3週間ほど前から、
“息の吐き方の主観的感覚・イメージ”
として、金管楽器奏者には少なくとも
・シラブル主導
・息圧主導
・息の流れ主導
の3種類があるようで、奏者によりどれがしっくりくるか異なるようである、
というところに着目しはじめました。
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きっかけは、昭和音大のホルン中島教授の新しい教則本を眺めたところにあります。
教則本や、出版されてなくても日本・海外含めて数多の指導者それぞれが体系化したウォームアップやエクササイズが多数あるわけですが、「譜例」というのはそれらの中でほとんど出尽くしてると思われます。
すると、特別に譜例にオリジナリティのあるものはないわけですが、
どのような譜例をどういう順番や構成で配置するか。注意書きなどで示される意識する内容などと合わせて、そこに書き手・指導者の「主観」「感覚」「狙い」が表出している面がある。そう言えるところがあるように感じます。
中島教授のウォームアップ・エクササイズブックに目を通したとき、いままで見てきた様々な教則本や非公表のエクササイズ集のなかで、もっとも「使いやすさ」を直感しました。
自分の吹き方や感覚に「フィット」するものだった、ということです。
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ここで、急に教則本に表れる書き手の感覚というものに俄然興味が湧き、十数種類も急遽購入したり既に所有しているものに再度目を通したりしました。
すると、中島教授のウォームアップ・エクササイズ集は、他の多くとやはりちがいがあり、同時に
✓フランク・ロイド元教授のエクササイズパターン構成
✓藝大日高教授が公開してくださっているウォームアップ・エクササイズ構成
とどこか感覚的に通じるものがあることを感じました。
次に、ホルン指導者の権左勇一さんの書いているウォームアップ・エクササイズ指南を読んだ時、そこで「シラブル」が度々強調されていることに気が付きました。
自分自身は息の流れを意識するのが諸側面が噛み合うので、感覚・主観が異なることにふと気が付きましたが、
この段階で、
・シラブル主導
・息圧主導
・息の流れ主導
というのが金管奏者・指導者のメソッドや語りにはよく登場すること、そして、どうやら人によりどれを強調・推奨するかが異なるようだということに思い至りました。
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そのあとから、レッスンで、これらのうちどれ主導で意識するとしっくりくるか、3週間で20ケースほどテストしておりまして、これがまた面白いことに、均等ではないにしてもちゃんとバラけているのです。
そして、テストしてみてはじめて、どれが機能的でどれがやりづらいかが分かる。予想がつかない。ということも感じています。
*アンブシュア*
超高位置タイプ
中高位置タイプ
低位置タイプ
*息の吸い方支え方*
胸式呼吸
下部肋骨呼吸
腹式呼吸
*息の吐き方*
シラブル主導
息圧主導
息の流れ主導
各側面に3種類しかないわけではなく、これは特定の着目・分類の仕方をすればそうやって区別できるということなのですが、
これだけでも27通りの組み合わせができます。
なんだか、カスタマイズサイクルショップみたいですね、ギアはこれ・フレームはこれ・サドルはこれ、みたいに(笑)
そもそも私は物事の分類にそれほど興味はない方なので、自分でも分類を参考にしてパーツをテストしていくようなレッスンのやり方にこだわりがあるわけではまったくないのですが、
実は
「テストしてみないとわからない・テストしてみて初めてわかる」
というところ、誰がどのように演奏したらいいのか・うまくいくのかを、誰も予め分かっていなくていいし、誰も予め決めなくていい、というところ。
ここに大きな解放感と可能性を感じています。
可能性を拡げて、機能性や感覚、好みで奏者自身が選択できる。教師はその選択・決定にかなり直接的な干渉・影響をしなくて済むようになる。
「あ!なぜかこれがいちばんいいね!」
という発見を一緒にできる。結果が予想と一致しても全くちがっても、等しく面白くそして勉強になる。
細かい観察や解析にエネルギーを割くのを、こういう分類と組み合わせの実験では分からないところにより集約もできる。
まだやり始めなので色々変わると思いますが、最新近況報告でした!
BasilKritzer