メールで質問をいただきました。
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姿勢やポジションをキープしようとすることが力みにつながることも
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【質問者】
歌と演技のレッスンを受けていて、声を出すと出した後に喉の違和感を覚えます。
違和感がある場所は、喉の奥から喉仏の少し下辺りまでです。
これは、喉を使い過ぎているからか、締め過ぎという事なのでしょうか。
また、頭を動かしてあげて、体全体を動かせるようにしてあげて(詳細はこちら)声を出していくと、次第に力んでしまいます。
レッスンの先生は、胸が固くなってると指摘されますが、骨盤底と腹筋を意識して声を出していっても、最終的に全身に力が入ってしまいます。
これらの改善、というと違うかもしれませんが、どのようなアプローチ、考え方をすれば、楽に声を出せるようになるのか、ご指摘お願い致します。
【バジル】
このたびはご質問ありがとうございます。
頭と身体全体のことをしながら声を出すと次第に力んでいくとのことですが、
→これは最初はいい感じだけれど後から力んでくるということでしょうか?
→それとも、頭と身体全体のことをしながら声を出すと、そうしないときより余計に最初から力むということでしょうか?
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→それとも、頭と身体全体のことをやってもやらなくてもどちらにせよ最初はいい感じだけれど次第に力むということでしょうか?
また、「全身に力が入る」とのことですが、これはご自身がそう実感しておられるということですか?
【質問者】
どちらかというと、出す瞬間はいい感じですが、あとから力んでくる感じです。
私自身が全身の緊張を感じます。
【バジル】
ということは、声を出すその出し方そのもの中に、時間とともにどうしても力みが蓄積するようなやり方が混ざっていることを意味しますね。
声を出すときに、どんなことを心がけたり意識したり気をつけたりしていますか?
【質問者】
声を出すときに、できるだけ骨盤底と腹筋を使って圧をかけようとしていますが、それと同時に
・顎を下げよう
・頭が前に行き過ぎた、戻そう
・頭が上に引っ張られるように
・喉を楽にしてあげよう
とか、よくよく考えたら毎回いろんな事を意識していました。
できるだけ、創造的・表現的に歌いたい、演じたいって思って、そう意識しようとしていたんですが、気が付いたらいつも体の感覚にフォーカスする自分がいました……
【バジル】
なるほど。
自分の創造性を表現するのを可能にするのは技術ですから、技術的なことを考えながら発声に取り組むことはなんら問題ではありません。
肝心なのは、その中身です。
どんなことをどんな考えに基づいてやろうとしているか。その結果、どんなことが起きているか。
この場合、どうも
・頭や顎を特定のポジションや範囲に厳しくキープしようと過ぎている
・頭や顎の「あるべき状態・ポジション」として想定しているものが身体にとって負担になっている
のどちらか、もしくは両方が喉の疲れに関係しているのかもしれません。
試しに、
「頭や顎の位置は、わたしが声を出したいように出すのを手伝ってくれるために自由に好きにしてあげる」
というような意識で発声してみると、どうなるでしょうか?
【質問者】
ご指摘ありがとうございます。
試してみました。声を出している間も、前より出しやすかったし、出した後の喉の状態も、いくぶん負担が軽くなりました!(今日レッスンがあったので、喉の負担が少し残っていたので)
頭と顎のあるべき状態、ポジションとして想定しているものが身体にとって負担になっているとありましたが、ポジションを限定しようとするよりも、やはり自由にしてあげた方が身体にとって良いのでしょうか。
また、他の部分(例えば、腕や脊椎や胸であったり)でも、同じ事がいえるでしょうか。
【バジル】
>>頭と顎のあるべき状態、ポジションとして想定しているものが身体にとって負担になっているとありましたが、ポジションを限定しようとするよりも、やはり自由にしてあげた方が身体にとって良いのでしょうか。
限定する場合は、明確な意図とか根拠とかよい結果とかがあってのことになります。
限定してもそれが原因で不健康になってしまうのだとしたら、限定のやり方や理由付けがマイナスに働いく結果を生んでいるわけですから。
・限定する理由
・どう限定するかというやり方の意図
・実際どう限定しているかという結果
それぞれを見ていく必要がありますね。
>>また、他の部分(例えば、腕や脊椎や胸であったり)でも、同じ事がいえるでしょうか。
はい、そう言えます。
技術的に考えるのは、そう考えることで何か手応えや良い結果(ちょっとしたことでもいい)が得られるから行うものです。
悪い結果や不健康に結びついて苦しい思いをしているなら、その技術的な思考やイメージはやめたり変えたりしたいですよね。
いかがですか?
【質問者】
だいぶん腑に落ちてきました。
また、色々技術的に考えて、試していきたいとも思えました。
自分の身体と向き合って、対話して。
身体にとっても、自分自身にとっても良いイメージややり方を選んでいきたいです。
精神的にも随分楽になりました!
思考も身体も窮屈にしてたなーと。また、前向きに音楽も演技もやっていけそうです。
ようやく突破口がみえてきて、希望が持てました。