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昨日、実に久しぶりに人前で(といっても少人数、クローズドな場ですが)ソロを演奏しました。Klassenvorspiel=クラス発表会という、わたしのドイツでの学生時代のトラウマを大いに刺激しまくり、しかも教える側がみっともない演奏なんてできない〜という気持ちになってしまいそうな状況なのでありました。
そんな中でも、学ぶことがたくさんありました。
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顎の不調×呼吸の不調×ど緊張=得るもの多し
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一週間ほど顎の不調。風邪も影響してるかもしれないけど、たぶん原因は勘違いにより少し試したことが自分のアンブシュアタイプに合ってなかったこと。
顎の不調なんて人生初で、びっくり。ちょっとズレたことの影響がこんなに長引くのにもびっくり。顎の痛みや不安定に悩むひとの気持ちが少し分かった。
でも回復と修正のプロセスからは多いに得るものがある。アレクサンダーテクニークの活用がほんっとこういうときに役立ってる。
『不調込み』でどう全体のバランスを良くするか、やりたいことするか、がアレクサンダーテクニークのとても独自なところ。置かれた状況、条件、環境下で力を引き出すこと。
不調から回復し立て直す過程は、うまくいっていたことの意識化が伴うから、焦らずじっくりやり肉体的なところの回復を根気よく待ちながら取り組むと、以前は自然とできたことを、分かってうまくできるようになる、という面がある気がする。
少なくとも、ぼくはそういう経験がけっこうある。
今回は勘違いでやってしまった奏法で顎に悪いことした後、風邪気味で呼吸が低調になったのが重なってるな。
だから風邪がラクになって呼吸がしっかりできるようになったところで顎の支えも作りやすくなった。顎、呼吸、両方当たり前を意識化できる経験かも。
そんな顎&呼吸不調のなかで、ちょっとした人前で、四年ぶりくらいにソロ演奏だった。
シチュエーションが自分にとってもっとも怖ろしい場で、通常の緊張によるガクガクは盛大(笑)しかし大変だったのは顎不調による顎揺れだった。
以前から本番のときに顎揺れがちょっと出るときがたまにはあったけど、顎不調になって初めて、上下の歯の距離感やアンブシュアの張りのための顎の支えが大事だと気付いた。
きょうは、通常のガクガクと顎や息の支えができなくなるガクガクのちがい・境目が実感できた。前者は実に恐ろしいが、後者のコントロールをやることさえ分かっていれば、大丈夫。
逆説的だが実際にフィジカルに顎や呼吸の不調でやりたいことがやりづらい条件で、くっそアガる状況で演奏する経験が、やりたい顎や呼吸の操作・アクションが何なのか浮き彫りにしてくれた。
不調を自覚して、その不調込みでアレクサンダーテクニーク全開で音楽に集中して演奏しきれたので、顎ガクガクで聞き苦しい箇所もあったけど、やり切った満足感があって良かった。この経験全体が、顎・呼吸・パフォーマンスそれぞれのやるべきこととやり方の理解を深めてくれた。
あとあれだ、ぼくはやっぱりスッゴい緊張しいだ。非常に、めちゃくちゃ緊張しいだ。だからメンタルきついけど(笑)、パフォーマンスの結果に悪く影響するのは音楽でなく他人の評価や目線に注意を向けることと、演奏技術の行使の仕方だ。
いっくら怖くて怖ろしくて震えても、音楽の世界やメッセージを表現しようとしてそのために身につけてある技術と技術の行使の仕方を分かってさえいれば大丈夫なんだ。
Basil Kritzer
P.S.年明けあたりから、個人レッスンを数年ぶりに再開するかもしれません。東京から遠方にお住いの方々、そしてプロ奏者のみなさんにぜひ活用してほしいかなと思っています。学生さんには値段が高いかもしれないので、大学生以下の方のためには定期的に無料講座(動画撮影します)を開催しようかとも考えています。