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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら
【アンブシュアと息】
ホルンの音は、アンブシュアのアパチュアの間を通る息の流れによって唇が振動させられ、楽器に共鳴を作り出すことで生み出されています。
唇のアパチュアの大きさと張り、それに息の流れの速さが組み合わされて望みの音程を生み出します。
このように、アパチュアのサイズと息の流れという二つの要素があるわけです。
音が高いほど、アパチュアは小さく、息の流れは速くする必要があります。
音が低いほど、アパチュアは大きく、息の流れは遅くする必要があります。
高い音の方が相対的に少ない量の息が速いスピードで動いている必要があります。
低い音の方が、多い量の息が遅いスピードで動いていることを必要としています。
アンブシュアの周りの筋肉は、高音域では強い息の圧力に対して支えてコントロールする必要が増すために、緊張が強くなります。
低音域においては、それらの筋肉はよりリラックスしていますが、支える働きは維持せねばなりません。
静かな音量で演奏するとき、通る息の量が少ないためにアパチュアはより小さくなります。そのため、その周りの筋肉の支える仕事は増します。
大きな音量で演奏するとき、もっとたくさんの量の息が通るようにするためにアパチュアはより大きくなります。そのため、その周りの筋肉は小さい音に比べると緩んでいます。
最適化された演奏技法と美しい音はアンブシュアと息がバランスされたときに生まれます。気合の入りすぎた吹き込み、あるいは過剰な息の圧力は、息の流れをコントロールするために必要以上にアンブシュアの筋肉に労力をかけさせることとなります。
息の不十分な供給もまた、息の不足を補うために余計な仕事をアンブシュアにさせることになり、過剰な負担となります。
アンブシュアに頼りすぎると、息の流れを制限し音がキツくなります。
息とアンブシュアの完璧なバランスを「singing on the wind」と呼ぶことができるでしょう。
これは息の供給とアンブシュアが、アンブシュアがもっとも効率的に働くことのできる割合で働いときに得られ、音がセンターに入ると楽器の最高の共鳴を可能とするものです。
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続く
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はじめまして。吹奏楽部で、ホルン5年目の高校生です。
この記事の内容とは直接関係がないかもしれませんが、とても悩んでいることがあるのでコメントさせていただきます。
私は、同級生のチューバやトロンボーン吹きと比べて遜色がないくらいに唇が分厚いです。なので、息を吸うとアンブシュアがすぐ崩れたり、高音を吹くとアンブシュアが崩れ、低音が吹けなくなったりしてしまいます。
しかし、この前トロンボーンを吹かせてもらったところ、初めてにも関わらずだいぶ楽に吹くことができました。
やはり、唇が分厚い人はホルンには向いていないのでしょうか。
そして、その上で唇の分厚さを克服し、納得のいく演奏ができるようになることは可能なのでしょうか。
neruさん
唇の暑さは、上達の可能性、能力のポテンシャルにまったく、もしくはほぼ関係がないと思います。
金管楽器は唇が薄い方がいい、というのは指導法が全然発達してなかった昔の間違った考えだと思いますね。
Basil
返信ありがとうございます。
バジル先生にそう言って頂けて安心しました。
これでこれからも上達を信じて頑張ることができます。
本当にありがとうございます。