音大受験に向けて練習に励む高校生ホルン吹きから、質問のメール相談をいただきました。以下、そのやりとりです。
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【質問者】
私は、ハイトーンに対して苦手意識があります。
ホルンのレッスンで毎回ハイトーンの練習をするのですが、その時に先生によく言われるのは、
「唇を中心に寄せて」
「息をマウスピースに対して下向きに入れて」
というようなことです。
ですが、言われることをそのままやろうとすると余計に高い音が出なくなるのです。ここまで1年と少しの間レッスンを受けているのですが、ずっと私の中で腑に落ちないままここまで来ています。
最近になって、どうして上手くいかないのかを考えてみました。
当たっているのかは分かりませんが、以下は私の仮定です↓
・唇を中心に寄せるということは、口をすぼめる動作に近くなる。ということはやり方を間違えるとアパチュアが広がってしまい、高い音が出づらくなるのかもしれない。
・もしかしたら、中心に寄せる=口をすぼめると必然的に口がプレスされるから、高い音が出やすくなる、という意味でおっしゃったのかもしれない(違うかもしれませんが)
・息を下向きに入れるということは下唇が引き気味になり、上の口輪筋の仕事が増えるということ。高音は上唇の振動が不可欠ということ?
という感じです。しっかりとした結論はまだ全く出ていないのですが…
唇を中心に寄せることや息を下向きに入れるということに対して、バジル先生はどのように思われますか?もしよろしければお聞きしてみたいです。
ちなみに、自分で調べた感じだと私のアンブシュアは超高位置タイプです。高音の時はマウスピースが左上に、低音は右下に動きます。
お忙しいところすみませんが、お時間ある時にまたお返事いただけると幸いです。
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【バジル】
>>唇を中心に寄せるということは、口をすぼめる動作に近くなる。ということはやり方を間違えるとアパチュアが広がってしまい、高い音が出づらくなるのかもしれない。
↑
はい、すぼめるという意識が高音を出しにくくさせるときは、そのように作用しているのだと思います。
>>もしかしたら、中心に寄せる=口をすぼめると必然的に口がプレスされるから、高い音が出やすくなる、という意味でおっしゃったのかもしれない(違うかもしれませんが)
↑
プレスする力をかけやすくなる、プレスする力をかけても大丈夫になる、という機能を指して『すぼめる』ことを促す金管のメソッドは実際にいくつかあります。
>>息を下向きに入れるということは下唇が引き気味になり、上の口輪筋の仕事が増えるということ。高音は上唇の振動が不可欠ということ?
↑
超高位置タイプおよび中高位置タイプであるなら、すなわち息の向きは下向きです。
下向きを意識するのは、超高位置アンブシュアタイプまたは中高位置アンブシュアタイプの吹き方をする・安定させる・低位置にならないようにする効果はあるようです。
それがどのような力学かは詳しくは分かりませんが、マウスピースの中のアパチュアの向きが上下ひっくり返らないようにすることにつながり、唇の振動のメインが上唇から下唇に入れ替わらないようにしているのだと思います。
それが必要なのは、息の向きが入れ替わる傾向のある人、ぶれそうになる人、ということは考えられそうです。
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【質問者】
そうだったのですね!今日の練習で意識して吹いてみたいと思います。
昨日メールを送らせていただいたあとに思い出したのですが、私は高音になってくると口を横に引く癖があります。
もしかしたら先生の考えとしては、口を横に引くとアパチュアが潰れてしまい音も薄くなってしまうから、なるべく潰さないようにという意図だったのかもしれない、と私の中では思いました。
高音で口を横に引っ張るというのは、音質などのことを考えるとやはり良くないことなのでしょうか。
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【バジル】
たしか、プロの奏者の方が横に引く筋肉は強く使っている、という研究があった気がします。筋電図で測ったかなにかだと思います。
ですから、客観的事実としては、横に引いてはいけない、というのは成り立たないものだと思います。
・横に引いてるけど、そう見えない
・横に引いてないけど、そう見える
という事例もあると思います。
横に引かないことを意識する価値があるのは次のようなときでしょう。
↓
☑横に引かない、という意識をすると吹きやすくなる
☑横に引かない、という意識をすると音が良くなる
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【質問者】
確かにそういうこともあったのかもしれないなと振り返ってみて思いました。
私の場合は多分横に引く方が合っているような感覚があります。もしかしたら実際には横に引いているわけではなく、ただ引いているように見えているだけなのかもしれませんが…
受験も控えていますし、変にアンブシュアをいじるわけにもいかないので、自分に合ったハイトーンの吹き方を探して練習していきたいと思います。
相談させていただいたことでとても気が楽になりました。
本当にありがとうございました。
これからも頑張っていきます!
了
BasilKritzer
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