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きょうはアマチュアのユーフォ吹き男性的とレッスン。
ユーフォ得意の音符の多い上下動の多いフレーズに最初は苦戦。
でも音がうまく当たらない・並ばないのが決まって倍音の変わるのと管の長さを変える度合いが多いのが重なるところ。
つまりは、潜在リップスラーの箇所でリップスラースキルを行使していなかった。
そこでそういう箇所で「音を上げるぞ!下げるぞ!と念じよう」と提案。
期待通り、リップスラースキルが発動してすぐ良くなった。
次に、フレーズ中の最大音度差のところだけちょっとまだ当たらないので取り出してその2音をリップスラーしてみてもらったら、うまくいかない。
そのうまくいかなさ加減には、
◎一音目をあまり鳴らしていない
◎発音が「当てるだけ」なアプローチ
◎二音目に入るにかけて、音量や響きを減らしている
という性質が見受けられる。
そこで、「一音目も二音目も最高の音で鳴らそう・奏でよう」ということに取り組んだら、どんどん良くなっていった。
次に、『全部の音を、最高の響き・音で吹こう』という《方針》を立てる。その方針に則ってまずはフレーズを方針を意識できるスピードで練習。
それができてすぐ、ほぼインテンポで吹いてみてもらったら、一発でかなり完成に近づいた。
これは、金管楽器は物理的性質として、
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『単音が豊かに響いている』
↓
・次の音が鳴らしやすい=速く吹きやすい、当たりやすい、跳躍しやすい
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という面がかなり色濃いからだ。
これは心がけとしての「一音一音ていねいに」とか「ゆっくりからだんだん」などという中身のない話ではぜんぜんなくて、自分の奏でる楽器の仕組み・物理特性に合致した練習の仕方が、そうでない練習の仕方より圧倒的に効率的で生産的であるということだ。
この《方針》は「目標」ではない。
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《方針》
→やること。やるか、やらないかの話。
「目標」
→達成したいこと。できるか、できないかの話。
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『全部の音を、最高の響き・音で吹こう』というのは方針であるから、一音一音に対して、できてる・できてないをチェックしたり評価を下そうとするものではない。そんなことは生徒に対してやればパワハラ、自分にやればガチガチになるだけだ。
やろうとすることとして、意図することとして、『全部の音を、最高の響き・音で吹こう』だ。
そういう意識、意図でやっているかどうか。重ねて言うが、これは金管楽器の物理的性質をふまえたもので、精神論や心がけではない。
その方針を立てたことで、逆に潜在的なそれまでの《方針》が何であったかも明らかになった。それは、「音を外さない」「音を並べる」「音程正しく」「変な音にならないように」というたぐいのものだった。
それに気がついた生徒さんは、『スッキリしました!』と晴れやかな表情で帰っていかれました。
BasilKritzer