金管って、吹いててバテますよね。
バテ対策に関しては、ひとつはこまめにマウスピースを離し、唇をリラックスさせ、血流を促してあげることがありますし、息にもっと仕事をさせるという点も挙げられます。
ですが、可能性としてもうひとつ考えられることがあります。使う筋肉の種類です。
筋肉には速筋(白身。瞬発的で大きな力を出せる筋肉)と遅筋(赤身。持続的に活動し、有酸素運動に対応する筋肉)があります。
たとえば、ただ立っているときや寝ているときも、脊柱起立筋や深層にある「存在するための筋肉」は働いています。これが遅筋で構成される割合が高いのです。一方で、表層にある大きな白身の速筋は休んでいます。
マグロが例えば遅筋を持つ割合が高いのですが、実際赤身ですよね。
マグロは、高スピードで眠らず何百キロも泳ぎ続けます。
これが発達した遅筋の能力です。
人間の場合も、速筋と遅筋を持っていますし、すべての筋肉群で速筋繊維と遅筋繊維が様々な割合で含まれています。
肝心なのはここからです。
やり方によって、速筋と遅筋の使われ方の割合が変化します。
恐怖反応や即座に動く必要があるときは、より速筋が使われます。
安定し、落ち着いた行動が必要のときは、より遅筋が使われます。
時折、ホルンのスタミナ無尽蔵な人がいますが、鍵はこのあたりにある気がします。
その人のやり方が、遅筋をより使うようなやり方なのです。
遅筋が使われるには、速筋がまず活動を休止したうえで望む行動・動作を継続しようとする必要があります。
そのために、即座の習慣的な反応ややり方をいったん抑制する必要があります。
スタミナ無尽蔵の人は、実際に力や体力がたくさんあるというよりは、「疲れないやり方の持続」に優れているのではないでしょうか。
では、どうすれば「疲れないやり方」「望ましいやり方」の持続が可能なのでしょうか?
これまでに、疲れずに良い感じで吹き通せた、疲れは感じても良い吹き方でいい感じで吹けた、そんな経験はありませんか?
あるとしたら、そのとき「考えていたこと」がポイントです。
どういう風に考えていたでしょうか?
どういう風に「吹くこと」に反応しましたか?
いい感じで吹けたとき、大事なのはそのときの感覚ではなく、「思考」です。
思考→動作→感覚
という順番が必ずあります。たとえ意識していなくても。
ですので、感覚の再現を望むのではなく、思考の要点を掴んで行きましょう。
ある動きを起こす元となった指令・プランがあるのです。
そこは、様々に実験して変えて行けるところなのです。結果はやってみたらすぐに分かります。
では、話をもとに戻して,「持続力・耐久力」のUPに必要な手段を、仮説ですが考えてみます。
1:「望ましいやり方」を考え続けること。
2:「望ましいやり方」をやり続ける中で、習慣的に起きる「望ましくない反応」を抑制すること。
これをやっていくなかで、結果的に速筋と遅筋の使われ方の割合が、より自分のやりたい事をやりたいようにやらせてくれるようなものに次第に変化していくかもしれません。
むむむずかしい~~~。
速筋遅筋とは論点がずれるかも知れませんが、僕の近所のすぐバテる人は、口(唇)ばかりに意識がフォーカスしているようです。
顔見ただけで分かります(笑)
僕の場合、呼吸に意識をもっていくと、割ともちます。
安定し、落ち着いた行動=たっぷりブレス
という感じなんでしょうか?
この場合、遅筋ってどこなんでしょう??
massyさん
うん、今回の記事はまとまらずにぼやけてます(笑)
新しく知った事を消化せずにそのまま書いちゃったので…。
ご近所さんの話は、おもしろいですね。
部分に意識が集中すると、瞬発的に大きな力を出す速筋繊維を使いがちになるんでしょうね。
あと、遅筋繊維は働きが感覚情報を通してはより微妙にしか感じられないので、「感じよう」としすぎていると、結局は速筋繊維偏用になっていくみたいです。
それと、たっぷりブレスというのは、安定や落ち着きの結果としての産物ではないでしょうか。
だからどちらかというと、自分全体や呼吸に意識的になっていることで、結果として大きいブレスも静かなブレスも、出す音や音楽の意図に応じて出来るようになってくる、そんな見方を僕ならしますね。
遅筋繊維は全ての筋束の中に含まれていて、腕の力こぶにも唇の筋肉にも腹筋にも入っています。
やっぱりよく分かりません(汗)
たっぷりとブレスをすること=安定し、落ち着いた行動→遅筋が働く、ということかと思ったのですが。
遅筋はなかなか感じにくいということなので、そのメカニズムは意識せずに、これまで通り、ブレスを意識して吹いていくことにします(^^)
ということで、いよいよ3日後、名古屋で大きな本番です。
massyさん
本番はどうでしたか?
順番としては、思考の落ち着き→行動の落ち着き=たっぷりとしたブレス、遅筋の活性化ですね。
ブレスも使われる筋肉も行動の質も、意識の質の結果なんです。
本番終わりました。
意識はしっかりとしていたのですが、質が悪かったみたいです。
ある方に、「吐くブレス」のことを教わりました。
吐きが甘かったのかも知れません。
また頑張ります。
いつも楽しく読ませてもらっています。
バジルさんはどんな楽器・マウスピースをお使いですか?
写真を拝見すると、ガイヤーモデルのようですが。
massy さん
お疲れさまです!
本番を通して具体的にアイデアがまた得られたようですね!
ホルンコールは、これは完璧に吹けたらホルンという楽器を本当に「熟達」していると言えると思います。
英語とmasteryと言って、あることに熟達するには、どんなことでも1万時間の「毎回新たな繰り返し」が必要だと言われています。
satoshi さん
楽器はアレキサンダー200周年記念モデル
マウスピースはJKの「WH2D」というモデルを使っています
(^_^)/
いい楽器をお使いですね。ホルンは物としてもとても魅力的なのがいいですね。
ところで、バジルさんはホルン演奏において声帯はどのような役割を果たしていると考えますか?昔パイパースの記事で、ファイバースコープで演奏中の声帯の様子を観察したところ、上手な管楽器奏者は演奏中、声楽家同様、声帯がリラックスして綺麗に閉じているということが報告されていましたが。私も、自分で演奏してて、リップトリルは、声帯でかけているような気がしています。喉を開いて、声帯はリラックスさせる方法はありますかね?
satoshiさん
声帯と金管楽器演奏の関わりは、よく分かりませんが、声帯自体の発生メカニズムは仕組みを勉強したことがあります。
すごくうまくできていて面白いですよね。喉頭内部の筋肉に働き方に二種類あって、それが両方うまくはたらいてよく響く声になる仕組みがあるのが、金管奏者いとっての唇の働きを考えたときに示唆的な気がしました。それに、喉頭から頭や頸椎、肩甲骨、までも筋肉や靭帯でつながりがあって、発声が身体全体のバランスとダイレクトにつながるのが分かったのは面白かったです。
久々に思いだしましたが、来月アレクサンダーテクニークの教師養成クラスでちょうどまた学ぶので、ブログでも取り上げるかもしれません。
上手な管楽器奏者が声帯がリラックスしている、というのは知りませんでした。
ということは、声帯は直接的に使われるのではなくて、声帯のリラックスが結果として生まれる全体的なバランスの良さもきっと共通しているのではないかな、と思いました。