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管楽器奏者や歌い手にとって、
・音がよく響くこと
・楽に音が鳴らせること
・幅広い音域が演奏できること
は、いずれも互いに密接につながっているように思います。
これらがまったく別々のことだとすれば、それぞれに訓練が必要になって大変ですし、もっと困るのは互いに矛盾することになってしまいます。
しかし幸いにもそうではなく、「ひとつのもの」としてアプローチすることができると思います。
・響き、
・ラクさ、
・音域
どれかひとつを入り口に他を高めていくことができると思います。
きょうは、そのなかの、
『身体を響かせること』
を体感し、身につけていくための方法を提案します。
【身体の響きを感じる練習】
楽器を演奏しているとき、身体が響いていることを実感することが上達のきっかけになります。
そのために手始めにできること。
① 低めの声でハミングしてみましょう。
両唇を軽く触れ合わせておいて、ながーくハミングします。
すると
・身体のどこがジリジリ、ビリビリ鳴っていますか?
・手でそっと身体のいろいろな場所に触れてみましょう。
・胸、あるいはお腹や腰で音が響いているのが分かります。
② つぎに、中くらいの高さの声でハミング。
・身体のどこがジリジリ、ビリビリ鳴っていますか?
・手でそっと身体のいろいろな場所に触れてみましょう。
・喉、顎や唇、前歯などが響いているのを感じられます。
③ 高い声でもハミングしてみます。
・身体のどこがジリジリ、ビリビリ鳴っていますか?
・手でそっと身体のいろいろな場所に触れてみましょう。
・眉間、頬骨のあたりなどが響いているのを感じられます。
④ もっと高い声でハミング。
・身体のどこがジリジリ、ビリビリ鳴っていますか?
・手でそっと身体のいろいろな場所に触れてみましょう。
・額、額の上の方が響いているのを感じられます。
⑤ さらに高い声で。裏声のような声でハミング。
・身体のどこがジリジリ、ビリビリ鳴っていますか?
・手でそっと身体のいろいろな場所に触れてみましょう。
・頭頂部、あるいは頭蓋の広い範囲が響いているのを感じられます。
⑥ 一瞬出せるか出せないかのような、超高い声。
・身体のどこがジリジリ、ビリビリ鳴っていますか?
・手でそっと身体のいろいろな場所に触れてみましょう。
・頭の中、あるいは頭の中の底にピンポイントで感じられます。
こうして、声を使って、いろいろな響きの「地図」を描いていきます。
【響きの移動を感じる練習】
つぎに、これらの6つの音域を移動していきます。
① 低い声→高い声へ
1:低い声
↓
2:中くらいの声
↓
3:高い声
↓
4:もっと高い声
↓
5:裏声
↓
6:ぎりぎりの最高音
を低いところから順に、なるべく一息で移動していきます。その際大切なのは、さきほど調べた響きが、声域とともに移動していくのを感じることです。
ただし、一息でなんとしてでも全音域をやろうとはじめから無理したり、なんとしてでも響かせてやろうと頑張らないでくださいね。それだと響かないし、声にも負担になってしまいますから。
これも両唇を軽く触れ合わせたハミングで行ってください。そのほうが、顔や頭蓋の響きが感じやすいです。
② 高い声→低い声へ
1:ぎりぎりの最高音
↓
2:裏声
↓
3:かなり高い声
↓
4:高い声
↓
5:中くらいの声
↓
6:低い声
このように下行もしてみましょう。
ざっくりと見れば、響きが身体のなかを下へと移動していくのが分かると思います。
③ いったりきたりしてみる
ぎりぎりの最高音
⇅
裏声
⇅
かなり高い声
⇅
高い声
⇅
中くらいの声
⇅
低い声
というように、慣れてきたらいろんな声域を行き来してみましょう。響きの移動がよく分かります。
なお、できるだけ、途中の声域をとばさずにやった方がラクで、効果的かと思います。
【引っかかり、詰まりをほぐす】
6つの音域を行き来しようとすると、人により、あるいはその日の調子により、次の音域へスムーズに移動しにくいところがあるかもしれません。
そのような箇所を見つけたら、ゆっくりと移動を試みましょう。
移動前の音域の響きを感じ、その響きを身体の他の場所に広げるようなつもりですこしクレッシェンドしてみます。
これも無理せずに。
そして、頃合いをみて次の音域への移動を試みます。
うまく移れなくても構いません。
移動先の音域を響かせて、これも先ほどのように響きを身体の他の場所にも広げるようなつもりでクレッシェンドしてみます。
そうやって、響きを見つけ、広げ、感じる。
その作業自体が、だんだんと響きの詰まりをほぐし、また響かせ方や移行の仕方を感覚的に分からせてくれて、移行は日単位週単位で少しづつスムーズになります。
【ジャングルの動物達のような声】
響きを見つけ、広げ、感じ、自分のモノにしていく練習にはさらに続きがあります。
猫の喧嘩の声を聞いたことはありますか?あのちっちゃな身体から、凄まじい声量で唸りますよね。
本人達は必死ですが、わたしたち音楽家はあれに学ぶことができます。彼らがあんなに声量が出るのは、声を響かせ増幅できているからです。
真似てみます。
「ニャ〜オ〜!」
と猫の声真似をしてください。
本気で!
猫ぐらいデカイ声を出したかったら、ただ普通に声を出す容量では到底敵いません。
顔面の筋肉をグニグニ動かしてください。額、眉間、口、頰。しぼめたり、引っ張ったり。上半分だけ、下半分だけ、右側、左側、全体。
顔をいろいろ動かしながらもう一度、「ニャ〜オ〜!」
うまくいけば声のパワーが一段増します。強い声が部屋に響くでしょう。
同じ要領で、ジャングルの動物達の声を想像して真似てみます。
猿
ゴリラ
いろいろな鳥
….
「オッ!オッ!オッ!」
「キャッ!キャッ!キャッ!」
「ホ〜ホロホロホロ!」
…
いったい何してるんだ、という気分になってくるかもしれませんが(笑)、響きを生み出す練習です。
【楽器演奏につなげる、置き換える】
ここまでのような練習、遊びを通して、響きの場所、移動、感触を実感できるようになってきたら、楽器演奏に移ります。
楽器でいろいろな音域を演奏するとき、声ではどのような場所が響いていたか思い出してください。
「そこが鳴るんだ、響くんだ」
と意識して音を出してみましょう。
音域を移行するときも、声域を移動していたときの響きの移動を思い出し、それを意識してみましょう。
楽器演奏のときの響きの位置や感覚は、声と全く一緒ではないかもしれません。
しかし声を使って響きを実感してあることは、ちゃんと役に立ちます。良いきっかけ、突破口になるかもしれませんから、声の響きの移動の実感を手掛かりに、ぜひ探求してください。
【響きを全身に拡大していく】
楽器でも音域ごとの響きを見つけ、感じられるようになってくると、高い音を出すのがラクになってくるでしょう。
また、他の音域も音を鳴らすのがラクになっているでしょう。
音を出したて、そのポイントの響きを見つけて感じたら、そこは響かせ続けながら、全身に響きを広げていくことをイメージします。
そうすることで、音が出しやすいだけでなく、音に太さ、豊かさが、柔らかさがさらに加わってくることと思います。
ぜひ試してみてください。
Basil Kritzer
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ホルンを吹き始めて5年目の大学生です。
音大生でもプロを目指してるわけでもないのですが、ホルンが上手くなりたいです。
私はほかの人に比べて、音に響きがなく楽器が出す音が周りの空気を振動させられていないと感じています。どういったらうまく表現できるか分かりませんが、私の音はベルから直接柱状のような音が出ている気分です(分かりにくくてすみません)。
息を沢山入れればいいのかと思って試行錯誤してみたのですが、オーバーフロー気味になるだけで響きは出ませんでした。
先輩やうまい同期は空気を振動させつつ、かつどんな曲を吹いていてもパートの核になるような音を出せていてとても羨ましいです。
どうしたら、周りの空気を振動させた、楽器がきちんと響いて鳴っている、豊かな音に近づくのでしょうか?
関係あるかわかりませんが、今の私の音は(ゴールドブラスの楽器を使っているからかも知れませんが)すこし暗め、すこし固く、でもみんなで吹いたら聞こえる(よく飛ぶ?)音ではないです。細くはないと思います
何かあれば教えてください!
もももももさん
まずはこの記事の内容を取り入れてみてはいかがでしょう?
他にもいくつかブログの記事を読み、役立ちそうなことを取り入れてみてください。
Basil