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若いアマチュアバストロンボーン吹きとのレッスン。
本人は低音域に行き詰まりを感じて、それでレッスンにいらしたとのこと。
・・・でも見てみると、音程感きれいだし、アンブシュアもバッチリ。音質もアラがない。
一方で、息が全然吸えてなくて、それ故あまり吐けてもいない。だから、音量が出ないし、極端な低音だとそもそも鳴らすのに必要な息を吐けず、だから出ない。
吸おうとしているが、なぜか全然空気が入ってこない。原因がわからない。初めて接する状況。ただただ吸えていなくて、あとはバッチリなんて。
ひとまずは、鼻から、摩擦音がするように息を長ーく吸い続けてもらう。・・・すぐできてちゃんと息が入ってきた。吸えはするようだ。
とりあえず、
①マウスピースを口に近づけといて
↓
②鼻から長ーく、音がするような吸い方で吸って
↓
③マウスピースを口につけて発音
すると、すぐに低音域が鳴り出した。やっぱり、吸えたから吐けて、吐けたから唇が振動して楽器から音が鳴ったのだ。
改善はできた。
では、そもそもなぜ吸おうとしても吸えていなかったか?
よーく観察したら、『息の支え』を作ってから、あるいは作りながら吸おうとしていた。これだ!
『息の支え』は、ロングトーン、低音、弱音でとくに必要。彼はそれを正しく上手にやっていた。
問題は、それを『いつ』やるかだった!
息の支えは、吸ったときの体の膨らみをたもちながら息を吐くこと。実は体の膨らみは、息を吸わなくても同じようにやることはできる。彼はそれをやって、息の支え=体の膨らみを保つ=体の形を保つことを息を吸う前や吸いながらやっていた。それで入ってこなくなっていたのだ。
そこで、『吸うときは吸うだけ、そのあと必要な準備』という順番を意識してもらったら
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めっちゃ吸えて、しかもラクに吸えて、豊かに鳴らせた。
動作や操作が正しく質も高くても、順番やタイミングによって働きや結果が大きく変わるということを学べた。
非常に面白かった。
Basil Kritzer