先週末、横浜青葉オーケストラの管楽器セクション有志のみなさまにご招聘頂いて、アレクサンダー・テクニークのセミナを行いました。11名の参加者中、半分ほどは「アレクサンダー・テクニークなんて聞いたこともない」ということにも関わらず、呼びかけ人のホルン・福本仁志さんの説明にとても興味を感じたとのことでご参加頂きました。いろんな楽器の演奏にアレクサンダー・テクニークが使え、まず第一にラクになるそして音の響きが拡がって音質がとても良くなるという大きなプラスになることを改めて感じました。それでは、参加者の声を紹介します。
池尾優さん(オーボエ)
1.参加を決めたきっかけ。
福本さんが受講して、目の前であっと言う間に音が良くなったという経験談を聞いて興味を引かれ、自分もこれを習得することで音の改善につながればうれしいと思ったから。特に、力の抜き方、無駄な力を使わない奏法について学べそうだという点に強く惹かれた。余談だが、アレクサンダー・テクニークについての予備知識は皆無だったので、インターネットで調べたところ、世界各地で音楽教育に取り入れられていることや、動物行動学者のニコ・ティンバーゲンが論文で引用していたりして、これは生物行動の根源的な部分と関係していると分かり、なお興味が湧いた。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
猫背みたいにダラーッと力を抜いて、頭が自由に動くようにするだけであんな風に劇的に音が変わるなんて、まるで魔法にかけられたみたいだった。何より、息がスーッと自然に入って行ったのはこれまでに無い感覚でビックリした。しかもそうして出た音はこれまでにない太く柔らかなものだったので自分でも信じられなかった。唖然とした、というのが正直な気持ち。まだアレクサンダー・テクニークの入り口に立っただけだと思うので、その状態を維持して吹き続けることができるように訓練したい。そのために、定期的に何度か受講できる機会があるとうれしい。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
上記2の経験をしたことで、オーボエ歴が浅い自分でももっといい音で吹けるようになるかも、という期待とともに、不思議とある種の自信のようなものが湧いてくるのを感じた。指導の中で印象に残ったのは、例えば「良い姿勢」について、頭で考えたり経験から「良い姿勢」と思っている状態を身体にさせるのではなく、上半身を脱力して頭が自由に動く状態にすれば自然に「良い姿勢」になる、という話。これは要するに、人間の身体が本来持っているはずの生物的に原初的な状態にするということではないかと思った。だとすると、文明にどっぷりと侵されている現代人にはけっこう難しい課題かも知れない。同時に、楽器の奏法だけでなく日常生活の様々な場面でも応用できそうな気がする。次の機会にはそのあたりも聞いてみたい。
福本愛子さん(オーボエ)
1.参加を決めたきっかけ。
主人から昨年末のワークショップの話を聞き、ご指導を受けたいと思いました。せっかくなので、オーケストラの仲間に紹介できればと思いました。バジルさんにご快諾いただけて本当に感謝しております。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
今回得られた感覚を活かして、常にその状態で演奏できるようにしたいです。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
・座る位置の疑問が解決しました。深く座っても、浅く座っても、立っても、根本は同じなのですね。
・頭が固定されないことがとても重要だということを、ゲームや実際の演奏を通じて、はっきりと体感できました。(特に演奏では、視界がブレるほど頭と体が共鳴したことに感激しました。)
・頭、ニセ股関節、本当の股関節、を自分ひとりでもチェック出来るように指導して頂いたことが一番有難かったです。
・「ほんの少しでもよくなれば、方向性として合っている」・・・小さな変化を肯定的に受け止める姿勢の重要性を学びました。
桐岡万葉子さん(クラリネット)
1.参加を決めたきっかけ。
「自分の筋肉・関節の仕組みと機能を理解して余計な力を抜き、自然な姿勢と体の使い方を実践するテクニック」というお知らせに興味を持ったから。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
今後は楽器を演奏するのが「辛い・怖い」から変化するきっかけとなりそう。まだ一人では教わった状態を作れないが、普段の練習時に意識すべき新たな重要性の高いヒントがもらえた。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
先生に身体の態勢を整えてもらったあと自分では「聞く(音)」から「見る(息の流れ)」に変化したと思った。今までに感じたことのない吹奏感触だったので自分ではない人が演奏しているようだった。その時、「自分に欠如しているものはこれだ!」と思った。レッスンでは毎回怒鳴られ、オーディションでは一位をとらないと仕事が与えられないことで悩んでいた解決の糸口が見つかったような気がして、感動した。と同時に今まで自分は何をやって来たんだろうという無力感もあった。楽器を構えた瞬間=「演奏しなければならない」が、楽器を取られたときに、「演奏したい」という気持ちに変わった。
松下めぐみさん(クラリネット)
1.参加を決めたきっかけ。
楽器を吹くと疲れる…この意識が変えられるかもしれないと思ったから。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
日常生活で:セミナー翌日、仕事中(デスクワーク)や出勤中に『頭を動ける様に』を意識してみた。いつもより凝りがなかった。ずっと肩こりに悩み続けてきたので、意識的に取り入れていきたい。
演奏面で:いつもより楽に楽器が吹けた事、不思議と息が沢山と吸えた事に驚いた。今までは理想の音色があり、それに近づこうとばかり考えていたが、楽器と私だけが共鳴して出せる音もあるという意識に変わり、今までより自然に楽に吹ける期待がもてた。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
歩行ゲームで頭の動きが全てを制御していると自分の身体で実感できた事。その時は、わざとらしく頭を固めていたが、私の場合、実は普段からこんな感じの歩き方をしていたので『頭を動ける様に』して歩いた時は、いつもよりずっと歩く事が楽に感じれた。胸を張ったり、目線を上げたり日頃から色々試していたが、ポイントが頭だとは予想外だった。
伊藤正さん(ホルン)
1.参加を決めたきっかけ。
呼吸法などで悩んでいた(安定して吐けない)ところに、福本さんに声をかけて頂いたのがきっかけです。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
頭を自由に動けるようにして、身体を脱力した姿勢を取って、腕で楽器を持ち上げて、吹いてみます。ニセ股関節を使う・背筋を伸ばす・肩を後ろに引くといった姿勢を取らないよう、意識してみます。より楽な姿勢で、より良い音で吹けるようになっていける、という期待があります
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
脱力した姿勢が良い姿勢である、という認識の転換が起こったこと。頭が動かせるポジションに頭をセットする、という認識が生まれたこと。脱力した姿勢で鼻から息を吸うと、楽に大量の息が吸えたこと。これまでは、ヒーヒー言いながら、吸うものだと思っていました。「溺れかけた人が3度目に吸うように吸え」と書いた教則本がありましたよねー。ああいう苦しいブレス(=身体が力む)のが正しいと誤解していました。
福本仁志さん(ホルン)
1.参加を決めたきっかけ。
以前バジルさんのワークショップを受講して、自分なりに得るところが多かったが、それが定着しているか確かめたい。唇がバテやすいというホルン演奏上の課題があり、それを解決する糸口をつかみたい。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
オーケストラでの具体的な演奏に際して活用できそう。もっと楽に、豊かな音色になるのではないかという期待があります。今日の体験をベースにして、忘れないように自分のものになるように定着化を図りたい。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
下腹部からの息の圧力がまだ足りずに、その息を補おうとして肩から背中に余計な力が入っていることが分かった。
生田目和之さん(トランペット)
1.参加を決めたきっかけ。
楽器の性質上、どうしても楽器と格闘している感じがあり、できる限り楽に演奏する術を身に着けるためのヒントを得たいと思ったため。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
楽器の演奏のみならず、日常の体の動きに対しても、頭の存在が体全体の動きに良くも悪くも影響していることを知ることができた。このことを普段の生活、楽器演奏で考える習慣をつけていき、少しでも体への負担を減らせていくことができればと思う。楽器への適用は、体を楽器にもっていくのではなく、「楽器をもってくる」ということがポイントと認識したが、これはなかなか体得するのが難しい課題というのが正直な感想。日々の練習の中で常に意識してとりくんで行こうと思う。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
「頭が動けるようにすること」も重要であることを実感したが、「正しい股関節の使い方」は、昨日の講義では「頭」以上に実感することができ、強く印象付けられた。
松本徳之さん(トロンボーン)
1.参加を決めたきっかけ。
前々からいつか受けようと思っていて、今回の企画が開催されたためです。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
未だその因果関係を自分で良く理解していない、「音が良くなるツール」を一度使ってみただけの段階なので、今後どう活かせそうかはまだ分かりませ ん。ただし、楽器は趣味とは言え相当な時間とお金を使って真面目に取り組んでいるライフワークの様な物なので、自分は今からどのレベルにまで上達 出来るのか、未来に希望が膨らみます。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
アレクサンダー・テクニークの入口に辿り着いた、という感慨が沸きました。
匿名希望(フルート)
1.参加を決めたきっかけ。
福本さんから目からウロコとお聞きして興味を持ちました。また、演奏中に口のまわりについ力が入りすぎているのを悩んでいたため、力みすぎを解決するためのヒントを得られたらよいなと思い、参加を決めました。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
演奏する姿勢づくりとして、「だらっとする→股関節を使って(ニセ股関節は使わずに)上体を起こす→頭を動きやすい状態にする」という具体的なプロセスを教えていただいたので、さっそく実践していきたいです。また、セミナーでそれを行ったら、これまで意識しなかった腹筋の存在に気づいたので、この腹筋を使ってこれまでよりもしっかりした音色を出せるようになれたらよいなと期待しています。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
「頭が動きやすい」状態と、「ニセ股関節」の存在に出会えたことと、自分だけでなく他の参加者の姿勢と音色の変化を見学できたところが良かったです。ありがとうございました。
匿名希望(ホルン)
1.参加を決めたきっかけ。
福本さんの紹介。今まで力を抜いてと言われたことはあるけど、知らぬ間に入ってる力をどうやって抜いたら良いかを教えてくれる人がいなかったから、少しでも学びたいと思った。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
吹くときに意識するところが少しわかったので、自分の吹きやすい音域以外でも曲を吹くときでも、教えてもらった感覚に近づけるように練習しようと思いました。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
頭が動けるようにするというのは動かせるとは全然違くて、無駄な力も入りにくいことが体感できた。
今まで良い姿勢というのは背中と腰がピーンと、しゃきーんとしてる状態だと思ってたけど、もっと脱力して偽股関節は倒したまま体を軽く起こす方が息が吐けるし吸えるし、自分が思っているより見た目も悪くなくて、むしろ自然な状態だと思えた。
匿名希望(ホルン)
1.参加を決めたきっかけ。
前回参加した時にバイオリンの方の音が変わったのに驚き、自分も知らないうちに余分な力が入っていて、それを抜いたら音が変わるのかなと思ったから。また、ふだん座奏での演奏機会が多いので、座奏でのポイントが知りたかったから。
2.内容を体験して、今後どう活かせそうか。どんな期待があるか。
ふだんは、あまり考えず、意識しないで惰性でふいてしまっていたので、自分をよく観察する必要があると感じた。頭は、動ける状態にして吹くよう意識することでの変化の実感。
3.きょうのセミナーの特にどこが自分にとって良かったですか?
ホルンの先生に「息が流れはじめて音が出るまで」を頭の上から透視できるように。観察するようにと言われてきたことの意味がわかった。もしかしたら、仕事(子どもの発音練習)にも生かせるかもしれない。