ニューヨーク・フィルのホルン奏者が語る、アレクサンダーテクニーク。

2009年秋、ニューヨークフィル2番ホルン奏者でアレクサンダーテクニーク教師ののアレン・スパンジャー氏と連絡をとり、オケの来日に合わせて実際にお会いしました。

新宿ドルチェ楽器
でミニレッスン会を企画し、私を含めて6名のプロ金管プレイヤーがレッスン受講のために集まり、私が通訳を担当しました。

素晴らしい講習会になりました。

スパンジャー氏は、ニューヨークフィルという世界屈指のオーケストラの団員を長く努めている素晴らしいプレーヤーで、しかもアレクサンダー教師という、貴重な存在です。
いまでも頻繁に連絡を取っており、私のアレクサンダーテクニークに関する質問や、
ホルン演奏への応用のアイデアを練る相談にいつも乗ってくれます。

そんなスパンジャー氏から、素敵な体験談を頂きましたので、本人の許可のもと翻訳し、掲載します。

私はジュリアード音楽院に入学して間もなく、19歳のときにアレクサンダー・テクニークの勉強を始めました。それから音楽院を卒業するまでの数年間、毎年何ヶ月づつかアレクサンダー・テクニークを学びました。

その頃は、なぜかは分からなかったのですが、少なくとも自分のホルン演奏の技術が向上し続けていた事実からとても恩恵のあるものだということははっきりしていました。

アレクサンダーのレッスンが、私のホルン演奏技術の大事な一部になっていたと言えます。

私が初めて習ったアレクサンダー教師は、バーバラ・ケントという歌手/声楽教師/アレクサンダー教師で、呼吸について多くの知識を持っており、それが私のホルン演奏に直接役立ちました。

ジュリアードでの学びを終えて数年後、ACAT(アメリカ・アレクサンダーテクニーク・センター)管轄のニューヨークで行われている教師養成プログラムに入学しました。そして、まさにそのときが私のホルンの腕が伸びた時期でもあります。

教師養成プログラムでどっぷりアレクサンダーテクニークに浸った時期と、その前のプライベートでアレクサンダーテクニークのレッスンを受けに行っていた期間が、本当の意味で私が「ホルンの吹き方」を学んでいた時期です。

私は周りによくアレクサンダーテクニークが私の人生になったと言っています。もちろん、アレクサンダーテクニークを知らない人にそう言っても理解されないのは分かっているうえで。

私は、アレクサンダーテクニークが私のホルン演奏能力と、ホルンのキャリアを与えてくれたと確信しています。疑問の余地がありません。アレクサンダーテクニークを教える際、音楽を学ぶ人に対して、アレクサンダーテクニークは具体的には姿勢/呼吸そして注意力を向上させることができると説明しています。

アレクサンダーテクニークから私が学んだ事を、今度は私が伝えようとしているのは事実ですが、実は「自分自身への気付きの力」の向上こそが楽器の習得の最大の要素であり、 これを実現するのにアレクサンダーテクニークに優るものはありません。

例えば疲労、肩凝り、顎関節症などの楽器演奏にまつわる問題や、ツアー中にいろんなタイプのイスに腰痛にならないよううまく適応する必要性のためにもアレクサンダーテクニークは間違いなく助けになります。私自身にとっては、アレクサンダーの勉強のおかげでまったく苦になりません。

アレクサンダーテクニークの教師養成トレーニングに通っていた間、気持ちとしては「演奏家になれなくても、アレクサンダー教師にとしてレッスンをやっていける」と考えていました。

それが結果的に、アレクサンダー教師になるための勉強をたくさんしたおかげで
ホルンの演奏能力が向上し、どちらもできるようになったのです。いまは音楽家としてのキャリアが成功しており、そしてアレクサンダー教師としても活動しています。

私が身を以て証明しているように、アレクサンダーテクニークは楽器や歌唱のマスターを目指す全ての人の助けになるでしょう。

ニューヨーク・フィルハーモニック2番ホルン奏者
ニューヨーク・マンハッタン音楽学校講師
アレン・スパンジャー

2011年4月5日記す

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