息を吐くこと・息のサポート

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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら





【息を吐くこと】

日常の普通の呼吸において、息吸うことは能動的なものです。対して、息を吐くことは受動的です。息を吸ったあとの弛緩で、肺と胸壁の弾性、そして横隔膜の弛緩による腹腔内の内臓の上方向へ戻る力によって肺から息が押し出されるというものだからです。

しかしホルンを演奏するときは、息を吐くことは能動的なものになります。

ホルンの音は、息の流れがアンブシュアの形と張りと組み合わされて起きる唇の振動によって引き起こされる楽器の共鳴によって生み出されます。

アンブシュアが最適なやり方で働けるようにするためには、わたしたちは息の流れを効率的にコントロールできることが欠かせません。

アンブシュアを通過して流れる息の量とスピート、そしてアンブシュアによって作られる抵抗との間に繊細なバランスが生まれる必要があります。もし息の流れが強すぎれば、アンブシュアが息を抑えることになります。もし息の流れが弱すぎれば、今度はアンブシュアが息のサポートの欠如を補うためにもっと緊張しなければならなくなります。

もっとも澄んだ音質は、息の流れがアンブシュアの最適な働きを可能にしたときに得られるのです。



【息のサポート】

スコットランドのバグパイプを想像してください。バグパイプを演奏するには、タータンチェック柄のスカートを履いた奏者はバグパイプの袋を空気で満たす必要があります。

この作業中は、ひどい音がします。楽器が必要とする空気圧が得られていないからです。正しい空気圧になってはじめて、楽器のリードは安定した音を鳴らしてくれます。

そういうわけで、バグパイプの袋は空気で満たされ、リードを通過する空気の圧力は奏者が袋にかける圧力によってコントロールされているのです。

似たように、私たちも肺を空気で満たし、胴体下部の筋肉や肋骨の間の筋肉を使ってその空気圧を保ったり・減らしたり・増したりします。空気圧は腹筋を外側に押し出すことで安定されます。内側ではありません。この腹筋の外側への圧力が、胴体下部や肋骨の間の筋肉の内側への圧力をコントロールする助けになり、これが息を「サポート」します。

このような息のサポートを保つ簡単な方法は、やはりベルトを使うことです。お腹の下の方にベルトを巻きましょう。息を吸った時に、下腹部がベルトを押すのが感じられるくらいきつめにしておきます。でも、息を吸うことの邪魔になってはいけないので、加減を調整しましょう。

この下腹部とベルトの「接触」を保つことで、つまりベルトに対する腹筋からの圧力を保つことで、息のサポートを保ちます。(ベルトは、この動きのやり過ぎのよるヘルニアの危険を防いでくれるかもしれません)

「息のサポート」がどう働くかを観察するには、次のようなエクササイズをホルンなしで試してみましょう。


〜エクササイズ〜

・4拍間、口から息を吸い胸郭(肋骨)と腹筋を拡げます。

・2拍間そのまま保ちます。

・アンブシュアと似たような口の状態にして、そのアパチュアから息を吐きます。肋骨の拡がった感じを保ち、お腹のサポートを感じながら。

・バジングはせず、息が優しくアパチュアから流れ出るようにしてあげましょう。

・アパチュアの大きさを同じに保ちながら、息のスピート/圧力を増してください。

・そうすると、同じ形を保つためにアンブシュアの筋肉がもっと頑張ることがわかります。アンブシュアを急にリラックスさせると、息が急に出て行きます。緩める前まで、アンブシュアが抵抗を作っていた証拠です。


肺の中の空気が減ってくるにつれて、肺と胸郭は収縮します。しかし、腹筋による「サポート」はできる限り保たれるようにしましょう。

バグパイプとちがって、わたしたちホルン奏者はいろいろな音量や音程に応じて異なる空気圧を必要としています。(音程が高いほど、必要な空気圧は大きくなります。音量が大きいほど、息の量がより多く必要になります)

これは、胴体の筋肉によってコントロールされています。腹筋が安定性を供給するのです。.

バグパイプでもそうだったように、正しい空気圧は多すぎても少なすぎてもいけません。アンブシュアを安定して流れていく空気を可能にするようなものである必要があります。

このサポート、あるいはベルトとの「接触」は、音を出す一瞬前に確立されのが良いです。この瞬間を「フォーカスの瞬間」と呼びましょう。



【フォーカス】

プロのダーツ選手を観ていると、選手が

まずダーツ盤の前にポジション取りをし、


そのあと一旦脱力して

ダーツ盤を見、

注意を狙っているゾーンに集中させ、

集中力をその一点に集め

狙いをつけて

投げる


というふうにしているのが分かります。

選手の意識は、「いま・ここ」にあります。疑念のような内側からくるものも、外側から乱してくるようなものも、いまやるべきことを邪魔するいかなることも許しません。

ホルンでも同じように、わたしたちは

演奏する音程を「見て」

一旦リラックスし

その音程に集中し(「心の耳」でその音を聴く)

息を吸って

息をサポートして

演奏する


ということをやっているのです。


つづく



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