アレクサンダー・テクニークがどう楽器演奏に役立ってるか、使えるのかといいますと、自分の場合はですけど、「全部の要素がいっぺんにつながる/向上する」ことです。
便宜上、アンブシュア、呼吸、フィンガリング、姿勢、スラー、タンギングとか分けて考えるのが普通なんですが、身体は部分が独立して機能するのではなく常に全体ひとつながりで働きます。さらに様々な演奏技術も全てひとつの身体が行う演奏という動作の各側面なんですよね。
アンブシュア強化だ!タンギング鍛えるぞ!さあフィンガリングの練習だ!…ってな感じで部分に分けて個別にやってパーツ組み合わせたら良くなるはず、そんな練習方式で行き詰まってても代わりの考え方や方法論がない。そんな八方塞がりを経験しました。
そもそもアンブシュア/姿勢/呼吸と分けることは身体の現実ではない便宜上のものだし、しかも実は分け方も実際の各部分や機能の複雑さからすると大雑把過ぎますね…。それを何となくパーツ的に捉らえると、うまくいかなるのは自然かも。現実と離れますから。
それがアレクサンダーテクニークではスタートが全身全体なので、演奏に応用し始めると驚くことがよくありました。自分自身の「使い方」を変えると全身のバランスが変わり、結果として、つまり直接意図しなくてもあくまで結果的にアンブシュアが「良い形」とされるものにひとりでになったり。
姿勢が堂々とした印象になったり、身体が楽になったり、呼吸のキャパシティーが拡大したり。そして音の響きが良くなったり、出なかった高音が出るようになったり。
それは演奏を行う自分自身全体の在り方や動き方や、物事のやり方が変わった結果として、「音」や「見た目の形」という結果が変わるんですね。
「音」や「正しいアンブシュア」というアウトプットを目指して、ただ努力を増やして頑張ってた頃は結果が伴わなかったのに…。若干拍子ぬけした気分もあったなあ。
音を出せるようになる、良くする、そういう結果を生むのは「それを自分自身がどのように行っているか」という過程においてです。アレクサンダーテクニークがアプローチするのはここ。
アンブシュアのより細部のコントロールや呼吸の調節、楽器の持ち方/支え方の操作もできるように段々なってきてます。それはまず全身の在り方とバランスへの働きかけがうまくいっていて、全身のつながりという土台の上ではじめて各部分で意図を実行できるからですねきっと。学べば学ぶほど広がります。
じゃあ、アレクサンダーテクニークで具体的にどうやって全身のバランスに働きかけるのか? 簡単です。バランスを失わせる不要な緊張やバランスに邪魔をする不合理な癖を「やめる」だけです。
しかしそんな緊張や癖の実体はほとんど無意識に起きてます。これに気付き、やめて代わりに新しいやり方を選択するのがアレクサンダーテクニークのレッスン。簡単ですが容易ではありません。簡単だからこそ、100人中99人は専門の教師の助けが必要です。
自分でできるようになるためにこそ、きちっとレッスンで学んで下さい。気長に根気よくレッスンを定期的に続けましょう。