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9月16日、初めて愛媛県松山の地でセミナーを行う機会に恵まれました。
きょうは、このセミナーの主催者であるトロンボーン奏者の三瀬昌典さんから、
『どんな理由と思いでこのセミナーを開催することにしたか』
について、音楽に情熱を持って取り組む方ならきっと共通する経験、悩み、考えを率直に語って頂きました。
三瀬昌徳(トロンボーン奏者)
そもそもバジル先生との最初の直接的な接点はアンブシュア・モーションについての質問から始まりました。
しかし、直接会って教わりたいと思い、それどころか松山にお招きしてセミナーを開きたいと思ったのはそれだけが理由ではありません。
私は地方の音大でトロンボーンを学びましたが、当時も大して吹けたわけではありませんでした。
入学してから約2年半ほどだったでしょうか。
伸び悩み、そこから抜け出すために何から手を付けてよいかわからず、あがきながら日々の課題をこなすのに精一杯でした。
音域も狭く、音量も出ず、自分の音色にも魅力を感じていませんでした。
学生の頃に読み漁った本の中に、「管楽器の呼吸法(藤井完)」という本があり、内容は当時の私にとってはなかなかに難しく、部分的に取り入れただけでしたが、その本を参考にして呼吸を見直し、
息を当てるポイントを意識する練習、腹筋や背筋の使い方のトレーニングを1ヶ月程度続けたことで、私のパフォーマンスはかなり好転しました。
そのことをきっかけに、管楽器演奏において生ずる様々な(楽器を操る上での)技術的問題の大半は、呼吸によって改善できるのではないかと思うようになりました。
その後、いろいろと試行錯誤を繰り返す中で、初めて「アレクサンダー・テクニーク」というものを雑誌で知ります。
今から約20年前でしょうか。当時、バーバラ・コナブルさんの青い本ぐらいしか気軽に手に入りませんでしたが、すぐに買って読んだのを覚えています。
しかし、身近なところに指導者がおらず、深く追求することはしませんでした。
30代になって人前で演奏するのはもうやめようと思い、一度は演奏をやめました。
その頃は楽器店に勤めており、学校営業をして現場の先生方の指導に関する悩みを伺ったり、楽器インストラクターの方と話す機会も多かったですが、
私の考える「呼吸の重要性」は比較的軽んじられていたように思って、ずっともやもやとしていました。
そして、今から3年前くらいだと思いますが、以前はあまり見なかったYoutubeをよく見るようになり、その中でバジル先生の動画を見る機会がありました。
アレクサンダー・テクニークを学んだことのない私にとっては、「アレクサンダー・テクニークのレッスン」というよりは「呼吸法やメンタルトレーニングのレッスン」に見えていたでしょうが、
その内容は非常に共感でき、また、その即効性が素晴らしいと感動したことを覚えています。
その後、バジル先生の著書を何冊か読ませていただきました。
こういう先生こそ、広く世の中に認知されるべきだし、まだ知らない人たちに紹介したいと感じました。
あまり大それたことを考えているわけではないのですが、
音大生やプロ奏者がたくさんいる大都市に対して、体制もノウハウも整っているとは言えないと感じる松山において、
最新の理論に基づいて、合理的で明らかな効果があり(少なくとも私はそう信じています)、
まだ普及していないアレクサンダー・テクニークを取り入れた楽器演奏・楽器指導の「種」を蒔きたい。というのがこの企画のスタートです。
スポーツ庁答申を受けて、学校部活動は文化部においても時間的縮小は避けられない状況の中、学校吹奏楽指導者の先生方に対して、
より合理的で効率的な指導法を紹介することも十分に意義があると考えています。
最後になりますが、この企画は単に楽器が上手に演奏できる人を量産することが目的ではありません。
大人も子どもも問わず、より多くの人達が、自由で楽しく演奏できることが何より一番だと思います。
子どもの頃の私がそうだったように、松山で管楽器を演奏する人たちは楽器の専門家から理論的かつ合理的な指導を受けた経験が無い人が大半だと思います。
楽器演奏に限らず、スポーツでも何でもそうだと思うのですが、今までできなかったことができるようになると、楽しみの幅が広がります。
それにはもちろん時間をかけたトレーニングが必要だとは思いますが、正しく学ぶことでその労力を少なくできますし、
新しいことを学ぶ楽しさや、それによって世界が広がることのワクワク感を多くの人たちに共有してもらいたいと願っています。
詳細・お申し込み:
2018年9月16日 音楽愛好家のためのアレクサンダー・テクニークセミナー松山