最近、留学を目指す若いホルンの学生さんから、
「ヨーロッパならどこで勉強するといいですか?」
と尋ねられました。
「ドイツなら?」
と尋ねられることは多いのですが、
「ヨーロッパなら」
って訊かれたのは初めてかな?
しばらく考えてパッと頭に浮かんだのが、
『スイスのチューリッヒ芸大』です。
そこで教えているホルンの先生は、
まず言わずと知れた大スター
ラトヴァン・ブラトコビッチ氏
チューリッヒ歌劇場首席でナチュラルホルンとバロックホルンの専門家
グレン・ボーリング氏
そしてチューリッヒ・トーンハレ3番奏者の
ナイジェル・ダウニング教授
です。
どうやら3人ともから頻繁にレッスンを受けられるようですが、
最後に記したナイジェル・ダウニング氏がホルンの教師として非常に優れた人なのです。
ぼくがドイツにいたころ、ナイジェル・ダウニング氏に師事しチューリッヒ交響楽団で副首席ホルン奏者だった、現在はアレクサンダーテクニーク教師として活躍しているウルフリード・トゥーレ氏に3年間に亘り月1回ほどレッスンを受けました。このトゥーレ氏がぼくにとって本当に素晴らしい先生だったのですが、彼と話をしていて、ナイジェル・ダウニング氏のことを何回か聞きました。「ホルン奏者」が「ホルン演奏を教える」ことにかけては、ずば抜けて能力が優れているようです。とにかく、生徒が自分の頭で考えられるようにできる。放任ではなく、「自分で自分を教える方法」を教えられる先生なのです。
結局、ドイツにいる間にはレッスンを受けられずじまいだったのですが、ずーっと頭には残っていました。そこでつい最近、レッスンを受ける機会を模索して来日する予定を尋ねたり、スカイプでのレッスンを検討したりと、メールでやりとりを始めました。どうやら色々実現できそうです。
なかでも、ダウニング氏の書いた教則本。
http://www.hornplaying.ch/ ←こちらのサイトが彼のもので、そこに教則本がPDF化されています。
ただし英語とドイツ語のみ。
これがまた簡潔かつ素晴らしい出来です。
この教則本 “Singing on the wind “を翻訳させてもらえそうです。
出版までつながるかは分かりませんが、少なくとも彼のサイトにリンクしたり、あるいはこのブログで公開できるでしょう。
後日談:翻訳が終わり、無料ダウンロードの「練習の黄金法則」から読むことができます。
様々な仕事の合間にこなしていく事になるので、完成には時間がかかりますが、できれば来年中には仕上げたいですね!
チューリッヒのホルンクラスには日本人の学生もいるとのこと。
素晴らしい環境で学んでいるのは、一体どなたなのか分からないですが、留学体験談を聞きたくて仕方がないです。
これからホルンを学びに留学を検討しているみなさん。
「ホルンがうまくなる」「ホルン奏者/音楽家として成長する」ことが最大の目的でしたら、チューリッヒ芸大をおススメします。
ヨーロッパのオケに入る事が目的となると、何かと人脈やスタイルなどの細かいところがややこしく、「成長」すると必ずしもイコールではない部分がありますから、「教師として優秀」な人より「オーディションに受からせるのがうまい」人に習うのが重要なポイントとなるんじゃないかな、と思います。
このあたりはよく考えないといけませんね。
ダウニング氏とのレッスン、まずはやるとしたらスカイプで。
実現したら、またレポートします (^_^)/
後日談:2011年11月、ダウニング氏のマスタークラスが東京藝術大学で実現し、通訳しました。