しましょう。
音(声)自体は息と声帯が共に反応しあって生み出されることが観察できます。一方、発音(アーティキュレーション)は息の流れと舌が相互作用することで決まることが分かるでしょう。
ホルンを演奏するときは、音それ自体は息とアンブシュアが共に反応し合うことで生み出されます。
舌は、発音の質を決めるべくそこに連携します。
ホルンでも、上述のエクササイズをaからdまでやってみましょう。当然、声帯ではなくアンブシュアを振動させて。
音楽的なコンテクストで発音の質を向上するためには、いま取り組んでいるリズムもしくはフレーズを「Da」の発音で声で歌ってみましょう。
音楽的にあなたが望むのに応じて、発音の質はソフトなものからハードなものにまで変えることができます。
声で練習したら、同じことをホルンでやってみましょう。
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続く
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