「はじめに」ナイジェル・ダウニング著、バジル・クリッツァー訳

チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団ホルン奏者、ナイジェル・ダウニング氏の著作「Singing on the Wind」の翻訳です。原文→http://www.hornplaying.ch/

「はじめに」

楽器を学んでいる人、そしてそれに限らずどんな技術であれ身につけるべく学んでいる人は、
大きく分けて2つのタイプに分類できる。
本能的にできるタイプと、学習する必要のあるタイプである。
当然、その両極の間にたくさんの中間がある。
が、その2タイプがあるということを前提に話をする。

考えなくても、やりたいことをやりたいようにできる人には
ある明快な方法論が出来上がる。
「顔に楽器をあてて、あとは息を吹き込めばそれでいい!」
というような。

そういうタイプにはこの方法論はうまくいくかもしれない。
そしてキャリアの晩年までこれだけの考えまでやっていける人は幸運だ。
しかしそれ以外の私たちにとっては、事はそう単純ではない。
ちょっとした建設的な分析が大きな助けになる可能性がある。
「楽器を持ってただ息を入れたらよい」派からは、
「分析は心配の始まり」的な言い方が聞こえてくるかもしれない。
彼らにとってはそうなのかもしれないが、
そういうキャッチーなフレーズを思考停止の言い訳に使ってしまわないように要注意だ。
確かに、実際に吹く作業を邪魔してしまくらいまで分析をすると分析は弊害になる。
分析は常に目的のための手段であるべきで、分析自体が目的になってはいけない。
上達するためには、分析が必要なのだ。
しかしいくら分析しても、目的は常に覚えておくべきだ。
「望むような音で音楽を奏でる為に楽器を演奏する」という目的だ。

練習のやり方

問題を解決しようとするときはいつでも、オプションが複数あると役立つ。
「プランA」
「プランB」
そして
「プランC」
くらいまであるといいだろう。
この三つを説明することで、建設的な分析が、より「自然な」演奏法につながることを示したい。

・プランA=「息にのせて歌う」
・プランB=「筋肉の感覚記憶と音程を関連させる」
・プランC=「ひとつひとつの音のイメージを確立する」

となる。
プランAが最も自然な演奏法と言えるだろう。プランBとCは、楽器をどのように演奏するのかという理解をより深めるための手段であると位置づけられるだろう。ちなみに、BとCは目的のための手段でもあり、プランAのために使われるものである。

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