【演奏における、ベロ(舌)】

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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら

【演奏における、ベロ(舌)】

演奏における舌の役割は、音の立ち上がりのときの発音を明瞭にすることです。

音自体は、アンブシュアを通過する息の流れに反応して振動するアンブシュアによって生み出されます。

舌の動作は、音が「いつ」始まるかを決定します。
でも、舌が音を始める(作る)わけではありません。

実際、音を始める・鳴らすうえで舌に過剰に頼ることは、アンブシュアの働きに欠陥をもたらす可能性があります。

舌による発音は、英語の文章を言葉で話すときの冒頭の大文字のところと同じ面があると言えます。その大文字があるのは分かっているわけですが、それを大文字であると「聞く」ことはできません。

音の発音も、あえて聞こえさせたい場合を除き、明らかに分かるように聞こえさせたくはないのです。

舌の先端は、上の歯の後ろ側で息の流れをせき止めるようにして塞ぎます。

音を立ち上げるそのタイミングで、舌の先端はこの位置から下そして後ろに離れるように動きます。

息の流れを塞ぐ舌の後ろ側にある息の圧力次第で、発音の質は変わります。低い息圧はソフトな発音を生み出し、高い息圧は強い発音を生み出します。

子音の Da や Ta というのは、歯の後ろの舌の位置を表すための言い方なのです。

舌のポジションは、演奏する音の高さによって変わります。

中音域では舌は比較的平らで、舌の先端は歯茎と歯の境目に触れています。

音が上がるにつれて、舌の中央部分は口の天井に向けて上方向のアーチのようになっていきます。こういうとき、舌の先端は、子音で言うところの Ta の位置になっていきます。

音が下がるにつれて、舌の中央部分は下がり、舌の先端が触れる場所も歯に対してより低いところへ下がります。

極端な低音域では、舌の先端が上の歯より下になることもあるでしょう。

発音が実行された瞬間の後からは、舌はリラックスして息が阻害されることなく流れるような位置へと受動的に移っていきます。

舌を喉の方へ後ろ向きに引き込まないように。それをすると、喉に制限をかけ、ひいては息の流れを阻害してしまうからです。

また、舌を唇に触れて発音することは避けましょう。

非常に低い音を演奏するときは例外的に可であることもありえます。アパチュアがとても大きく、上下の歯が離れており、上下両唇に舌が触れた方が息をよく塞ぐことができるというときです。

こういった場合を除き、唇に舌を触れて発音することは「唾を吐くような発音」になってしまい、アンブシュアに悪い影響を与えてしまいかねませんので、避けるべきでしょう。

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続く
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