管楽器や歌で奏でる音は、吐く息によって奏でられています。
その吐く息について、ちょっと考えてみましょう。
①空気は上へ行く
空気は気管を通っていきます。
この気管は概ね垂直方向についており、空気は肺からこの気管を通って上へ出て行きます。
演奏のとき最終的に、空気は口から前へ出て行きますが、これは上へ行った空気が硬口蓋に当たって前へ出ます。
硬口蓋というのは、口の天井の硬い部分のことです。
「前へ押し出そう」としなくても、構造的に必ず前へ行ってくれす。
②どんな音でも上へ行く
奏でる音は下げるとき、つまり低い音を演奏しているときも、
空気は常に上へ行きます。
これを意識すると面白いかもしれません。
音階練習で、上行するときは、それとともに空気が硬口蓋まで上がり続けていくのはイメージしやすいでしょう。
では下行するときはどうでしょう?
なんとなく「自分も下へ」行っているような感じはしませんか?
実際には、音階を降りていくときも「空気は上へ」行き続けています。
上行時は、音とともに「空気も上へ行って後押ししてくれる」と考えてみましょう。
下行時は、下へ行く音と上へ行く空気の間に、「広々とした響くスペース」が生まれると考えてみましょう。下へ行く力と上へ行く力が「伸び」を作ってくれると考えてみましょう。
キャシー・マデン先生との学び備忘録 ?その2:息は仕事である etc?
キャシー・マデン先生との6回のアレクサンダー・テクニーク&ホルンレッスンで学んだことの備忘録。 2:息は仕事であること。 いつの間にか忘れていました。 管楽器では、(あるいは歌や俳優・声優など専門的技能的に「呼吸」を使う活動で)、 息を吐くということは、本当に一仕事なんです。 ときには大量の、ときには強い圧力で、 意図したとおりの継続時間で吐く。 望みどおりに音が出るように唇を後ろから動かすコントロールも必要。 息は、硬口蓋にあたって前に出ます。 (これはすなわち、「息は上に」と意識するのです。前に行くのは結果だから、前に下に吹き込もうとすると、余計な力みになります。上に送ろうとする力が必要なのです。参考記事:「空気は上へ行く」) だから息をそこまでしっかりと能動的に力を使って押し上げる必要があるんです。 前回も書きましたが、胴体の一番底である骨盤底から息を上へ押し上げる力が働いています。 (参考記事:キャシー・マデン先生との学び備忘録 ?その1:骨盤底?) むしろ、「働かせる」と言ったほうがいいのかもしれません。 私は「空気は上へ行く」と思っているうちに、使いたい力を使わず別の力みで代用しがちになっていました。 だから、 「息を力を使って能動的に上へ送る」 単純に言うと、 「骨盤の底からしっかり押し上げる」 と考えたほうが私にはよかったのが分かりました。 アレクサンダー・テクニークは、「脱力法」ではありません。 でも結果的にすっごくラクになる場合は多いです。 それは、 アレクサンダーテクニークが、管楽器演奏で使うべき力を使うための理解と方法を得るメソッドだからです。 息を吐くとき、 骨盤底を能動的に働かせ、腹筋群(詳細:『息の支えの秘密』へ)をしっかり使うと、内臓が押し戻され横隔膜が押し上げられます。 そのおかげで、肺の空気が力強く気管を流れ、口内部の上側の硬いところ「硬口蓋」にぶつかり、口の天井を沿って前へ流れ出ていく。 そのとき、喉やベロの能動的な力は、息のパワーという点では必要ありません。 (タンギングや口腔内の形状操作には能動的にベロを使います。) 最後に前へ流れ出ていく息の方向に沿って、唇自体は前方向へ互いに動き閉じ合わされます。 その3:「唇と共鳴の関係」へつづく Basil Kritzer ホルン&金管トレーナー。 BodyThinking認定コーチ Thin…