【緊張の多様性】

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ある日、レッスンにいらした方の中に、現役バリバリのオーケストラ奏者の方と、優秀な音大生がいました。
 

お二人とも本番や人前での緊張の悩みでいらっしゃいました。でも、二人とも『緊張』と同じ言葉では言うけれど、中身はかなり異なるものでした。

前者は、場面や状況を問わず、他人からの注目を浴びる・感じると起きるソワソワドキドキや硬さ、震え。

後者は、ソリストやトゥッティで演奏しているときは平気だけれどオケ中のソロ箇所だと戸惑いや不安、硬さを感じるというもの。

前者は、生理的な反応の問題で、薬や呼吸法、メンタルトレーニングや認知訓練などが役立ちます。

後者は、実は経験の問題で、オケ中で音楽的な意味での自分の役割やすべき振る舞いを把握していないことからくるある種のパニックでした。場数で解決していきもしますが、それを待たずとも能動的にその都度どんな考え方や解釈で演奏してみるかを定めてやってみようとすることや、現役オケ奏者から様々なオーケストラスキルを教わることで良くなっていくことでしょう。

この他に、『緊張』には自分への過剰な期待、共演者との社会的・人間関係的ストレス、奏法や能力の弱点など、原因や引き金になることが様々あり、それぞれ異なる『緊張』だと捉え、それぞれ異なる対応方法や学習を見出すと考えるようにしてレッスンしています。

緊張やあがり症の問題は、タブー視されやすいことではありますが、その内実は多様かつ色々と合点のいく原因の構成があるのではないかと現在感じています。丁寧にオーダーメイドで対応プランを見出す過程が面白いものだなと感じています。

Basil Kritzer

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