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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら
【息を吸うこと】
ホルンを演奏するためには、わたしたちは良い質で息が供給することを必要としています。そこで息の吸い方を最適化するために、息を吸うことに関わる過程を見ていきましょう。
まず最初に確認しておきたいのは、わたしたちは胸腔のスペースを拡げることで肺に息を吸っている、ということです。
胸腔の拡大を起こすのは、次の二つの事によります。
・胸郭(肋骨)を拡げる=胸式呼吸
・横隔膜を下げる=腹式呼吸
【胸式呼吸】
胸式呼吸を使って息を吸うことを調べるために、まずはホルン無しで次のようにしてみましょう
エクササイズ①
立つか座るかどちらでも構いませんので、胴体の横に腕を置いておき、リラックスしてください。
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だいたい1拍1秒くらいのテンポで4拍間、口から息を吸います。胸郭を外へ拡げることを意識しながら、心地よく肺が一杯になるまで吸いましょう。
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口や喉を閉めることなく、この胸郭が外へ伸びた状態をあと2拍保ちます。こうして保つことにより、空気は出ていくあず肺にキープされるはずです。
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胸郭をリラックスさせます。すると、空気は自由に肺から流れ出るはずです。
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ここまでのエクササイズをやっている間、喉や肩に緊張は必要ありません。肩は、息を吸い込んだ結果として上がることはあるでしょうが、息を吸うために肩を上げようとするべきではありません。
エクササイズ②
エクササイズ①を、できればやり方を覚えた状態で何度か繰り返してみましょう。読みながらやるより、この過程にもっと注意を向けることができるからです。
エクササイズ③
さらにまたエクササイズ①をやります。今回は腕を横に上げて、息を吸う・保つ・吐く間じゅう、水平にしておきます。肋骨の動きがもっと大きくなりやすいことに気がつくはずです。
エクササイズ④
実際にホルンを吹くときは、エクササイズ③のように腕を上げておくことはできないのは当然です。ですので、改めて腕を横に戻してエクササイズ①を繰り返してみましょう。その間、腕を上げておいたときと同じくらい肋骨を動かせるようにすることを目標にしましょう。
【腹式呼吸】
腹式呼吸は、胸式呼吸と共に決定的に重要な事で、横隔膜を下げることで働きます。
横隔膜は肺と腹腔の間にある筋肉です。すべての筋肉と同じように、横隔膜もまた能動的に動ける方向は一つだけであり、その方向とは腹腔に向かって下向きに平らになるようにして働き、それによって肺が膨らんで空気が吸い込まれることを起こします。
この横隔膜の動きの効率性と肺に吸い込む空気の量を増すには、胴体下部の筋肉を拡げる必要があります。
そのいちばんわかりやすい動きが「お腹を押し出す」というもので、これは腹壁の外側の筋肉を伸ばすというものです。
加えて、腹腔の横側および後ろ側の筋肉も伸ばすことで、さらに横隔膜が動いてもっとたくさんの息が吸い込まれるようにすることができます。
このような筋肉の伸びと拡がりを感じつための、次のようなことを試してください。
エクササイズ①
ベルトを、ベルトの穴ひとつぶんきつくします。そして、まずお腹の前側をベルトに押し付けます。次いで、お腹の横側、そして後ろ側も押し付けます。そうやって全方位への圧力を感じられたら、ベルトをゆっくり緩めて、お腹によってベルトがさらに押し広げられるようにしてみます。
エクササイズ②
次に、ベルトをまたさっきのきついところに戻し、エクササイズ①を繰り返します。今回は、息を吸いながら同じことをしてみます。
この実践を重ねるにつれ、腹筋は息を吸うことの一部へと統合されていくでしょう。そして、段々とベルトを穴何個分か押し広げられるようになってくるはずです。
このやり方が分かりさえすれば、ベルトは必要ありません。
【胸式呼吸と腹式呼吸】
効率的に息を吸うには、ここまで見てきたように胸式呼吸と腹式呼吸の組み合わせによって得られます。
二つを組み合わせるには、まず最初に胸に吸い込んでから、ついでお腹に吸い込みましょう。胸郭を拡げる動作は、横隔膜を下げて平たくすることと、腹筋を広げることの両方を補助します。
ただし、ひとによっては、胸郭を広げる前に最初にお腹に吸い込むことを好みます。あなたもどちらか上手くいくほうを選んでください。ゴールは同じですから。
実践を重ねるにつれ、この二つの呼吸要素はやがて協調して組み合わされた一つの動きになっていくでしょう。
最後に、実際には行きは胸に吸い込んでいるのでもお腹吸い込んでいるのでもなく、肺に吸い込んでいるのだということは覚えておきましょう!
【その他に重要なこと】
演奏中の呼吸について重要なことをいくつか挙げます。
◎マウスピースをアンブシュア上の基本ポジションに置いてから息を吸いましょう。正確なマウスピースのポジションは、息を吸い込み終わってから決めるとよいでしょう。
◎鼻ではなく、口の横から息を吸いましょう。そのほうが単純に効率的だからです。
◎時間や状況が許すときは、ゆっくり息を吸いましょう。力を入れずに肺を満たせるように。もちろん、フレーズの真っ最中だと時間があまりないでしょうが、このような吸い方をなるべくすることが、時間がないときも無理なく息を吸えるようになることを促してくれます。
◎音楽を尊重しつつも、最適な息のサポートを維持するために必要なら必要なだけ頻繁に息を吸いましょう。ただし、必要以上に息を吸い込まないように!肺を満たしすぎるとは身体に緊張を生み出しますし、場合によっては過呼吸を起こしてしまいます。また、長いフレーズの最中においては、吸えるときにいつも毎回吸って肺を満たす必要はかならずしも無いことを考慮しましょう。
◎ちょっとだけ補充のために吸うだけでも、息のサポートを維持するうえで十分なときもあります。
つづく