吹奏楽部後輩に教える先輩たちへ
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①知識
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楽器演奏の知識は、いろんなものがあります。
・楽器自体の組み立て方、運指やメンテナンス法など
・楽譜の読み方
・音の出し方や吹き方(奏法)に関わること
などなど。
1年かそれ以上楽器をやっていて、まったくの初心者に教えるとき、そんな気はしないかもしれませんがあなたは知っているけれど後輩が知らないことはいくつもあるでしょう。
そういった、《あなたが持っている知識》はとても価値あるもので、後輩にとってもとても役立つものです。
だからこそ、伝え方を工夫しましょう。
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例
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あなたの楽器の音が登場する、みんな知っているような名曲や映画音楽、アニメ主題歌などはないでしょうか?
オーボエなら「白鳥の湖」の旋律、
トランペットだったら「ルパン三世」のメロディ、
ホルンだと「アルプスの少女ハイジ」の始まり。
CMで流れてたりします。
そういうものをワンフレーズ練習して、覚えて、後輩に「これって、この楽器がやってるんだよ!」と教えてあげます。
それって、「その楽器の音、音色、レパートリーについての知識」をつたえるていることになるんです。
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これはあくまで例です。
言いたいことは、知識を伝える方法って無限にあって、教えるあなた自身が面白い・楽しい伝え方がいっぱいあるはずです。
大事なことをメモやノート、絵に書いて渡してあげるのも一つの方法です。絵を描くのが好き、学級新聞のようなものを作るのが好き、というひとにはうってつけですよね。
ちょっとしたゲーム感覚で、何か景品やご褒美を用意して、覚えてほしいことを3日後や来週に「小テスト」するのもいいですね。
覚えてこいよ、という圧力じゃなくて、
合格したらご褒美!という遊びにするのです。
すごく伝えたいことや、どうしても覚えてほしいことがあるときほど、工夫しましょう。
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②コツ
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あまり知られていないことですが、音楽大学レベルの師匠と生徒のやり取りや、プロ演奏家同士の会話でも、
《演奏のコツ》
の伝授・共有がなされることはとても多いです。
それは、「自分ができることを、一体自分はどういうふうにやっているのか」ということを精一杯、言葉や擬音、イメージにしようという試みです。
「こうじゃないといけない」という押し付けをしたらダメですが、先輩であるあなた自身は、どう感じながら、どんなことを考えたりイメージしたりしながら楽器を吹いているか。
それを、自分なりの言葉で一生懸命表現してみましょう。
後輩がよく分からない様子だったり、うまくいかない様子だったりしても、押し付けてさえいなければあなたがあなたなりのコツを伝えてあげることはいつでも価値のあることです。
また、そうやって一生懸命ことばで表現しようとしたり、そもそもどうやってやってるんだろう?と考えることが実は教えるあなた自身の演奏にとても役立つことが多いのです。
教えることが好きで、上手な楽器の師匠たちほど、「レッスンでは教えることより学ぶことのほうが多い」とどこの国の師匠でも異口同音に言うから不思議なものです。
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③練習のやり方
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これは、例えば
◎メトロノームを使う
◎まずウォーミングアップから始める
◎ロングトーン、音階、アルペジオの組み合わせ方
◎練習量や練習時間
などに関することです。
練習のやり方を教えてあげるときに大事なのは
A:自分はこうやって練習しているよ、という紹介
B:きみはまず、こうして練習するといいんじゃないか、という提案
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このA、Bのどちらか、または両方を教えてあげることです。
当たり前のことを言っているように思えるでしょう。どうしてそんな当たり前のことを言っているかというと、良くない教え方があるからです。
それは
×自分には役立ってないのに、やれと言う
×後輩に役立っているかどうかを確認せずに、やらせ続ける
×自分が教えたもの以外はやってはダメ、と禁止する
そういう教え方もあって、それは後輩の成長をさまたげます。
でも、上記のA・Bのどちらか、または両方を考えると、そこには押し付けや禁止・強制がありませんね。
また、《この練習がどのように成長に結びついているか?》ということを先輩であるあなた自身についても、後輩をみるまなざしの中にも持つことができます。
練習のやり方は、最近だと様々なプロの演奏家がYou Tubeやツイッターで動画付きで紹介してくれています。
そういったものも参考にしたり、試したりしながら、《成長との結びつき》をよく観察してみましょう。
Basil Kritzer