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歌や楽器の練習をしているときに、
何か嫌なことや気になっていることを思い出して集中が削がれる感じがするときって、ありますよね。
そういうとき、
頭や心に浮かんできたことを
「これは練習には関係ない!」
と思ってなんとか振り払おうとしがちではありませんか?
【反応=respondすることは、良いこと】
少なくとも僕は、先日までそうでした。
そういうことが頭によぎったら「練習や音楽のことを考えよう」としたり、
そもそもあまりよぎらなくて済むように、「練習前に解決しておこう」と努力したり、
とりあえず「横に置いておいて、あとから考える」ことにしようとしたり。
いずれもかなり上手にできるようになってはいました。
でもつい最近、わたしのアレクサンダーテクニークの師匠であるキャシー・マデン先生にレッスンを受けたとき、
直接的にこのことを相談したりテーマにしたわけではなかったのですが、
『反応(respond)することは、芸術家の必要かつ望ましい能力よ』
と一言おっしゃったのが大きなターニングポイントになりました。
ぼくは「反応する」ということを
・周囲の音や演奏
・自分の体調や技術的コンディション
・そのとき演奏・練習している環境
に対してのみ、考えていました。
でも、
・「自分の心、思考、イメージ、記憶」
といったことも、演奏や練習のコンテクストで起きていることであり、反応し対応していきたいものである、
ということに初めてちゃんと気がつくことができました。
これまでは、抑えたり否定していたのに他ならないのだな、とわかってきました。
【集中しているからこそ、いろいろ意識に表れる】
音楽の練習のや演奏をするときは、少なくともわたしにとってはそれ以外の日常の多くの場面より、
集中力が上がり、物事の捉え方考え方がより研ぎ澄まされていくような面があります。
そういうときこそ、過去の嫌だったことや、
気になっていること、
あるいは特になんとも思えないちょっとしたことが
スーっと意識に上がってきたり思い出されたりしたとしても、
不思議どころか当然なんだな、と思えてきました。
なにか抑えてきたことだったり、
未消化なことだったり。
音楽の練習や演奏という、自分にとって大切で、自分の「普通」とマインドの状態が異なるときこそ、
そういったことを認識し、消化して先に進む良い機会なんですね。
幸いにも、音楽を演奏するということはすなわちなんらかのストーリー・メッセージまたは意味を語り共有すること=表現すること、
ですから、
怒りであれ不安であれ、
あるいは何とはないことや感謝の気持ちだったとしても、
それについて音・声でストーリーとして語る、表現することが
それを消化する素晴らしいチャンスなんだ、と気付きました。
もう、それらを「邪魔者」と思ってコントロールしておく負担を背負わなくてよいこと、
その代わりにストーリーとして表現し消化して、演と練習の材料・プラスにできること、
このことがわかって、とっても気持ちが爽やかになりました!
無理なんだよね、「関係ないことを考えない」ようにコントロールするなんて…。
全部自分の一部なんだから。
【嫌な感じのオッサンを、雷でこらしめる】
最近、実際にこんなことがありました。
なんとなくインターネットを眺めていたら、
ちょっと嫌な感じのオッサンの発言を目にしそうになりました。
SNSとの長い付き合いもあり、そういうのがチラッと視界に入ってきたら、
それ以上見ずに画面を閉じるという選択をすることをもうできるようにはなっていました。
だからそのときもそれ以上見ずに閉じたのですが、
そのあとホルンを練習し始めたときに、
ふとそのオッサンのことやそのオッサンの言ってそうなことが頭や心の中に現れてきたのです。
….ただインターネットで見ただけでも十分不愉快なのに、
練習の邪魔までしてくんのかよ、オッサン!!!
すごく嫌だったし、腹立たしい気持ちになりました。
前だったら、もうこの時点でその日の練習が台無しになっていたでしょう。
しかし、このときは「心に浮かんでくること」を練習と表現の材料にしプラスにできることを、
もう知っていました。
そこで、この思考や想いを、どう練習に使うか思案しました。
そこで思いついたのが、『オッサンをこらしめる』ことでした(笑)
その日は外で吹いていたのですが、天気が悪く雷が遠くでゴロゴロ鳴っていました。
そうやって目に映る景色、耳に聞こえてくる音、肌で感じる空気を全部、ストーリーに結びつけました。
できあがったストーリーは、
『雷がゴロゴロピッシャーンと鳴り、稲妻がバリバリと落ちてきてオッサンに直撃する!』
というものでした。
それを、「2オクターブの、フォルテの、音と音の移り変わりを鋭くしたGマイナーの音階」で表現しました。
….つまり、ただの音階練習なんです。
やってみると、普段より強めのパワーで吹くという技術的観点においてとても効果的な音階練習になりました。
そして、オッサンに関しては実にスッキリしました(笑)
オッサンがそうやって嫌なヤツだったおかげで怒りが湧き、
その怒りのおかげで普段はあまりやらないようなストーリーと、
そのストーリーにマッチした技術的練習を設定できた。
そしてその成果があった。
….オッサンにはむしろ感謝の気持ちを感じるほどでした。
出来事を受け止め、消化し、前に進むことができたのです。
それを可能にしたのが、「感じている・思っている・心に浮かんでいることを楽器で『語る』」というアクションでした。
【みんなもぜひ、 やってみて♪】
やり方はこうです。
①情報収集する
・きょう、いま、自分は何を感じているかな?
・きょう、いま、どんなことが思い浮かんだり心に表れてきているかな?
②ストーリーを作る
・それを表現するのにマッチしそうなストーリーを作ろう。
・簡単なもので構いません。たとえばアリさんがお菓子を見つけた!など。
③そのストーリーを語るためのフレーズを決める
・ストーリーにマッチしそうな曲でも、音階でも、ロングトーンでも構いません。
④やる
・そのストーリーにマッチしたフレーズをいざ演奏します。
・演奏するのに必要なものが、技術です。ここで気持ちー表現ー技術が結びつきます。
やってみて面白かったこと、楽しかったこと、変化したこと。
あるいは新たに浮かんできた質問があれば、ぜひメールくださいね♪ basilblog@bodychance.jp
Basil Kritzer
このブログの内容とは関係ないのですが。
自分は高校からホルンを吹き始めて3年目になります。
自分の悩みは唇が厚いことと歯並びが悪いということです。
自分は超高音位置タイプだと思うのですが高音がホルンでいうhiDまでしか出ません。
そこでyoutubeで高音の出し方について調べてみたらhttps://www.youtube.com/watch?v=w42rmgPnyNI
https://www.youtube.com/watch?v=ChsDhj-pzXs
これはホルンも同じことなのかが気になります。
自分は口笛でホルンのhiCまでが出ます。それ以上は出ません。
バジングはホルンでいうB♭の音しか出ません。
すごく気になります。
文章おかしかったらごめんなさい
りんたろうさん
唇が厚いということが不利になるという証拠は、まったく見つかっていないと思います。
むしろ、厚くても高音にまったく苦労しない人、薄くても苦労するひとがそれぞれたくさんいる。
ということは、厚いことそれ自体を気にする・心配する合理的な理由は無いとわたしは思いますよ。
歯並びも同様に、医学的に明らかに問題があるほど、どんどん悪化しているとか、あるいは唇の裏に歯が当たったり刺さったりして切れてしまうといったことでもなければ(これは、演奏時にはめる小さなマウスピースを作ってもらえれば解決するようです)、見た目上の「悪い歯並び」「不均整な歯並び」が演奏に悪影響を与えていると心配することもないと思います。
高音への取り組み方に関しては、よかったらこちらを参考にしてみてください。
http://basilkritzer.jp/archives/6886.html
Basil
リプライありがとうございます。
実際に唇の厚さは関係ないといわれると心がすっきりした感じがします。
自分はALEXANDER MAINS 7を使っているのですが
唇の厚い人は大きめのマウスピースを使う人が多いんですか?
バジルさんの知ってる唇の厚いホルン奏者を教えてほしいです。
動画に関してなのですが、バジルさんは動画みたいな口笛、バジングをすることできますか?
唇の厚い人でも小さいマウスピースが好きとか、しっくりくるというひとはいっぱいいますよ。
唇の厚さとマウスピースの大きさは、それほど相関しないんじゃないかな。
むしろ、求める音色や影響を受けている流派・奏法論と関係が強い気がします。
唇が厚いプレーヤー、有名なひとだとシュテファン・ドールとかフィル・マイヤースとか。新しいベルリンフィル主席のクーパーさんもけっこう厚いです。
口笛やバジングはぼくはあまり興味なくて、ほとんど練習したことありません。
ダグラス・エリオットさんという、トロンボーン奏者に教わった、アンブシュア筋トレ用の特殊なものだけです。
Basil