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プロのサクソフォン奏者で、学校吹奏楽部などで金管楽器の生徒さんの指導をすることもある方から、記事『息のスピードを上げるには』に関し質問を頂きました。
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【質問者】
突然の質問をお許しください。
息のスピードという言葉を金管楽器の方からよく聞きますが、理解できません。
同じ隙間を同じ圧力で息を通せば同じスピードということになりませんでしょうか?
息のスピードというのは圧力と同じと考えてよろしいでしょうか?
【バジル】
圧力との関連性は分かりませんが、
唇から外に流れる息の速さ、勢いのことです。
同じ隙間ならより思い切り吐いたらそのスピードは増し、逆に勢いを変えないなら隙間を絞ればやはりスピードは増します。ただスピードは測定してのものではありませんから「スピード感」ですね。
【質問者】
早速のお返事ありがとうございます。
同じ隙間なら息の量とも考えることができますね。
大きい音=息のスピードが速いという認識でいいのでしょうか?
講習会などで《息のスピード》という言葉が出てきて具体的に強弱とどう違うのか、抽象的で質問を続けると殆どの指導者はゴマカシます。
私も長い間サクソフォンの指導をしていますが《息のスピード》というわかりにくい言葉は使いません。
《息のスピード》と云わないと伝えにくい事柄があるのでしょうか?
【バジル】
大きい音のときはアパチュアが開くのでその分スピードは落ちますね。
大きい音も小さい音も、より高い音の方が唇から外に流れる息のスピードは速い。あるいは金管吹き同士の実感ではそう言い表し方で話が通じます。
スピードは音の高さの関連で使われる言い表し方ですね。
私自身は自分の奏法でスピードを敢えて考えはしませんが、多くの金管吹きはスピードという言い方もしくは実感で高い音のことをイメージしています。
【質問者】
ご丁寧なお返事をいただきましてありがとうございます。
なんとなく金管楽器の方々が云うことがわかった気がします。
それを知った上でこれからの指導に活かしたいと思います。
お忙しい中お時間を割いてくださりありがとうございます。
了
To【質問者】さん
横から失礼します。
多分なのですが、【質問者】さんのおっしゃりたかった事って、
①他の条件が変わらないなら「息のスピード」は息の量と相関があるもののようだ
②息の流量/秒に相関して音量の大小は変わるが、だとするならば、「息のスピード」も音量の大小によって変わっているのだろう
③ところで皆、高音域でも音量コントロールは行うよね?
④とするなら、息のスピードなんて全く関係ない…とまではいかなくても、(音量コントロールできる程度には)かなり幅広いんじゃないの?
…のような内容だったりしませんか?
もしお考えが上記の内容どおりなら、恐らく自分もそれに近い感覚の持ち主です。
サックスやクラリネット、オーボエなら、
フラジオだろうが、ファズトーンだろうが、重音だろうが、
口腔内を「出したい音用」に整えるだけで、希望の音が出せるように感じますし、もちろん音量のコントロールも可能です。
自分の中では「息のスピード」が介在がする余地がありません。
正確に言うと、「息のスピード」という考え自体、上記①~④の観点から、事象の整理に不適格だと考えています。
例えば、「息のスピード」を起点に高域拡張や音色の変化を考えているような人は無駄な苦労をしているように映るのです。
自分は金管も吹くのですが、金管に関しても(リーズ楽器と比べて振動体周りを自在に操れるというメリットと難しさはあるものの)ほぼ同様の考えです。
別の楽器で考えると、
ピアノの鍵盤を超スピードで打鍵したからって音が高くなるわけじゃないですし、
弦楽器の擦弦の動きを神速にしたからって音が高くなるわけじゃないですもんね。
なんで管楽器だけこうなんでしょうね?不思議。
多分、バジルさんがおっしゃっているように「スピード感」なのであって、
物理的な「スピード、速度」とはマジでなんの関係もないんでしょう。
天才言語的なナニカなのかも。