本番の緊張【頭が真っ白になるのはなぜ?】

トランペットを吹く学生さんから悩み相談のメールを頂きました。

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【質問者】
本番での緊張について相談したいことがあり、連絡させていただきました。

近いうちに演奏会があるのですが、ある箇所で頭が真っ白になってしまいます。先日、リハーサルを行ったのですがこわばってしまい音を出すことができませんでした。

リハーサル以前よりこの部分に不安を抱いていたので”本番の恐怖と緊張を乗り越える8つの大切な方法https://basilkritzer.jp/archives/5377.html”を拝見し練習に取り入れさせていただいていました。頭を固定しないようにすることの大切さや、演奏技術のプログラミングなどを日々の練習で心がけ、リハーサルに臨みました。具体的には、頭が動けるように、アンブシュアを右上にして高音を出しやすいようにして、腹から支えて音を出すことを意識して取り組みました。

問題の部分までは集中して演奏に取り組むことができたのですが、その直前になって頭が真っ白になり楽譜すら目に入らなくなってしまいました。『とにかく音を出さなきゃ』という思いのみになってしまい、日々の練習で行ったことを実践することができませんでした。

そこで【本番がはじまってから緊張し始めるときhttps://basilkritzer.jp/archives/14359.html】を拝見したのですが、緊張しながらも吹く練習をしてきたにも関わらず頭が真っ白になったことから、本番でも同様になってしまうのではないか恐ろしくて仕方がありません。

そこで緊張している中でも、落ち着いて日々の練習を活かすためにどのようにすれば良いか、そしてこのような状態になった時どう対策すれば良いのか、この2点について相談させていただきたいです。

長々としたメールになり申し訳ありません。忙しいとは存じますが、よろしくお願いします。

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【バジル】

この度はご質問のメールを頂き、有難うございます。

内容を拝見しますと、一般的に当てはめられるノウハウ的なもので私が言えることは越えているように感じます。

なんとしてでも、「本番で真っ白になり失敗する」事態を避けたいとのことですが、実は一番確実なのは本番を避けることです。

調子が悪かったり、目立つことを好まなかったりして、本番を降りたひと、パートを交代したひと、楽器を休んだりやめたりしたひとなどを、これまできっとご覧になられたことはあるんじゃないでしょうか。

・本番で演奏する
・絶対に失敗を回避する

ということは究極的には併存しません。本番で演奏するかぎり、失敗する可能性をいつも抱えて演奏します。

失敗のリスクがあっても本番で演奏する理由は、

・それでも楽しいから
・本番を降りるほうが悲しいから
・降りるほうが周りに迷惑だから

など、色々あり得ます。

理由がどれでも、本番演奏するなら、失敗しないことより失敗しても演奏することを受け入れるということです。

なので、まず第一歩目は、

「真っ白になってかなり失敗したとしても、演奏する」

ということを考え始めることだと思います。

それを受け入れられる、引き受けられるということが、逆説的ですが、余裕と可能性を作ります。

そして2歩目としては、「真っ白になること」についてよく掘り下げて考えていくことだと思います。この作業は本番までに間に合わないかもしれませんが、必要ではないかなと思います。

・なぜ真っ白になるのかな
・真っ白になる条件は何かな
・真っ白になる経験はいつからか
・真っ白になっているとき、何が起きているか

などです。

「どうすれば真っ白にならないか」と真っ白を回避する術を探すのではなく、真っ白になること自体についてよく考える、ということです。

これも、回避する術を探すより、どうすべきか何か感じたり見えたりするかもしれません。逆説的ですが。

✨✨✨

【質問者】

お忙しい中即座に返信してくださり本当にありがとうございます!

どうしても本番から降りることは難しいと思います…

また、失敗しても演奏することを受け入れる、ということですがそのように思える自信がありません。

尊敬していた先輩が引退する最後の公演であるため、失敗してしまえばもうその演奏に価値はなくなる、先輩の最後の公演に泥を塗ることになってしまうと考えているからです。

真っ白になる理由として直前になってアンブシュアをセットするときに普段通りにならず「このままでは失敗してしまう」という焦りが強くなるのだと思います。今まで極度の緊張状態に置かれることはあっても、自分の焦点が合わなくなるという経験がなかったので、さらに焦りに拍車をかけてしまったのだと考えました。そのような状態に置かれたとき息がうまく吸えない・出ていないような状態になり、息がつっかえている?ような感覚になりました。また、肩が上がり強くトランペットを体のほうに引き寄せて、こわばりながら吹いているという感覚です。全体的に体を使って演奏できていなかったなと後から思いました。

本日練習の機会があったのですが、緊張している中でも頭は真っ白になることがありませんでした。問題の部分に差し掛かる前に深く息を吸って胸を張ることを意識したのがよかったのかなと思います。以前のメールにあったような意識することを考えることができました。しかし考えることができただけで、結果的にはやはりトランペットに頭が押されている?ような形になってしまいました。

とにかく、本日の練習でのようなことを口に出して頑張りたいと思います…

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【バジル】

トランペットに頭が押されるというのは、体の支えがうまく効いてない状態だろうと推測します。

恐怖感からきているのでしょう、たぶん。

自分の失敗で公演の価値が無くなる、
先輩の顔に泥を塗る、

というのはフェアに見て責任を背負い込みすぎているし、自分一人の出来が全体を左右すると捉えている点を見れば、自分の影響力も過大に見積もっている状況です。真っ白になるのは、それ故だとしても不思議ではありません。

音楽の内容そのもの、
お客さんと音楽と分かち合うこと、

そのあたりのことを軸に考えるのが、どうも音楽の演奏においては必要かつなぜかうまくいきやすく、

成否や人にどう思われるか、出来不出来のようはところに意識がいけばいくほど、ドツホにハマるようであることは、小学生からトッププロまで概ね共通しているようです。

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【質問者】

責任を背負いこみすぎている、影響力を過大に見積もっている、という文面を見た時にとても納得がいきました。自分のせいで演奏が台無しになることを恐れていたのだと気づきました。

実は先日、演奏会を終えました。先生のおっしゃっていたことをもとに演奏を楽しむことを一番な目標として取り組みました。そして、リハーサルでもうまくいかなかった部分の音を当てることができました!!

まとまりのない文から真摯に相談に答えてくださった先生のおかげです!自分の好きを見失わないように今後も尽力します。本当にありがとうございました!

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【バジル】

やり取りが、あなたの取り組みに役立って、本当に何よりです!

素敵な演奏会になりますように🤗

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