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【口を変えずに吹く】
「音域によって口(アンブシュア)を変えないで吹く」という観点は金管奏法において様々な時代で存在する。
でも、「変えない」の定義が曖昧だったり複数あったりしてきたのではなかろうか。
それ故に、「変えない=動かさない」という連想ゲームが無意識的に起こったのだろうか。
実際の演奏者を見たらみーんな大なり小なりアンブシュアやマウスピースを動かしているのが誰が見てもわかるにもかかわらず、(マウスピースやアンブシュア)動かしてはいけないという指導になってしまうのではないだろうか。
アンブシュアタイプの研究では、「変えない」ということを「アンブシュアモーションを一貫させる」ということで定義できる。
アンブシュアモーションは、音を上下するためのアパチュア操作のために、アンブシュアおよびマウスピースをどのように動くかということを把握するもの。
したがって、「動かさない」ようにすると、アンブシュアモーションが適切にできず、アンブシュアモーションを一貫させられなくなってしまう。
結果的に「ダブルアンブシュア」と呼ばれるようなことを使わなければいけなくる状況になったり、アンブシュアが不安定にならざるを得ない状況を招いたりしがち。
ここで、「動かし過ぎないようにする」という話を持ってきてもそれは文脈がズレている。
適切な動かし方・動かし量を学び洗練させるうえでは動かすことにネガティブな意識を喚起するのは建設的でない。
動かし過ぎも動かし不足も、それは同等に『もっと洗練させる余地』である。
✳︎アンブシュアタイプ/アンブシュアモーションについて✳︎
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Basil Kritzer