大人をレッスンする6つの重要なポイント

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大人を指導する、レッスンをすることは、まだ親や教師に依存している子供を教えることと大事なちがいがあります。

“Coaching for Leaders” を主催しているDave Stachowiak氏が、成人教育学(Andragogy)の基本ポイントを紹介しているのを聴いて、わたしたち音楽家が大人の方々とレッスンをするときにもとても通ずると思ったので、音楽のレッスンに引き寄せ、わたしの言葉でそれを紹介したいと思います。

高校生や大学生を教えるうえでもかなりの部分が通用するでしょうから、学校の先生やそういった若者を指導する方々にもぜひお読み頂ければ、と思います。

【大人をレッスンするための重要なポイント①】

『学ぶひと本人が、なぜ、なんのためにそれを学ぶか理解しており、納得している』

指導者として教えたいことがある場合、教えたいことの

・価値
・必要性
・目的

を伝えることが大人とのレッスンにおいてはとても助けになります。

「これを学びなさい」「これをやりなさい」ではなく、指導者としてぜひ伝えたいこと・教えたいこと・やってみてほしいこと自体について双方向的にコミュニケーションしましょう。

意味や重要性を理解してもらい納得して興味を持ってもらえるようになるまでのやり取りから、指導者自身が多くを学ぶことができますから、すごく楽しいことですよ!

【大人をレッスンするための重要なポイント②】

『大人は、自分の学びに自主性と自己責任を持つことを望んでいる。学びの過程や方向性、進み方にも自分の個性や感性を反映させたい』

いろいろなことを先生に言葉で説明してもらいたいひともいれば、お手本を間近で聴くのがとにかく好き、というひともいます。

まず情報を集めてから実践してみるのが自分のスタイルだというひともいれば、なるべく外から影響されずにまず自分の発想でやってみたいというひともいます。

大人は、自分自身が自分にとっての最良の指導者でありたいのです。

わたしたち指導者の仕事は、それをサポートすること。それぞれの個性や感性を興味を持って観察し、変幻自在についていってみましょう。

教えていて飽きないし、楽しいですよ!

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【大人をレッスンするための重要なポイント③】

『大人には、生きてきた年数分、蓄積してきた経験、技術、能力がある。それと結びつくようにして教える』

音楽の演奏をするということは、素敵で特別なことではありますが、「特殊」なことではありません。

大人の方をレッスンするのであれば、相手の大人の方は音楽の演奏を学ぶのに非常に役立つなんらかの技術、能力、知識を身につけており経験を持っているはずです。

ソルフェージュをする、ということがゴルフにおいて球の行き先をよくイメージするということとよく似ていて腑に落ちた、といようなこともあったりします。

教えている相手の方は、どんな人生を送ってきているでしょうか?
どんな仕事や趣味の経験をお持ちでしょうか?
どんな哲学や考え方で生きてこられているでしょうか?

そういったことに目を向けると、大人には学ぶためのリソース(資源、材料)がたくさんあって、教えているこちらが勉強になることばかりです。

相手のリソースを活用することで、劇的に向上するシーンが生まれます。楽しいですよ!

【大人をレッスンするための重要なポイント④】

『大人は、いますぐ役に立つもの・必要なことを学びたい。だから、いますぐ役立つようにレッスンをデザインする』

大人にとって、時間やエネルギーはとても貴重なものです。

「やっておけばいつか役立つから」
「地道に続ければいつか効果があるから」

と言われても、そもそも本当かどうか確信を持てないし、その「いつか」まで効果が無くても頑張り続ける気持ちにはなかなかなりにくいものです。

大切なこと、長期的なことだからこそ、その有用性や重要性がちょっとだけでもいいから「いま」感じられるようにレッスンをしましょう。

指導者からしても、改めてその教えたいことの効果や重要性が感じられて勉強になるし、相手の方も俄然やる気なるから楽しいですよ!

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【大人をレッスンするための重要なポイント⑤】

『大人は、現実や日常生活に実際に使えるもの、実用的価値があることをまなびたい。だから、レッスン内容に実用的価値があるよう、工夫する』

たとえば趣味でオーケストラで演奏されている大人の生徒さん。

地道に取り組むフォームの訓練より、曲のなかのなかなか音を安定させれずに気になっていた箇所が明日の合奏で安定させられる方が嬉しくて楽しくてやる気になるのです。

長期的なことや地道な取り組みでも、相手の方の日常的な必要性や有用性に少しでもいいからすぐに貢献するような形・発想で伝えることを工夫してみましょう。

いい教え方の型をそうやってひとつひとつ見つけて作っていくのは、とても楽しい作業です (^^)

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【大人をレッスンするための重要なポイント⑥】

『大人は、自己評価や自らの生活の質を高め、周囲の人々や社会に貢献したいというモチベーションを潜在的に強く持っている。教師・指導者からの承認欲求や高得点を得ること、完璧さっといったことへのモチベーション以上であることがある』

大人の生徒さんにとって、レッスンで教わることで自分自身が成長できるのが嬉しいのは当然なのですが、

・演奏を誰かが喜んでくれた
・自分に効果があったことを仲間に教えたら仲間の役に立った
・音楽を通じて学んだことが日常生活に彩りを与えてくれた

といったことにより本質的な喜びを感じていることがあります。

指導者としては、目の前の生徒さんだけに教えるつもりでやるのではなく、生徒さんの周囲のひとたちともコミュニケーションしているつもりで教えたり、生徒さんの人生観にも触れているようなつもりで教えるようにすると、とても喜びがあります。

Basil Kritzer

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大人をレッスンする6つの重要なポイント」への6件のフィードバック

  1. こんばんは。いつも興味深く拝見させていただいております。アマチュア吹奏楽団に所属しております、ゆうと申します。

    こちらの記事になるほどなあと思うと同時に、できればアドバイスをいただきたいと思い、書き込ませていただきました。

    私は今の一般の吹奏楽団に、十年近くおります。その中で、同じ楽器の人が少々強引な言動の人で困っています。
    非常に頭も切れ、楽器もできる人なのですが…できない人間には容赦がありません。
    「だからお前はできないんだ」「おまえはバカだからできないんだな」などと言い、吹き方にもそれが表れているのか、隣で吹いていると足場を狭められるような窮屈な気持ちになってきます。
    身体にもそれが出ているのか、この人と吹いた次の日はすごくだるいです…。

    団長やコンマスにも相談したのですが、「悪気があってやっているわけではない」「人の言うことを素直に聞くやつではない」と言われ、あまり真剣に取り合ってくれません。

    最近はこちらのブログや、アレクサンダー・テクニークのレッスンを受けたおかげもあり、すごく上達しています。
    なので、他の団に移ろうかな、とも考えているのですが。

    ここまで育ててもらった恩がある、と思うとどうしても言い出せません。
    ただ、このままではまずいとも思っています。ここにこのようなことを書くべきではないかもしれないとも思いましたが、なにか考え方のヒントをいただければと思い、書き込ませていただきました。
    長文すみません。よろしくお願い致します。

    • ゆうさん

      コメントありがとうございます。

      そういう方が身近にいると、大変ですよね。
      わたしも以前、関西で演奏活動をしていた頃によく仕事で一緒になっていた演奏者の方にそういう傾向があって、気管支炎になるほどストレスで悩んだ経験があります。

      ざっと、次の一歩として考えられることを挙げてみると….

      ・その方に、そういう言い方や発言を止めてほしいと伝える
      ・何も言わず団を移る

      のどちらかではないかと感じます。

      別の言い方をすれば、

      ・自分が団にとどまるための団の環境を整備するために何か行動するか
      ・自分にとってよりよい環境を外に求め、そちらに移るか

      ということだと思います。

      いかがでしょうか?

      Basil

  2. ご返信ありがとうございます。

    やはり、そうなりますよね。
    気管支炎になるまで…
    プロでも、そういう方がいるんですね。すみません、変なことを思い出させてしまって。

    私はそこまでは今のところ行ってはいませんが、しかしこのままだといずれ、調子をおかしくしそうです。

    十年ほど一緒にやってきて思いますが、この人が自分のやり方を変えるとは思えません(一を言うと百返ってくる人なので)。

    なので、近いうちに他の団に移ろうと思います。幸いいくつか近くにあるので、見学を申し込んでみます。

    他のところにも大なり小なりなにかあると思います。ただ、このままここにいてこの人と一緒にやるよりも、他のところへ行った方が自分の成長率がよくなるような気がするんです。

    これが現実逃避なのか、いい選択になるかはわかりません。けれど少なくとも、自分にとっていいように動いていこうと思います。

    お忙しいところ、ご返信ありがとうございました。がんばってみます。

    • ゆうさん

      ゆうさんの中では、わりと吹っ切れているようですね。相手と関わるより、自分のことを大事にしたいということですね。

      唯一ひっかかっているのが、現実逃避なんじゃないか、という罪悪感のようもの?ですかね。

      ある集団から離れるということは、その集団側のひとは否定されたような受け取り方をすることがあります。部活をやめようとする部員に冷たいのと同じです(笑)
      でも、集団への「NO」ではなく、よりよい音楽活動をしたいという自分自身への「Yes」として自分は環境を変えるんだということさえ自分自身のなかでよく分かっておけばきっと大丈夫だと思います。

      Basil

      • 罪悪感…そうかもしれません。

        半ば反面教師だったとはいえ、この人がいたから、この団があったから、私はここまで来れたんだろうなという思いがあります。

        そこを、このような理由で去らなければならないのは、なんとも心苦しいです。

        あとは、「転職を繰り返す人」のようになっていないかが心配でした。

        ただ、もう他のところに行った方がいいだろうな、と自分の中で確信が生まれているのも事実なので。
        (先日クリスマスコンサートがあったのですが、相談したあの人のいる本番より、いなかった練習の方が色々できて楽しかったんです…)

        今の私にはここでなく、他のところが合っているのかなと思いました。

        ご返信ありがとうございます。もう少し自分の中の思いがプラスになるよう、考え方を置き換えてみます。

        • ゆうさん

          「転職の繰り返しはダメ」というのはかなり文化に影響されたイメージです(笑)
          アメリカではむしろ優秀だというイメージ。それも考えものですけどね(笑)

          自分自身の確かな内なる声、穏やかな声をぜひ信頼てあげてください。

          Basil

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