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これはガチホルンネタなんですが、きのうレッスンに来たうちの一人は中高で吹奏楽、最近大学でオーケストラを始めたホルン吹き。
オケを始めて面食らったらしいのが
『低音がマジで低いしかもフォルテも多く、ちゃんと聞こえなきゃいけない!』
という現実!
真ん中の実音Bbの下のFくらいからもう、バリバリした音にするのがなかなかできないとのこと。
じゃあ、まずはそれができるところから始めようと考え、上のFを大きくバリっと吹いてみて、と促すと、もうそこにヒントが。
◎発音の直前にちょっと躊躇
◎バン!っと鳴らした直後に音を引いた
↑
これで察したのが、『バリバリとした音色を避けようとしているな』ということ。
躊躇や後引きで、自然倍音が落ちて下の音に『割れる』傾向があったのは本人も気付いていて、でもこれは音色的な意味で割れてるわけじゃないよ、と話をしました。
バリバリしているのは、それは楽器の音色、鳴り方。
一方、躊躇や後引きは『バリバリ=荒い・汚い・悪い』という固定観念による音の操作で、そのせいで音が落ちて濁っているよ、と。
そしたら上のFや真ん中のBbがバリバリできるようにすぐなった!『音色は変わっていい』ことにすればあとは息を吹込み楽器を鳴らせばバリバリするんですよねー。
それがホルンという楽器だから。
でももっと低音ではまだ苦戦。
取り組み中の譜面が、ある交響曲の2番ホルンでinBb。出てくる音を見てるとこれは元はBbバッソ管だなと分かったので、F管1,2,3でH管にして表記より半音上げて吹いてみてもらった。
長ーい管だと、
◎そもそも音はブニュブニュモコモコする
◎低い音があまり低く感じない
◎すぐバリバリした音色が出る
ので、このへんを実感してもらう狙い。狙いは的中して、かなり低い音がバリバリ鳴らせた。
あとは『その音色イメージ』で元の表記、普通の運指でやってみるとうまくいきました☺
ホルンの面白いのは、『音をバリバリさせるとうるさく聴こえる』ところで、実はこれを利用すると、ラクに『フォルテ』の印象が得られるところなんですよね。
ウィーンナーホルンは音がバリバリするまでが早く、これが音色の多彩さの一因で、実音量に比して『フォルテ』の印象を強めやすい。
『バリバリ音色』の『うるるささ』を避けるんじゃなくて意図的に出すと、いろんな譜例のヒントになりますね!
音量により音色が変わりやすい楽器(ホルンなど)と一貫しやすい楽器(ユーフォ)があるし、音域で音色が変わりやすい楽器と一貫しやすい楽器もあります。
分かってる作曲家だと、それをふまえて書いてるから、楽器の特性のままに鳴らすのが実は一番吹きやすいしハマるし合うんですよねー!
名曲をやる大事さはこのへんにもあるのでしょう。
BasilKritzer