アマチュア吹奏楽団でトロンボーンを演奏されている方からメールで質問を頂きました。
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【質問者】
悩んでいることがあります。
それは「音の立ち上がり」についてです。
これは私個人だけでなく、現在所属している一般バンドのトロンボーンパートとして抱えている課題です。
私の印象としては、息のスピードが全体的に遅いと感じています。また、息が音になる瞬間の息のスピード・密度は不足していて、徐々にそれらが高まることで、音そのものは後押しになってしまっています。
合奏の際に指摘されたこともありますし、練習や本番の録音を聴いてもそう思います。本当に欲しい息が後ろにずれ込んだ結果、音がモワモワし、他の楽器と揃って聞こえない…という分析です。
この課題をパートとしてなんとかしたいのですが、「息のスピードを最初から早く」という意識や指摘だけでは漠然としていて解決に繋がらない気がします。
大変恐れ入りますが、ご助言をいただけると幸いです。
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【バジル】
音の立ち上がりが不明瞭、
音の立ち上がりがちょっと遅い、
ちょっと後押し、
という感じですね?
パートのメンバーそれぞれがいずれもそうなら、可能性としては、みんな合わせることを気にし過ぎているのかなあ、と想像しまさした。
あるいは、
飛び出さないように、
悪目立ちしないように、
アタックがキツくならないように、
みたいなことを考えているとか。
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【質問者】
お忙しい中お返事をいただき、大変感謝しております。
音の立ち上がりが不明瞭
音の立ち上がりがちょっと遅い
ちょっと後押し
どれも当てはまります。
みんな合わせることを気にし過ぎているというご指摘ですが、これはその通りだと思います。
合わせることを「気にし過ぎる」ことで、このような弊害が起こっていることは気づかなかったですし、合奏の中で「合わせる」ということは大切だと考えているため、この部分をどのように解釈していけば良いのか知りたいです。
また、後述の3点の中で特に悪目立ちしないように
というのは、思い当たる節があります。
以前指揮者から「今のトロンボーンパートは協調性は高いけれど『私が私が🙋🏻♀️』って人はいないよね」と言われたことがあります。
これも関係があるのでしょうか。
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【バジル】
合奏は、「お互いに合わせる」のは本来、かなり表層の部分です。
ちょっとした音程のこととか、リズムの感じ方、発音のニュアンスとかの妥協とかすり合わせですね。
本筋がどこにあるかというと、合奏はアンサンブルであり、「ずれない」「合わせる」のがやっていることなのではなく、
メンバーが音楽のコンセプトを共有していてそれを一人一人が実行しているから「合う」のです。
コンセプトに基づいたものをお互いに持ち寄り、それを「組み合わせ」ることで全体の音楽が生み出され立ち上がっていくわけです。
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【質問者】
これまでの先生とのやり取りを振り返ってみると
いかに自分が表面的な部分に気を取られ過ぎているかがよくわかります。
自分自身がこの音楽とどう向き合いどう考え、思い、表現するかが最も重要なことであり技術はそのために備えておくもの…という、今の私の感覚です。
自分自身、なかなか思い描いているような音楽に辿り着けずそれを一概に「技術が足りないから」ということだけで片づけているのかな、だから表面的な部分に気を取られ過ぎているのかな、それって逆に甘えなんじゃないかな、と考えてみたりしました。
パートの話に戻りますと、
音楽をどう作り上げたいかという部分においては、かなり希薄…というより楽器を演奏する時に、各々がどこまで考えながら吹いているか?
という印象があります。つまりは、音楽面でのコミュニケーション不足なんだと思います。
(普段は仲良しだと、私は思っていますが。笑)
年齢も境遇も様々なので、組み合わせることは大変だと思いますしでもそれこそが面白みであり、音楽の醍醐味でもあることを改めて感じたところですので、意識してやっていきたいです。
貴重なお時間・お話をいつも本当にありがとうございます。