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きのうは、三度目となるホルン愛好家とのレッスン。
音のツボが定まらない、アンブシュアが安定しない
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その原因はプレス不足
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その原因は息の吐き強度・息圧不足
↓
その原因は低音や下降時のアンブシュアの緩めすぎ、開きすぎ
・・・というように、ここまでキレイに線的でないにしろ、何層かの原因を掘ることができた。
それもあり、
◎しっかりプレスし
◎しっかり息圧の感覚作り
◎下降音型を音質の一貫性をよく聴きながら注意深く吹く
という複合的な対応が大変有効だった。
しかし、問題がまだあって、この3つのことを意識するのが実用的には意識のコストがかかり過ぎる、そして息を吸うとリセットされてしまう面があること。
息を吸うときに、特徴的な低い音がする。そして口の中はいろいろやっている割には胸郭はあまり動いていなくて、あまり実際には吸えていない。
そこで尋ねてみた。その吸い方はどういう意識や意図があるのかと。
すると、『たぶん、みんな一緒に同じように、いつも毎回同じように「深く」息を吸うべきとされてた高校時代のままだと思う』とのこと。
・・・ここで、息の吸い方を反対に変えるということを直接しようとするのではなくて、
「みんなと同じように」の反対は何だろと考えてみた。・・・多分、「自分のやりたいことをやりたいようにやる」ではないかと思い至ったので、
『何をどういうふうに自分はやりたいですか?』と尋ねたら。
すると、
『この楽器の良い音を奏でるのが目標』
とのこと。
そこで、
《自分の奏でたい、この楽器の良い音、まさなその音を出す。そう考えて吹いて見て下さい》
と提案してみた。
次の瞬間、その方はさっきの・ブレス・息圧・音質の一貫性(アンブシュアコントロール)の三つともがバッチリできていた。
劇的だった。
そうか、フィジカルな事柄の比較敵深層にある下降時のアンブシュア緩めすぎアパチュア開きすぎ問題は、音質モニタリングにより矯正される、つまり音質モニタリングの抜け落ちから来ているとも言えるわけだが、
音質モニタリングが抜け落ちる理由が、《出したい音を出すという自律的な意志のリードが無かったから》だ。
それは、『(自分のやりたいことより)みんなと同じよつに』という高校時代に由来する意識と裏表だったわけだ。
フィジカルとメンタル(シンキング)の関係を分かりやすく描写する印象的な事例だった。
Basil Kritzer