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新訳:Singing on the Wind です。前回はこちら
【マウスピースの圧力】
大半の奏者は、マウスピースの圧力を演奏に用いており、またやはり大半は低い音より高い音でより強い圧力を用いています。
ある程度の圧力は悪くありませんが、圧力のかけ過ぎは有害です。
問題は、「かけ過ぎ」は何をもって判断するか、ということです。
上唇と下唇がマウスピースのなかで振動するとき、どのような高さの音でもその「振動」を両方の唇で感じることができるはずです。
経験的な目安としては、もし上下どちらの唇にも「振動」を感じることができていれば、それはマウスピースの圧力のかけ過ぎではないということができます。
もし、「振動」を感じられない場合は、次のようなエクササイズを通じてその振動の感覚を見つけることをやってみるのもよいでしょう。
〜唇の振動を見つけるエクササイズ〜
・低い音のほうが、唇の振動は遅いため、振動を感じやすいです。低い音を演奏して、マウスピースのなかで上下の両方の唇が振動しているのを感じてみましょう。そこからゆっくり半音ずつ音をより高音域へと移動していきます。両方の唇の「振動」を感じ続け意識し続けながら。もし振動がわからなくなったら、また低音からやってみましょう。
・もうひとつやってみるとよいことは、演奏しながらマウスピースをアンブシュアから離してみることです。完全にマウスピースの接触がなくなってしまったり、音が鳴らなくなってしまうことはないよう注意しながら。これをやってみると、アンブシュアの周囲の筋肉が支えの責任をどう担っているか感じやすくなる刺激になり、また「振動」も感じやすくなります。そうしたら、また音質が正常に戻るところまでマウスピースとアンブシュアの接触を元どおりにしていきます。できれば、さっきより圧力を減らした状態でいつもの音質まで戻ってこられるとよいでしょう。
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こうして演奏中の「振動」を感じることができると、アンブシュアは息と協調してもっと効率的に働くことが可能になり、そのおかげで演奏技術がもっと柔軟で対応力の高いものになります。
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つづく
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