夏を終えるにあたって

この夏は、自分にとってとても有意義なものでした。


8月初旬の浜松国際管楽器アカデミーでは、120人ほどにも及ぶ聴講者の前でマスタークラスを行いました。レベルの高い音大生や若手のプレイヤー、そして管楽器界に様々な形で長く関わっている方々ばかりの聴衆に、学生6人への個人レッスンを、様々な解説を交えながら公開して行うという形式です。



この、音楽の世界で誰しもが馴染んでいる形でアレクサンダーテクニークのレッスンを行い、直接受講はしていない聴衆の方々に満足してもらえるような講座を実現できたのは、アレクサンダーテクニーク教師という仕事でこの先も食べて行けるかもしれないな、という自信を、やっと得られたように感じました。

教師になって3年目ではじめてのことです。



中旬から下旬にかけては、ホルンの合宿とトロンボーンの合宿にそれぞれ講師として参加しました。

ここにもやはり、真剣に楽器に取り組む音大生、高校生、若手のプレイヤーたちが集まっていました。そういう彼らと何日か近い距離でずーっと過ごしていると、彼らにとってどんなことが必要で、彼らはどんなことを望んでいて、アレクサンダーテクニークではそれらのどんなことに応えることができるのかを、まだ言葉にはできませんが、肌感覚で実感することができました。



それに、若さとモチベーション溢れる空間で濃密な時間をこんなにも長く過ごすと、モチベーションがどんどん伝染してきます。

演奏の仕事を行うのは、年に1〜2回くらいしかないのですが、やはりレッスンに活きることもあって、ほぼ毎日ホルンの練習は重ねています。その練習の「やる気がなくなる」ということはないのですが、毎日の練習がごく当たり前で普通のことという感覚が、合宿の時空間に浸かっていると変わってきました。

「きょうも、なにか良い音、美しい音楽を生み出したい」

そういう気持ちになりました。



また、ホルンの合宿でもトロンボーンの合宿でも、楽器の先生がレッスンをしているところをちょこちょこ覗き見していた(!)のですが、師と弟子が、音楽や演奏技術という言葉にしづらく形がないものを継承し高めて行こうとして全力を尽くしているのを見ると、

「ほんと、楽器のレッスンって素敵だな….」


とひしひしと感じるのでありました。


大学を卒業して6年が経とうとしていますが、この間ずっと、心のどこかに「ホルンの勉強をもっとしたい。もっと音楽を学びたい」という気持ちが蠢いていました。大学時代は様々な困難や苦しみがあり、音楽の勉強と創造に関してはなかなか満足にできませんでした。正直、ホルンを続けること、練習できるようになること(腰痛やプレッシャーの問題があった)、少しはホルンという楽器を扱えるようになること。そういうスタートラインに立つところに大きな困難を抱え、それを乗り越えることで大学時代は終わってしまいました。

ふたつの合宿での時間を過ごすうちに、音楽を学びたいという気持ちにもっと向き合ってみようという心持ちになりました。

そこで、近々ホルンのレッスンをまた受け始めることを決め、その第一歩を思い切って踏み出してみました。



ドイツから帰ってきてからはじめの2年ほど、関西でフリーランスでホルンをやっていたのですが、その頃からお世話になっていたプレイヤーのみなさんとホルン合宿でご一緒したわけですが、オーケストラや楽団への入団を果たしたり、フリーランス奏者として中心的な存在になってきていたり、キャリアの大きなステップアップの目前に来ていたりされていました。それもすごく刺激になりました。



とりあえずは自分である程度人生を担えるだろうという自信を得て、それと共に音楽に対してまた心が開いてきた夏でした。


そんな大きな動きを感じながら、練習の在り方についても毎日考えを新たにしています。

いま辿り着いているやり方はこうです。

① 頭が動いて身体全体がついてきて(以下、アレクサンダーテクニーク=ATして)
② きょう・いま・この瞬間、どんな音、音楽、芸術を生み出したいかを自分に問いかけて
③ ATしながらマウスピースのリムを口の当てたいところに当てたいようにあて
④ ATしながら音を創り出して(息を吐いたり、アンブシュアを動かしたり、舌を使ったり etc)
⑤ 芸術を生み出す

これを、出す音、奏でるフレーズ、取り組む曲ごとに丁寧にやり直していっています。

あがり症問題においても、自らが生み出そうとしている芸術を生み出す作業に、どんな状況や感覚であろうともフォーカスし、その作業を「する」ことを何よりも優先して選び続けることがとても根本的な方法だとも感じていますから…


秋から来年の春にかけては、アレクサンダーテクニークのレッスン業においても、どんなスタジオの在り方やどんなセミナーの開催が、音楽をするひとをサポートし、芸術に貢献することになるのかもっともっと深く見つめていきたいと思っています。

気が早いですが、来年度は自分のスタジオでわたしひとりでなく、もうひとり仲間を迎えてもっと多様性あるレッスン空間へと変貌させることを思い描いています。明日からは9月。もう夏も終わりに向かっていきます。実りある秋が楽しみですね。




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