【正確性】

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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら






【正確性】

誰もが知る通り、正確性を練習を通じて得ることができるものです。

いちばんよくあるやり方は、譜面に書いてある音を読んだ時に、その高さの音を出すのに必要なアンブシュアの形を自動的に作れるように、「筋肉記憶」を訓練することです。

このやり方は、音を演奏する前にその音を心の中で聴く、あるいは歌うことで耳に聴こえる音の高さとアンブシュアの関係を訓練していくことで促進できます。


このやり方は、音の高さに応じたアンブシュアの形の本能的、潜在意識的な記憶を訓練するものです。

繰り返しを通じて、これは習慣的になっていきます。


ふつう、演奏時は、音を聴くことと筋肉記憶の組み合わせを使います。

正確性を高めるべく練習する際は、演奏する前に、これから演奏する音の高さを声で歌うようにすることも助けになります。音の高さをイメージし狙いを定めることと、それを実際に奏でることの関係を促進するからです。


他にできることとしては、特定の音ごとにアンブシュアがどんな感じがするかに注意を向けて、意識的に音の高さとアンブシュアの相関を学習するというアプローチです。

このやり方は、アンブシュアがどのように働いているかに関しての注意力を増してくれて、そうすることで音を音程を含め正確に当てる力を向上させてくれます。


アンブシュアを意識的に、ひとつひとつの音の高さに応じて形作ることは、観察を通じて行われるものです。できれば目を閉じて、ひとつひとつの音がアンブシュアにおいてどんな感覚かを観察し、この感覚を心の中でイメージとして定着させていきます。

このイメージは

・顎の位置
・アンブシュアのアパチュアの周りの唇の張り加減と形
・アンブシュアを取り囲む筋肉の支え方

から構成されます。

たとえば長3度音を上げると、顎の位置の変化と、それに対応するアンブシュアの変化を観察することができます。

その後もとの音に戻るときは、もとの顎の位置やアンブシュアの状態の感覚に戻るべきなのです。


異なる高さの音の間の関係を観察することで、その楽器で可能な音域全体におけるひとつひとつの音がアンブシュアにおいてどんな感じがするかを感じることができます。

次のようなエクササイズをやってみましょう。

a:たとえばチューニングBbのような、中音域の中から一音を演奏してそれがどんな感じがするか観察します。

b:その音を鳴らすのはやめますが、アンブシュアの形と感覚のイメージは保ちます。

c:その心の中のイメージに基づいて、また同じ音を演奏し、自分イメージの中の感覚と、実際に演奏しているときの感覚を比較します。ちがいがあれば、実際の感覚に応じて、イメージの中の感覚を修正します。

このエクササイズを繰り返して、イメージの中の感覚的記憶がより正確になっていく様子を観察しましょう。それとともに、楽器演奏の正確性も増していくのがわかるでしょう。


この過程はダーツのプレーをするひとのやっていることと似てきます。ダーツを持ち上げ、狙いを定め、投げるという一連の流れです。

ホルンでは、「ダーツを持ち上げる」ところは息を吸って、唇にマウスピースを当て、アンブシュアの基本的な形を作るところに相当します。

「狙いを定める」ところは、奏でたい音に対応したアンブシュアを、イメージの中の感覚の記憶を頼りに作るところです。

そして「投げる」ところが実際に音を出すところです。

演奏の感覚のイメージは、息を吸う間に作られます。

「狙う」ことは息を吸いそして音を出す流れの中に統合されるべきでしょう。発音のためらいと、それにより作られる可能性があるアンブシュアの不必要な緊張を避けるためです。


ウォームアップエクササイズ2を使って、次のようなことを試してみましょう。



a:集中力を最適化するため、目を閉じます。

b︎:このエクササイズをまずはレガートで演奏します。顎やアンブシュアの動きを観察しながら。

c:bで観察したことを基に、演奏の感覚のイメージを心の中に作って、そのイメージに沿ってエクササイズを頭の中で通します。

d:実際に音を出してエクササイズを演奏し、cでやったエクササイズの感覚イメージと、ここで実際に演奏したときの顎やアンブシュアの動きとを比較しましょう。

この同じエクササイズを、今度はアーティキュレーションをつけてやりましょう。

練習を重ねるにつれて、あなたが作る感覚イメージはもっと具体的になっていき、やがてウォームアップエクササイズをするときの当たり前のルーティーンの一部となるでしょう。


こういった感覚イメージ作りと、それに沿って奏でようとするテクニックを、あらかじめはっきりと音を心の耳で聴けないようなフレーズの出だしなどに使ってみましょう。あるいは、聴音・ソルフェージュのスキルをチェックするためにも使いましょう。

難しい出だしや、難しい跳躍・音程感の箇所を克服していくことに役立てましょう。

ひとつひとつの音を実際にどうやって生み出しているのかということへの気づきを増やすことの結果として全般的な正確性を大いに向上させていきつつも、

このような感覚イメージをいついかなるときも使おうとし続ける必要はありませんし、望ましいことでもありません。

自然で本能的な演奏を抑えてしまうからです。

しかしながら、必要なときに正確性を増すうえでは、有益な方法であることにはちがいありません。


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続く
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