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これから音大生になる C さんより、質問をいただきました。
あくまでわたしの経験と主観によるものですが、講師業でやっていくことに関して、考えを伝えてみました。
【cさん】
今年の春から音大生になります。フルート専攻です。
講師のバイトをしたいなと思っていたのですが、現役音大生の枠はほとんどない(?)のと、募集が少ないと感じて悩んでいた所この記事にたどり着きました。
この記事「音大生のみなさん、教えることをやってみよう!」を読んで、勇気と自信をもらいました!
そこで質問ですが、現役音大生(しかも一年生)の時点でレッスン料はいくらがよいでしょうか?
私の考えは、楽器を持ってない人に楽器を貸し出してお試しレッスンor体験レッスン30分500円。それと吹奏楽部員や初心者などの個人レッスン(1レッスン)40分700円。を考えているのですが、どうでしょうか。
またレッスンの宣伝は母校の吹奏楽部から宣伝していこうと思っています。
【バジル】
それは安すぎます!!!
だって、専門技能ですよ?その値段だと、地域によってはアルバイトの最低賃金以下です。
まずは最低賃金の倍を最低と思って差し支えないでしょう。
講師業を本業にして自立自活し家族を養っていこうとするぐらいのつもりならば、最終的には1レッスン1万円くらいにもっていける必要があります。
学生時は 1レッスン45分¥3000 から始めて、卒業したら ¥5000, 指導の勉強したり付加価値をつけて30歳くらいのときに1万円を目指すとよいと思います。
ちゃんとした値段をつけないと、結局生活できません。
指導で生活していないと、指導のプロとしての能力が伸びません。
指導者の能力が伸びないと、結局、演奏の世界の裾野のレベルが上がりません。
お金をちゃんといただくのは、そういう重要性があるのです。
【cさん】
お返事ありがとうございます!
音大生といえども、今後のこと将来のことを考えると、先生の言っていることは正しいとわかりました。それと同時にそのお金に対する内容のレッスンをしなければならない責任がありますね。
音楽的な事や表現に関してはまだまだ勉強足らずですが、基礎的な事や、楽器の事なら、教える自信はあるのでレッスンは一年生から自主的に始めたいと思っております。
上手く生徒を集めるアドバイスや注意することなどありましたら、是非教えて頂きたいです。
【バジル】
いただくお金は、レッスンの対価ではない、ということも大切です。
レッスン料は、レッスンの時間や中身に対して支払うものではなく、レッスンをしてくれる存在がこれからも存在し続けてくれるように支払うものと考えたほうがよいと思います。
商品の対価でなく、ある意味お布施や寄付に近いものだと思います。
ですから、レッスン料金を決める基準は実はその質や時間や量ではなく、レッスンを提供するあなたがレッスンを提供し続けることができるようにするために必要なお金をいただくということなのです。
レッスンの質は、「あなたのような先生がこれからも存在してほしい」と思ってくれるひとが増えるために高める、と考えることをお勧めします。
というのも、あまりレッスンの中身としての対価であるとか、責任を考え始めると、がんじがらめになるし、人間性に問題のある生徒はそこにつけこんできます。
そういう関係性にならないためにも、「まともな生活をするためにはこれくらいいただきます」という、あなた自身にとっての基準をはっきり決めておくとよいでしょう。それがあなた自身をしっかりさせてくれるし、ひいてはレッスンの質を高めることになると思います。
生徒さんに集まってもらうためには
・あなたがどんな人で(あなたと価値観が合うひとが集まる)
・どんなことを助けてもらえて(あなたに習うことでどんな望みが実現できたり悩みが解決するか)
・どこでレッスンしていて(そのひとにとって通える状況であること)
・いくらでレッスンしているか(そのひとが楽器のレッスンにどれぐらいお金を使う気持ちがあるか)
ことを知ってもらうことが大切です。
なので、
・チラシ
・ウェブサイト
・名刺
などを工夫して作り、Facebook や ツイッターなども活用して、あなたがどんなひとで、どんなことを助けることができるかを日々発信しましょう。
あなた自身の音楽への取り組み、音楽や練習に関して気づいたこと、新しく発見したことを書いて発信しましょう。あなたに習った生徒さんに体験談を書いてもらって、あなたのレッスンがどんなものなのかを他のひとに知ってもらいましょう。
出版社にそういった記事を送ってみて、雑誌などで掲載してもらえないか働きかけてみましょう。
吹奏楽部の先生方や、お子さんに音楽を習わせたい親御さんたち、楽器を習いたい大人の方々などが集まる場を見つけて、自己紹介をなんらかの形でできるといいですね。
知ってもらうことがいちばんです。
【Cさん】
目からウロコです!
なるほど。
わからない事だらけでしたので、アドバイスを頂けてとても良かったです。
先生から教えてもらったことを軸に早速作戦を立ててみたいと思います。
詳しく教えてくださりありがとうございます!自分からどんどん活動の場を広げていきたいと思います!!
ありがとうございました。
【バジル】
力になれたようで、よかったです。やり取りをブログに紹介させていただきたいのですが、いかがでしょうか?多くの音大生に役立つやり取りだと思うので…
音楽家のひとはなかなか勉強しないけれど、実は講師業やフリーランス業、あるいは教室業、またはアンサンブルやソリストとしてのプロモーションをしていくことには、「ダイレクトレスポンス・マーケティング」というものの勉強がすごく役立つと思います。
これはお金を儲ける方法というよりは、お客さんによく自分のことを知ってもらう方法だというのが本質だと思います。ぜひ読んでみてください (^^)
【cさん】
はい!是非是非。
お役に立ててこちらも良かったです。
ありがとうございます、勉強になります。
参考にさせて頂きますm(__)m
バジル先生
はじめまして!
HPやブログ、いつも興味深く読ませていただいてます。
私は楽器の指導と自分の演奏活動、マネージメントをしている者です。
毎日いろいろな形で音楽に関わりながら生活しています。
「いただくお金は、レッスンの対価ではない」という言葉を読んで
しばらく考えこんでしまいました。
何故なら、これまで自分のレッスン料を設定する際に、
必ず頭を過ったのが レッスンを受ける側の
費用対効果はどのくらいになるのか??だからです。
バジル先生が
レッスンの質は、「あなたのような先生がこれからも存在してほしい」と
思ってくれるひとが増えるために高める、と考えることをお勧めします。
と言い切ってらしたのを読んで、少し(いや、かなり!!)楽になりました。
でもこう考える指導者はまだまだ少ないかもしれませんね。
わたしのところにレッスンにくる生徒は、
他の教室で何か不満があったり、トラブルがあって
知人の紹介により来ている人が大半です。
(そういう人ほど、他人への要望が膨らんでいくことも知りました)
ですので このバジル先生の言葉は
これからも励みになることと思います。
音大生や音大卒業後数年の卵さんとは違いますし
現在も勉強を続け、自分の師匠にはそれなりのレッスン料を払い、
レッスン環境の充実度、自分の生徒になることによっての付加価値、
そして何よりも、音楽に携わる者ならではの世界観があると
確信しています。。
でもレッスン料設定となると、なぜこんなに
躊躇してしまうのかきちんと考えてみたいと思います。
ありがとうございました!!
感謝を込めてメッセージお送りさせていただきます。
SHIROSAN
コメント頂いて、励みになりました。
ありがとうございます。
デフレは、結局だれのためにもならないことはずーっと昔から知られているんですよね。
レッスン業やカウンセリング業は、サービス提供者側がとても心優しいひとが多いので、
ついつい安くしようとばっかりしてしまいがちです。
でもそれで提供者側がやっていけなくなったら元も子もありませんよね (>_<)