ホルンに限らず、あらゆる管楽器奏者のおそらく最大の関心ごと、
アンブシュア。
このアンブシュアに注意が向けられるのは、ある意味必然的です。
なぜなら、音を出す最終的な動きをやっているのがアンブシュアだから。
音という目的を生み出す過程の最終結果が、この唇周辺で起きています。
ゴルフや野球で言えば、ボールにコンタクトする瞬間に該当するかもしれません。
それぐらい、重要なものです。
しかし!!
アンブシュアを意識するとき、往々にして唇の赤いところの周辺の筋肉の感覚や見た目の形に過剰に
意識がいく場合が多いようです!
これはちょっとおかしい。
ボールにコンタクトするその瞬間の前後ばっかり気にして、肝心のコンタクトに十分に意識が向いていないようなものです。
では、コンタクトはどこか?
上下の唇と流れ出る空気の接点。
まさにそこです。
唇の、真ん中や先端のあたり。
ここで、振動が起きています。
つまり、「音」という目的を形成している「自分のやっていること」の集約点がここなんです。
幸いなことに、唇の先端は、感覚が非常に鋭い。
とても敏感な体の部分で、敏感さでは、唇の周りのエリアよりはるかに上です。
敏感ということは、それだけたくさんの情報が得られやすいということ。
その敏感なところで音が生まれています。
そしたら、その敏感で情報収集装置としてとても優秀な部分を無視・あるいは軽視してしますのは、
ひょっとしたらちょっと効率が悪いかもしれませんね。
唇の粘膜で、触覚的に、振動の質が感じられます。
振動させられている筋肉自体からも、振動の質がリポートされます。
そして、動きをしているそのあたりの筋肉や膜組織から「どのように、どのくらいの力で動いているか」の情報も来ています。
もっともっと、この情報を活用できる気がしませんか。
ただし、常に全身のあらゆるレベルで動きが連動している事をお忘れなく。
全身が、ホルン演奏を担っています。