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本番当日の朝、わたしは目がさめると、なぜか毎回「曇り」です。
でも、家を出ると快晴だったりします?
…緊張のあまり、世界がグレーに見えるのです。コレ、ほんと。
本番直前の舞台袖。
緊張しますね。
わたしはこのタイミングで怖くて怖くて泣きそうになったこと、本気で逃げ出そうとしたことが何回もあります。
でも、いつかはちゃんと舞台に歩み出さなければなりません。
強い緊張と恐怖を、味方につけるエクササイズを使って。
以下は、ワシントン州立大学演劇学部首席教員のキャシー・マデン氏が考案した、「本番にエネルギーを花開かせるためのエクササイズ」です。
1:感じていることを全て口に出す
本番の日、朝起きたらきっと色んな気持ちや感覚が沸き上がるでしょう。身体が重く感じたり、不安を覚えたり、あるいは楽しみでどうしようもないくらいかもしれません。身体で感じることも、心で感じることも、全て声に出して言い続けます。こうすることで、自分の現在地・現在状況とより接点を持てます。これは家でも楽屋でもリハーサル室でも、本番舞台袖や本番中の休みの小節の間でもやってみるといいでしょう。
2:空間を感じ、感覚を活性化する
本番の演奏会場に着いたら、ホールの舞台や客席などを歩き回ってみてください。天井や舞台の後ろなど、あらゆる方向や場所を眺めます。そうやって、まず視覚的に空間感覚的に、演奏する空間全体を自分の内側に取り込んでいきます。次に、その会場のを音で感じて行きましょう。ゲネプロ開始前だと、何人かの共演者がウォームアップしているかもしれません。話し声が聴こえたりするでしょう。それらの様々な音が、演奏空間にどのように響いているか、感じとっていきます。そういったことをしながら、演奏空間を触覚的にも感じましょう。まず、会場の温度はどうなっていますか?場所によって温度や空気の感じが異なっているかもしれません。また空気が流れているのが肌で感じられることもあります。床の堅さや材質を手や足で触れたりコツコツ叩いて感じることもできます。そうやって自分の内側と外側への感覚的な気付きに意識を向けて行きます。
3:「〜が好きだ」と声に出す
1や2をやってだんだん落ち着いて来たら、こんどは本番に向けてエネルギーを高める番です。そこで、「〜が好き」と声に出します。「〜」は何でも構いません。好きな食べ物、動物、趣味、場所、季節など思いつくままに「〜が好き」と声に出してみましょう。その好きなものや好きなものと一緒にいるところを想像しながら。好きなことを考えることで、そもそも演奏をやっている根源的なモチベーションを思い出しやすくなります。義務感や恐怖感というのは、確かに強いエネルギーで使い勝手がいいですが、嫌になって疲れるという良くない副作用があり長続きしません。言うなれば石炭を燃やして燃料にしているようなものです。対して、「好き」「やりたい」という意欲・望みはとてもクリーンで実は巨大なエネルギーなのです。言うなれば太陽エネルギーです。ただし、手っ取り早くはありません。このエクササイズは太陽エネルギーを使えるようにしていくものだとも言って良いでしょう。
以上、1〜3をそれぞれ2分程だけでもできますし、1時間づつかけることもできます。
何回でも好きなだけ繰り返すといいでしょう。
また、かなり先の本番でも、もうすでに怖さを感じているなら、毎日ちょっとづつでもこのエクササイズを繰り返すと、さらに効果的です。
いざ、本番のステージに立ったら、あとはやることはただ一つ。音楽です。
Basil Kritzer
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昔、学生の頃、吹奏楽部で演奏をしてた時に、知って居たなら、
きっと、もっと楽しく、演奏出来たなぁと思いました。
とっても素敵な内容と、受け止めやすい文章で、
素晴らしいなぁと、思いました。
中学校で、吹奏楽部に入部して、トロンボーンを吹いている、
息子にも、読ませてあげたいなぁと、思っています。
帯広図書館で、『ココロとカラダの相談室』という本を見付け、
面白そうと思って、楽しく読んで居たら、
ブログの案内があり、それで拝読させて貰いました。
アレクサンダー・テクニークを、知り生かして演奏出来る方は、幸せだと思います。
素敵な教えを、有難う御座います。
心から、感謝します。
(*⌒人⌒*)
真紀さま
とても励みになるコメント、本当にありがとうございます。
わたしも中学校の吹奏楽部からホルンを始めました。
息子さんの役に立つことが少しでもあれば嬉しいです。
Basil