なぜだか世の中では、「姿勢は自分でコントロールするもの・作るもの・保つもの」と思われがちだけど、それは有害なんじゃないかな。
心拍数を10パーセント上げようとか、体温を二度下げようとか、息を三リットル吸おうなんてしないでしょ? 姿勢もそういう根本的な生理的機能。なのになぜか姿勢だけはコントロールできるかのように言われがち。
姿勢を自分でコントロールするものだと考えるから、「姿勢が悪い奴はダメな奴」的な考え方が生まれちゃう。身体が痛くて大変なのに無視して暴力的に「良い姿勢」を作ろうとしちゃう。
体温が下がったら厚着をしたり身体を動かしたりして「ケア」をする。呼吸が乱れたら休息し整えるという「ケア」をする。姿勢もまた、「ケア」が必要である。アレクサンダー・テクニークは「ケア」として機能する。
小さな子供たちの姿勢は常に完璧。その子供たちの姿勢を矯正したがる私たち大人って、一体‥‥!?
姿勢を「矯正」したくなっている時点で実は姿勢というメカニズムを誤解している 。つまり大人は子供に、嘘を教えている。
子供たちの姿勢は完璧なのに、どうして大人になるにつれておかしくなるのか?それは、放っておけばうまくいくものに対し、「邪魔」を付け加え始めるからだ。その最たるものが、「姿勢は良くしなければいけない」という思い込みである。
「姿勢」はいじらなくてよい。矯正なんてしなくてよい。そもそも良い悪いの基準が当てにならない。ラクで気分が良いこと。そのとき、姿勢はどんな見た目でも良い姿勢である。