趣味でフルートをなさっている方から本番の緊張に関するメール相談を頂きました。
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【質問者】
いつもブログを興味深く読ませていただいています。アマチュアのビッグバンドでフルートを吹いています(50代後半女性)。私は演奏会のとき緊張のあまり演奏がボロボロになるのが悩みです。バジルさんのブログやYouTubeを読んでいろいろ試行錯誤しています。
今日、バジルさんの「アンブシュアの支え」https://basilkritzer.jp/archives/11795.htmlを読んで、あることを思い出しました。
この前、人前で吹き、変な音が出て焦っているとき、ふと、ちょっと冷静な自分が、「私、今アンブシュアのコントロールが出来ていないかも…」と思ったことです。具体的には、いつもよりアパチュア大きくなっているようだと思いました。これは緊張すると、口の回りの筋肉が緩みがちになるということでしょか。
今度の演奏会のとき、アパチュアの大きさを意識してみようと思います。でも顔って緊張するとどうしてもひきつるし口もうまくコントロールできるか不安です。何か対策はあるでしょうか。お考えを教えてくださるとうれしいです。
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【バジル】
A:アパチュアが、吹きやすい状態より大きい
B:それは緊張したときに起きている
↑
これが仮に正しいとすれば、
①普段の練習で吹きやすいアパチュアの大きさを調べ、それを意識して練習し、実際に吹きやすいことを確認する
②緊張を減らすか、緊張の影響を減らす
ということが着手したいこと、と言えますね。
ここまでいかがでしょうか?
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【質問者】
返答ありがとうございます。
はい、私も緊張を減らすか、緊張の影響を減らすことを考えています。
バジルさんの「アンブシュアの支え」のブログを読んだとき、息の圧力に耐えるアンブシュアをトレーニングで作っておけば、緊張しても簡単に緩まないのかな…と思いました。これは「緊張の影響を減らす」ことを目指した考え方ですよね。このトレーニングが緊張時にも効果あるのか… 私には今わかりません。
もう1つ、「緊張を減らす」という考えは、私がボロボロになる原因なのでとてもいい方法だと思います。
私はアパチュア問題の他にも、ソロのとき、唾が全然出なくなって口の中で舌がくっついてしまう現象が起こったり、横隔膜がきゅーと上に上がって息が少ししか吸えなくなったり、最初わりと平気と思って吹いていたのに難しいところで急にドキドキして指が回らなくなったり…と、緊張は体のいろいろなところに影響を及ぼしてきます。なので、緊張を減らすことが出来れば本当にうれしい。
でも、その方法がよく分からないのです。
周りの人からは、緊張対策は場数を踏むことが一番大事と言われるので、可能なところでそれをやろうと思っています。近々、習っている教室のフルート発表会があります。
前に、バジルさんが、自分の理想の演奏と実際の自分の演奏に開きがあるとそこに大きな緊張が生まれる…(確か「緊張の本丸」と言ってました)と仰っていたので、今はその「開き」を埋めようと思い練習しているところです。
話があまりまとまりませんでした。すいません💦バジルさんの②の話についていろいろ書きました。①についてもアパチュアの大きさを確認してみます。
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【バジル】
これですね。
↓
〜バジルクリッツァー×爲末〜Vol.2
あがりと緊張はコントロールできるのか:
「緊張を分析し、パフォーマンスを発揮する方法を考える」
緊張の本丸の話、実は「実力を上げましょう」よりは「上がりすぎた期待値を下げましょう」なんです。
緊張の発生そのものを減らしたり和らげたりするうえでの考え方のひとつです。
実力はすぐに上がらない一方で、本番の緊張はその都度ありますからね。
一方で、書かれているような緊張感は、緊張の生理的な反応の部分ですね。
それを落ち着けるものとしては
薬・漢方薬
呼吸法
瞑想
ツボ押し
イメージトレーニング
が代表的です。
これらは緊張の影響を減らすものです。緊張そのものを減らすのではなく。
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【質問者】
そうです!そのYouTubeです。
「実力アップより、上がりすぎた期待値を下げる」そうですね。その通りだと思います。
次のフルート発表会については、私がお金を出して参加させてもらうような会なのでちょっとは気楽です(でも会場が大きいしやっぱりすごく緊張すると思うけど)、が、所属バンドのコンサートはお金を払って聴きに来てくれる人の前で演奏するので、下手な演奏だと申し訳ない💦とか、これまで失敗しているのに懲りないでソロをくれるバンドマスターへの期待に応えたいと思ってしまうのか、自分への期待値を上げてしまう自分がいます。どう考えたら楽になるのでしょうか。
緊張の生理的反応を押さえるためのいくつかの対策ですが、
薬について。先ほどのYouTubeの中で、今内科に行けばどこでも処方してもらえるとありましたが、私の住んでいるところは田舎町なので、えっ?と言われそうな気もします。でもチャレンジする価値は大いにありますよね。
イメージトレーニングは、バジルさんの本やYouTubeにあった、曲のイメージを考えてそれを作ることを本番で考えて演奏するというものでしょうか。それは、前に試してみて効果がありました。ソロではなかったのですか、フルートの音が重要な場面でちゃんと音は出せたと思います。吹いていて気持ちもよかったです。
たた、ソロのときは、曲のイメージをやろうと思っても会場の雰囲気に呑み込まれるかもという不安もあります。とにかく、次の本番でもイメージをもってやってみるつもりです。
呼吸、瞑想、ツボ押しについては内容がピンときませんでした。もし過去にそれについての、ブログやYouTubeがもしあったら教えてもらえるとうれしいです。
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【バジル】
>>所属バンドのコンサートはお金を払って聴きに来てくれる人の前で演奏するので、下手な演奏だと申し訳ない💦
↑
お金のやり取りに罪悪感を絡ませるのは、世の中一般のお金や取引についての理解不足からの影響があると思います。
まず取引とか交換は、両者が、自分が差し出すものより得られるものが大きいと思って行っています。
演奏会だと、お客さんは自分が払ったお金に対して自分が見出す価値より大きい価値がその演奏会に行ったことで得られると思って来ます。
演奏者は、自分が差し出した演奏や時間、それまでの努力よりお客様に聴いてもらえることの価値や頂くお金の価値が大きいと思ってお金を取ります。
その判断はお客さん、演奏者がそれぞれに自分の責任で行っています。
お客さんが演奏会にがっかりしたとしても、その演奏会を選んだ自分の責任以外のナニモノでもありません。そのリスクが嫌なら五万円払ってウィーンフィルの演奏会に行けばよいのです。ウィーンフィルでも感動できる100%の保証はないですが。反対に、無料の演奏会でもまだ無名の才能豊かな奏者を発見したり、いろいろなことがたまたまうまく噛み合って素晴らしい名演を街のアマチュア楽団がするのに居合わせたりもできます。それはお客さんの好奇心、行動力、リサーチ力、運次第です。
演奏者は、人前に立った時点で、その演奏をどう思われるかについてはお客さんに預けるということに自分で責任を負います。それが嫌で演奏しない選択も、怖いけど演奏したいからする選択も自己責任でできます。
これが、演奏者と聴衆がそれぞれをリスペクトするということです。
>>とか、これまで失敗しているのに懲りないでソロをくれるバンドマスターへの期待に応えたいと思ってしまうのか、自分への期待値を上げてしまう自分がいます。どう考えたら楽になるのでしょうか。
↑
わたしのブログの『緊張と恐怖への対処』というカテゴリーに分類してある記事一覧です。
何百と記事や動画がありますので、まずは色々見たり探したりしてみて下さい。
期待値をなぜ上げるのか?
上げないでいられる考え方があるとしたらそれはどんな考え方か?
上がった期待値を下げる方法はあるか?あるとしたらそれはどのようなものか?
↑
このような問が考える糸口になると思います。答えが用意されているわけではなく、ご自身の中から見出したり、共感できる誰かの考え方を探し出したりすることが必要だろうと思います。
>>薬について。先ほどのYouTubeの中で、今内科に行けばどこでも処方してもらえるとありましたが、私の住んでいるところは田舎町なので、えっ?と言われそうな気もします。
↑
オンライン診療・処方という方法もあるかもしれません。
>>ソロではなかったのですか、フルートの音が重要な場面でちゃんと音は出せたと思います。吹いていて気持ちもよかったです。たた、ソロのときは、曲のイメージをやろうと思っても会場の雰囲気に呑み込まれるかもという不安もあります。
↑
効果があったなら、やってみない手はないですね!
>呼吸、瞑想、ツボ押しについては内容がピンときませんでした。もし過去にそれについての、ブログやYouTubeがもしあったら教えてもらえるとうれしいです。
↑
緊張、あがり症 などの言葉と組み合わせてインターネット検索すれば様々なものが出てきます。
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【質問者】
演奏者は、人前にたった時点で、その演奏をどう思われるかについてはお客さんに預ける… というところが胸に刺さりました。あと、お客さんが演奏会にがっかりしたとしてもそれを選んだお客さんの責任…というところも(ここは笑いました)。
バジルさんのお金のやり取りに関する話を読んでなぜか涙が出ました。この感情が何なのか、自分でもよく分かりません。
バジルさんのブログ「緊張と恐怖」に関するカテゴリーの記事は、これからゆっくり読んでみます。
今、解決策を求めていろいろなものを見て探しています。私の今の悩みもそのうちには軽減するだろうと願って。
バジルさん、理論的で分かりやすいご返答どうもありがとうございました。
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